進撃の小言
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君には何が見える?①
今、自分の目の前にあるものは一体なんだろうか。我が目を疑うように何度も瞬きを繰り返す。
そして視界に映るそれを見るのに夢中になって背後に人がいることに全く気が付かなかった……
ーーー
「ハル!ちょっといいか!」
「はいっ!」
分隊長に呼ばれて駆け寄ると書類を数枚団長に提出してほしいと頼まれた。
「団長執務室に入る前は必ずノックするんだぞ」
「わかってます!」
「返事があるまでは開けるんじゃないからな」
「了解です!」
分隊長は両肩を掴んで必死だ。
何をそんなに必死になっているのかと不思議に思いながらも返事をして団長執務室へと足を運ばせた。
「ここかな?」
大きな扉の前に来ると深呼吸をしてノックをする。
コンコン
返事を待つが中から声はしない。
ーーいないのかな…
コンコン
もう一度ノックするがやはり返事がない。誰も居ないのだと分かるとどうしたものかと悩む。この書類を持ち歩いたまま自分の仕事に戻るわけにはいかない。
取っ手に手を伸ばすと、カチャリ、小さな音を立てて扉が開いた。
ーー開いてる…置いたらすぐ出ればいい
そう思って扉を少し開けて体を滑り込ませた。広い執務室に大きな机が目の前にあった。そこまで歩くと書類を置きメモを残そうと何か紙がないか探す。
と、何やら見慣れないものがあり目が止まる。
ーーこれは?
近付いて見てみるとどこかで見覚えがある。金色の細い糸が密集しているそれ。これはつまりあれだよね?そうだよね?噂になっていることは本当だったのかとドキドキしながらそれに手を伸ばすと両肩にポンッと手が置かれた。
「ひっ!」
少し振り返ると団長がじっと無表情でこちらを見ていた。近い。近いよ団長。
「君には何が見える?」
えっ。団長。それを言っていいのですか。
今そこにあるものを、目にしてるものを言っていいのですか…
「それは何だと思う?」
えっ。言っていいの?
いいんだ…怒られないかな。
言っていいならこの際ハッキリ言ってしまおう…
「団長。私に見えているのは……」
ゴクリと唾を飲み込む。
「……ヅラ、です」
「そうだな」
目の前のテーブルに置いてある金髪のそれが開いている窓から吹き込む風にそよそよと揺れていた。
君には何が見える?①
fin.
2019.4.1
今、自分の目の前にあるものは一体なんだろうか。我が目を疑うように何度も瞬きを繰り返す。
そして視界に映るそれを見るのに夢中になって背後に人がいることに全く気が付かなかった……
ーーー
「ハル!ちょっといいか!」
「はいっ!」
分隊長に呼ばれて駆け寄ると書類を数枚団長に提出してほしいと頼まれた。
「団長執務室に入る前は必ずノックするんだぞ」
「わかってます!」
「返事があるまでは開けるんじゃないからな」
「了解です!」
分隊長は両肩を掴んで必死だ。
何をそんなに必死になっているのかと不思議に思いながらも返事をして団長執務室へと足を運ばせた。
「ここかな?」
大きな扉の前に来ると深呼吸をしてノックをする。
コンコン
返事を待つが中から声はしない。
ーーいないのかな…
コンコン
もう一度ノックするがやはり返事がない。誰も居ないのだと分かるとどうしたものかと悩む。この書類を持ち歩いたまま自分の仕事に戻るわけにはいかない。
取っ手に手を伸ばすと、カチャリ、小さな音を立てて扉が開いた。
ーー開いてる…置いたらすぐ出ればいい
そう思って扉を少し開けて体を滑り込ませた。広い執務室に大きな机が目の前にあった。そこまで歩くと書類を置きメモを残そうと何か紙がないか探す。
と、何やら見慣れないものがあり目が止まる。
ーーこれは?
近付いて見てみるとどこかで見覚えがある。金色の細い糸が密集しているそれ。これはつまりあれだよね?そうだよね?噂になっていることは本当だったのかとドキドキしながらそれに手を伸ばすと両肩にポンッと手が置かれた。
「ひっ!」
少し振り返ると団長がじっと無表情でこちらを見ていた。近い。近いよ団長。
「君には何が見える?」
えっ。団長。それを言っていいのですか。
今そこにあるものを、目にしてるものを言っていいのですか…
「それは何だと思う?」
えっ。言っていいの?
いいんだ…怒られないかな。
言っていいならこの際ハッキリ言ってしまおう…
「団長。私に見えているのは……」
ゴクリと唾を飲み込む。
「……ヅラ、です」
「そうだな」
目の前のテーブルに置いてある金髪のそれが開いている窓から吹き込む風にそよそよと揺れていた。
君には何が見える?①
fin.
2019.4.1
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