Levi/現パロ
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3.
「抜けられたか」
「はい!」
「行くぞ」
「ど、どこへ?!」
いいから来い、目だけで語る先輩に直立するとコクコクと何度も頷いた。先を歩く先輩の後ろを黙ってついて行く。
「ここだ」
10分くらい歩いたか。職場からさほど離れていないようだったが知らない場所で周囲を見渡すと公園のようだった。遠くから声が聞こえてくる。
「こっちだ」
尚も先輩のあとについて行くと開けた場所にあるのもに目を奪われた。
「わぁ!綺麗!!」
そこにあったのは満開に咲き乱れる桜の木。声がしていたのはそこで宴会を終えた人達が片付けをしていた。
「……おい」
桜に気を取られていたが離れた場所から声をかけられ歩み寄る。そこにはベンチが置いてあって先輩が座ると目配せされ軽くお辞儀をして隣に座る。先輩は背広を脱いで綺麗に折り畳むと空いてるスペースにそっと置いた。先輩は几帳面というか綺麗好きなんだなと前から思っていた。そしてネクタイを緩めシャツのボタンを1つ開ける。その様子をじっと見つめてしまったけれど…目が離せなかった。だって、あまりにもその動作が色っぽいから。
「見過ぎだ」
「す、すみません!」
ジロリと横目で見られ焦る。そんなに見つめていたのか。縮こまっていると視界にお茶のペットボトルが入ってきた。あったかい小さなお茶。これ好きなやつだ、と思っていたら「取れ」と先輩から声がして受け取った。
「ありがとうございます、」
「……ああ。ぬるくなっちまったがな」
「とんでもない!頂きます」
先輩は温かい紅茶、ちなみにストレートで小さく乾杯すると桜を眺めた。夜桜で花見なんて久しぶりだ。
「今日は飲み会に参加して下さってありがとうございました」
先程言えなかったお礼を伝える。
「別に普通だろ」
「普通じゃないですよ!」
先輩が参加するってだけでどれだけ人数が増えたことか!
「先輩はあまり参加されないから今回は皆さん嬉しかったみたいで…いつもより人数が多かったんですよ?特に女性社員の」
「だろうな。ひっきりなしに来るもんだから鬱陶しくて反吐が出る」
酒も飲めねぇ、と悪態をつく先輩。ならなんで参加してくれたのか。
「先輩はなんで参加してくれたんですか?」
「……どうでもいいだろ」
「で、出来れば知りたいです…」
幹事だし、と恐る恐る言ってみた。それでも答えてくれるかは先輩の気まぐれ次第。
「てめェは今回で2回目の参加か?」
「えっ?はい…」
「そういうことだ」
「どういうことですか?!」
訳が分からない。お酒も飲んでるので頭がきちんと働かないし混乱するばかり。
「うーん、もう少し分かりやすく…」
「馬鹿か」
「あ!また馬鹿って!」
先輩酷いです、とむくれていると視線を感じたので隣を見やる。無表情の先輩だが心なしか穏やかそうにも見えた。でもそれは夜桜のせいに違いない。お酒も飲んでるし、と自分を納得させた。
「あんたがいるだろ」
「えっ?」
「ハルがいるから参加した」
「ん?はっ…?えぇえ?!」
間をおいて理解した瞬間立ち上がって驚いた。自分がいるから?先輩の言った言葉が頭の中でグルグル回る。
「落ち着け」
「は、はい…」
「いつも世話になってるからな」
── な、なんだ。仕事関係で、
それが分かって安心するとともにベンチに座ると火照った身体を冷ますように手で扇ぐ。
「だが違ったな」
「はい?」
「あんな人がいるところじゃ落ち着かねぇ」
そしてグッと身体を近付けてきた先輩。頬がほんのり赤いのはお酒のせいか。
「二人きりじゃねぇと意味がねぇな」
小さく笑った先輩の顔を見て心臓がうるさく脈を打ち出した。そして顔に熱が集まる。それが一体どんな意味を持つのか。自分の中で処理するにはお酒が足りなかった。お酒があれば冗談っぽく返せたかもしれない。何か言えたかもしれない。でも、今の自分は何も言えずただただ先輩の顔を見つめることしか出来なかった。いつもみたいに冗談だと言って欲しい。
「冗談じゃねぇからな」
「── っ!」
考えを読んだかのように呟く彼。ベンチに張り付いたみたいに固まって動かない体。どんどん近づく先輩の顔。目の前にきて目をぎゅっと瞑るのと同時に唇に柔らかいものが触れた。すぐに離れたけれどまた目が合うとキスが降る。啄むような優しい口づけ。
今度こそ離れて先輩の顔を見ると笑っていた。ふわりと微笑んで…トクンとその笑顔に落ちてしまう。
「何処だろうがハルがいねぇと意味がない」
意味深な事を言ってキスをしてきた先輩。やっぱりそういう事なのかな、先輩が自分に?と既にキャパオーバーしている。
「ハル」
「は、はい!」
「次誘うなら二人だけにしろ」
「はぃ…」
「帰るぞ」
そう言って立ち上がる先輩に顔を赤くしながらついて行くしかなかった。
二人で飲みになんて行くのだろうか、そんなことを頭の隅で考えながらこれからの展開に不安と淡い期待が桜の花びらと一緒に降り積もっていった。
君がいるからーLeviー
「ハルがいねぇと意味がない。これからもな」
fin.
