逃げないでほしい
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2.
次の日。
同じクラスなので当然会うことになるのだが教室のドアの前で止まってしまう。
ーーあぁ…中に入りにくい…
彼とは顔をあまり合わせたくない気持ちが勝りため息をつきながらギリギリまで別の場所で時間を潰そうかと考え踵を返す。
ガラッ
背後でドアの開く音がして振り返ると今一番会いたくない人物がいて目が合ってしまった。
「あ、ハルさん。おはよう」
「お、おはよう…竹早くん…」
足が床に張り付いたみたいに動けず固まってしまう。
「中に入らないの?」
眼鏡をかけた彼が微笑みながら声をかけてくれまたしても鼓動が速くなり顔にまで熱が集まってる気がする。
「あの…私……ちょっと用事があって…!」
ごめんなさいっ!、と急いで返答すると緊張している体を無理やり動かして廊下を走り去る。
「あ、待って」
後ろから彼の声が聞こえたような気がしたがそれどころではなく廊下を走って階段を一気に駆け下りる。下駄箱まで来ると座り込んで顔を埋めた。
ーーあー…何やってんの私…
彼に話しかけられただけで走って逃げるなんて自分はどうかしてると心を落ち着かせようとする。
「あの…大丈夫、か?」
不意に男の子の声がして顔を上げるとこれまた同じクラスの子だった。自分がいる場所がクラスの下駄箱前なので必然的にそうなるのだが、この子はいつも竹早と一緒にいる鳴宮だと気付き急いで立ち上がる。
「うん!大丈夫!教室からダッシュしてここまで来たから疲れちゃって…」
あはは、と笑いながら話すと彼は少し怪訝そうな顔をしている。
「なんで教室からダッシュする必要があるんだ?もうチャイム鳴るけど」
「えっ?」
彼に言われてキョトンとしていると予鈴が鳴った。
「ほら。行こう」
遅刻扱いになる、彼の言葉を聞いて頷くと急いで階段を駆け上がる。
「そういえばなんで教室から走ったのか聞いていいか?」
「うっ…それは…」
ーー竹早くんに話しかけられたからなんて言えない。
ましてや友達であろう彼には特に。
「ちょっと運動不足だから体動かそうと思って!」
苦し紛れにそう言うと彼はぷっと吹き出して笑っている。
「君面白いね」
「なっ…!笑わないでよ!」
そんな話をしていると教室に着いて彼と共に中へ入る。
「湊。ハルさんも…一緒に来たんだ」
「あぁ。下駄箱で一緒になった」
「随分と仲がいいみたいだね」
「そうか?初めて話したんだけど…」
だよな?、と彼に話を振られ頷く。
「うん。鳴宮くんとは初めて。私のこと面白いとか言うんだから…」
酷いよ、と少し怒って彼を見ると「ごめん」と困ったように苦笑いをする。
「まぁ初めて会話を交わした記念ということで許してあげる」
そう言って笑うと彼もまた笑ってくれた。
「やっぱり仲がいいんじゃないか」
「静弥、どうかしたのか?」
竹早が声量を落として呟くように話すのが聞こえ鳴宮が彼の様子が変な事に気付き尋ねていたがそこで本鈴が鳴り席に着く。だが、自分も竹早の様子が気になり少し離れた席からチラリと後ろを振り返るとバチッと目が合う。
視線が交わった瞬間急いで前を向いてカバンから荷物を出し俯く。
ーーど、どうしよう…怒ってるのかな…
昨日といい今日といい、彼には失礼な態度をとってしまって悪い印象を与えてしまったのではないかと心配になる。これからあと三年間は同じ校舎で過ごすというのに今からこんな感じでは先が思いやられる。
ーー今度はちゃんと話して謝ろう…
そう心に決めて前に立つ担任の話に耳を傾けた。
次の日。
同じクラスなので当然会うことになるのだが教室のドアの前で止まってしまう。
ーーあぁ…中に入りにくい…
彼とは顔をあまり合わせたくない気持ちが勝りため息をつきながらギリギリまで別の場所で時間を潰そうかと考え踵を返す。
ガラッ
背後でドアの開く音がして振り返ると今一番会いたくない人物がいて目が合ってしまった。
「あ、ハルさん。おはよう」
「お、おはよう…竹早くん…」
足が床に張り付いたみたいに動けず固まってしまう。
「中に入らないの?」
眼鏡をかけた彼が微笑みながら声をかけてくれまたしても鼓動が速くなり顔にまで熱が集まってる気がする。
「あの…私……ちょっと用事があって…!」
ごめんなさいっ!、と急いで返答すると緊張している体を無理やり動かして廊下を走り去る。
「あ、待って」
後ろから彼の声が聞こえたような気がしたがそれどころではなく廊下を走って階段を一気に駆け下りる。下駄箱まで来ると座り込んで顔を埋めた。
ーーあー…何やってんの私…
彼に話しかけられただけで走って逃げるなんて自分はどうかしてると心を落ち着かせようとする。
「あの…大丈夫、か?」
不意に男の子の声がして顔を上げるとこれまた同じクラスの子だった。自分がいる場所がクラスの下駄箱前なので必然的にそうなるのだが、この子はいつも竹早と一緒にいる鳴宮だと気付き急いで立ち上がる。
「うん!大丈夫!教室からダッシュしてここまで来たから疲れちゃって…」
あはは、と笑いながら話すと彼は少し怪訝そうな顔をしている。
「なんで教室からダッシュする必要があるんだ?もうチャイム鳴るけど」
「えっ?」
彼に言われてキョトンとしていると予鈴が鳴った。
「ほら。行こう」
遅刻扱いになる、彼の言葉を聞いて頷くと急いで階段を駆け上がる。
「そういえばなんで教室から走ったのか聞いていいか?」
「うっ…それは…」
ーー竹早くんに話しかけられたからなんて言えない。
ましてや友達であろう彼には特に。
「ちょっと運動不足だから体動かそうと思って!」
苦し紛れにそう言うと彼はぷっと吹き出して笑っている。
「君面白いね」
「なっ…!笑わないでよ!」
そんな話をしていると教室に着いて彼と共に中へ入る。
「湊。ハルさんも…一緒に来たんだ」
「あぁ。下駄箱で一緒になった」
「随分と仲がいいみたいだね」
「そうか?初めて話したんだけど…」
だよな?、と彼に話を振られ頷く。
「うん。鳴宮くんとは初めて。私のこと面白いとか言うんだから…」
酷いよ、と少し怒って彼を見ると「ごめん」と困ったように苦笑いをする。
「まぁ初めて会話を交わした記念ということで許してあげる」
そう言って笑うと彼もまた笑ってくれた。
「やっぱり仲がいいんじゃないか」
「静弥、どうかしたのか?」
竹早が声量を落として呟くように話すのが聞こえ鳴宮が彼の様子が変な事に気付き尋ねていたがそこで本鈴が鳴り席に着く。だが、自分も竹早の様子が気になり少し離れた席からチラリと後ろを振り返るとバチッと目が合う。
視線が交わった瞬間急いで前を向いてカバンから荷物を出し俯く。
ーーど、どうしよう…怒ってるのかな…
昨日といい今日といい、彼には失礼な態度をとってしまって悪い印象を与えてしまったのではないかと心配になる。これからあと三年間は同じ校舎で過ごすというのに今からこんな感じでは先が思いやられる。
ーー今度はちゃんと話して謝ろう…
そう心に決めて前に立つ担任の話に耳を傾けた。