逃げないでほしい
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1.
パンっ
パンっ
春の陽気がまだ残る5月初旬。
校舎の隅の方から聞き馴染みのない音が耳に届く。
ーーん?なんの音だろう……
音がする方へ足を運ぶと柵で囲まれた奥に建物がある場所へたどり着く。柵ごしに女子が数名中を覗いているのが見えた。近寄りがたい気がして今いる場所から数歩近付き止まって中を覗いてみた。
パンっ
今度はすぐ近くから音がして横を見ると白と黒の丸い物に矢が刺さっている。
ーーこれは…矢だ。
ということはこれは…弓道部?
奥の建物を見ると数名袴を着た人が弓を構えている姿が見え矢を射っている。
「矢取り入りまーす!」
しばらく眺めていると掛け声が聞こえこっちに歩いて来るのが見えた。よくよく見えると一人見覚えのある人物で驚く。
「あ…竹早くん」
彼もまた袴を着ており見慣れない姿にマジマジと見てしまった。
「あれ?君は…」
向こうもこちらの姿に気付いたのか声がして焦る。
「あっ!同じクラスのハルです!」
「ハルさん。何か用?」
彼はニコリと笑って話しかけてくれるが普段は眼鏡の彼がそれを外しており顔がよく見えるため思いもよらなかったその笑顔にトキメいてしまう。
「えっ!あっ…その…!ごめんなさいっ!」
焦りのあまり上手く喋れず走ってその場を後にしてしまった。正門のところまで来ると立ち止まり荒くなった呼吸と速まる鼓動を落ち着かせる。
ーー思わず走って逃げちゃった…
変な子だって思われてないかな…
自分の起こした行動に自己嫌悪に陥りながら重い足取りで帰宅する。
パンっ
パンっ
春の陽気がまだ残る5月初旬。
校舎の隅の方から聞き馴染みのない音が耳に届く。
ーーん?なんの音だろう……
音がする方へ足を運ぶと柵で囲まれた奥に建物がある場所へたどり着く。柵ごしに女子が数名中を覗いているのが見えた。近寄りがたい気がして今いる場所から数歩近付き止まって中を覗いてみた。
パンっ
今度はすぐ近くから音がして横を見ると白と黒の丸い物に矢が刺さっている。
ーーこれは…矢だ。
ということはこれは…弓道部?
奥の建物を見ると数名袴を着た人が弓を構えている姿が見え矢を射っている。
「矢取り入りまーす!」
しばらく眺めていると掛け声が聞こえこっちに歩いて来るのが見えた。よくよく見えると一人見覚えのある人物で驚く。
「あ…竹早くん」
彼もまた袴を着ており見慣れない姿にマジマジと見てしまった。
「あれ?君は…」
向こうもこちらの姿に気付いたのか声がして焦る。
「あっ!同じクラスのハルです!」
「ハルさん。何か用?」
彼はニコリと笑って話しかけてくれるが普段は眼鏡の彼がそれを外しており顔がよく見えるため思いもよらなかったその笑顔にトキメいてしまう。
「えっ!あっ…その…!ごめんなさいっ!」
焦りのあまり上手く喋れず走ってその場を後にしてしまった。正門のところまで来ると立ち止まり荒くなった呼吸と速まる鼓動を落ち着かせる。
ーー思わず走って逃げちゃった…
変な子だって思われてないかな…
自分の起こした行動に自己嫌悪に陥りながら重い足取りで帰宅する。
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