2019.4.12
「抜けられたか」
「はい!」
「行くぞ」
「ど、どこへ?!」
いいから来い、目だけで語る先輩に直立するとコクコクと何度も頷いた。先を歩く先輩の後ろを黙ってついて行く。
「ここだ」
10分くらい歩いたか。職場からさほど離れていないようだったが知らない場所で周囲を見渡すと公園のようだった。遠くから声が聞こえてくる。
「こっちだ」
尚も先輩のあとについて行くと開けた場所にあるのもに目を奪われた。
「わぁ!綺麗!!」
そこにあったのは満開に咲き乱れる桜の木。声がしていたのはそこで宴会を終えた人達が片付けをしていた。
「……おい」
桜に気を取られていたが離れた場所から声をかけられ歩み寄る。そこにはベンチが置いてあって先輩が座ると目配せされ軽くお辞儀をして隣に座る。先輩は背広を脱いで綺麗に折り畳むと空いてるスペースにそっと置いた。先輩は几帳面というか綺麗好きなんだなと前から思っていた。そしてネクタイを緩めシャツのボタンを1つ開ける。その様子をじっと見つめてしまったけれど…目が離せなかった。だって、あまりにもその動作が色っぽいから。
「見過ぎだ」
「す、すみません!」
ジロリと横目で見られ焦る。そんなに見つめていたのか。縮こまっていると視界にお茶のペットボトルが入ってきた。あったかい小さなお茶。これ好きなやつだ、と思っていたら「取れ」と先輩から声がして受け取った。
「ありがとうございます、」
「……ああ。ぬるくなっちまったがな」
「とんでもない!頂きます」
先輩は温かい紅茶、ちなみにストレートで小さく乾杯すると桜を眺めた。夜桜で花見なんて久しぶりだ。
「今日は飲み会に参加して下さってありがとうございました」
先程言えなかったお礼を伝える。
「別に普通だろ」
「普通じゃないですよ!」
先輩が参加するってだけでどれだけ人数が増えたことか!
「先輩はあまり参加されないから今回は皆さん嬉しかったみたいで…いつもより人数が多かったんですよ?特に女性社員の」
「だろうな。ひっきりなしに来るもんだから鬱陶しくて反吐が出る」
酒も飲めねぇ、と悪態をつく先輩。ならなんで参加してくれたのか。
「先輩はなんで参加してくれたんですか?」
「……どうでもいいだろ」
「で、出来れば知りたいです…」
幹事だし、と恐る恐る言ってみた。それでも答えてくれるかは先輩の気まぐれ次第。
「てめェは今回で2回目の参加か?」
「えっ?はい…」
「そういうことだ」
「どういうことですか?!」
訳が分からない。お酒も飲んでるので頭がきちんと働かないし混乱するばかり。
「うーん、もう少し分かりやすく…」
「馬鹿か」
「あ!また馬鹿って!」
先輩酷いです、とむくれていると視線を感じたので隣を見やる。無表情の先輩だが心なしか穏やかそうにも見えた。でもそれは夜桜のせいに違いない。お酒も飲んでるし、と自分を納得させた。
「あんたがいるだろ」
「えっ?」
「ハルがいるから参加した」
「ん?はっ…?えぇえ?!」
間をおいて理解した瞬間立ち上がって驚いた。自分がいるから?先輩の言った言葉が頭の中でグルグル回る。
「落ち着け」
「は、はい…」
「いつも世話になってるからな」
── な、なんだ。仕事関係で、
それが分かって安心するとともにベンチに座ると火照った身体を冷ますように手で扇ぐ。
「だが違ったな」
「はい?」
「あんな人がいるところじゃ落ち着かねぇ」
そしてグッと身体を近付けてきた先輩。頬がほんのり赤いのはお酒のせいか。
「二人きりじゃねぇと意味がねぇな」
小さく笑った先輩の顔を見て心臓がうるさく脈を打ち出した。そして顔に熱が集まる。それが一体どんな意味を持つのか。自分の中で処理するにはお酒が足りなかった。お酒があれば冗談っぽく返せたかもしれない。何か言えたかもしれない。でも、今の自分は何も言えずただただ先輩の顔を見つめることしか出来なかった。いつもみたいに冗談だと言って欲しい。
「冗談じゃねぇからな」
「── っ!」
考えを読んだかのように呟く彼。ベンチに張り付いたみたいに固まって動かない体。どんどん近づく先輩の顔。目の前にきて目をぎゅっと瞑るのと同時に唇に柔らかいものが触れた。すぐに離れたけれどまた目が合うとキスが降る。啄むような優しい口づけ。
今度こそ離れて先輩の顔を見ると笑っていた。ふわりと微笑んで…トクンとその笑顔に落ちてしまう。
「何処だろうがハルがいねぇと意味がない」
意味深な事を言ってキスをしてきた先輩。やっぱりそういう事なのかな、先輩が自分に?と既にキャパオーバーしている。
「ハル」
「は、はい!」
「次誘うなら二人だけにしろ」
「はぃ…」
「帰るぞ」
そう言って立ち上がる先輩に顔を赤くしながらついて行くしかなかった。
二人で飲みになんて行くのだろうか、そんなことを頭の隅で考えながらこれからの展開に不安と淡い期待が桜の花びらと一緒に降り積もっていった。
君がいるからーLeviー
「ハルがいねぇと意味がない。これからもな」
fin.
2019.4.12
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