あなたを描こう*
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5.
次の日から任務が終わった夜に30分から1時間だけモブリットさんは私をスケッチする。書類を書く姿や本を読んでいる姿など時折談笑をしながら彼は枚数を重ねていく。合間に任務の事も話すが彼のおかげでハンジさんにも慣れてスケッチもスムーズに描けるようになっていた。ある日にはハンジさんを初め、団長にも褒められてモブリットさんと目配せすると微笑み合ったのを思い出した。
「何か良いことでもあったのかい?」
思い出し笑いをしていたのに気づかれて「いえ!」と慌てて口元を手で覆い隠した。そんな自分を優しい瞳で見る彼はおもむろに椅子を動かす。
「今日は月が綺麗だから椅子に座って月を見上げている姿を描こう」
短く返事をして椅子に近寄り、窓とは垂直に座る。体は彼を、顔は窓の方を向き月を見上げた。彼からすると横顔になるわけだ。月を眺めていたが本当に綺麗でそのまま物思いに 耽 る。いつもの会話もなく、ペンが紙の上を滑る音が部屋の中に響く。
ふとその音も止み、不思議に彼の方に視線を向けると真剣な眼差しがぶつかる。時折見せているその瞳に全てが見透かされているような感じがして気が気でない。視線を落として気持ちを落ち着かせていると視界に大きな手が写り込む。顔を上げればいつのまにかすぐ側まで来ていたモブリットさんと目が合う。
「君は…とても一生懸命で…何事にも真面目に取り組む…まだあどけなく笑う幼さが残っているかと思えば絵を描く姿は可憐で目が離せなくなっていたよ…」
右手を掬うように持ち上げるとその甲に唇を寄せる彼に声も出せずただただ黙って見つめることしか出来なかった。心臓がうるさく、体から変な汗が出ているのを感じる。彼はどういうつもりで今の行為をしたのか…。考えを巡らせるも思考が追い付かず成す術がない。
「クス…今の君は幼く感じるが月を見る姿は本当に綺麗だった…もう子どもじゃない…」
「も、モブリットさん…」
「君を残しておきたい…君がここに居たんだという証を…」
「── っ、モブリットさん、」
彼の言葉に涙が出そうになる。彼はどんな気持ちで自分を描いていたのか…それが分かった気がした。
「一度しか言わないから聞いてほしい…」
「…はい…」
「…僕は、君が好きだ。同じ気持ちでなくてもいい。調査兵団にいる以上はいつ命を絶つか分からないからね。でもだからこそ君には気持ちを伝えておきたい…」
彼の言葉に瞳に溜め込んでいた涙が雫となって頬を伝う。そして握りしめている彼の手に自分の手を置いて包み込んだ。彼への気持ちに気付いてからずっと隠しておこうと決めていたのに…。彼の言葉を聞いて伝えない訳にはいかなかった。調査兵団は命懸け…そうだ。いつ命を賭すか分からない。だから自分も彼の気持ちに応えることにした。
「…優しくて、気配りが出来て、とても頼りになって…お話も凄く楽しくて…日に日に心臓が落ち着かなくなって…私も、あなたの事が…好きです」
涙とともに紡いだ言葉。彼は驚いていたがすぐに照れ臭そうに笑うと手を伸ばして涙を拭ってくれる。手を取り合って立ち上がれば抱擁する彼に嬉しくなって抱きしめ返す。
「緊張したよ…ありがとう…」
「緊張、しているようには見えませんでしたよ?」
「…これでも緊張しているよ」
「ふふっ、ありがとうございます」
クスクスと笑っていると不意に離れる彼の体。そして唇に触れる熱…。キスをされた、離れてはまた塞がれ、優しく啄ばむように繰り返す。初めての事でどうしていいか分からず息を止めていたが流石に耐えきれなくなり酸素を求めて口を開いた。それを待ってましたと言わんばかりに彼の熱い舌が口内に入ってくる。中を舌で優しく撫でる彼の舌に目眩がして体がおかしくなりそうだ。
次の日から任務が終わった夜に30分から1時間だけモブリットさんは私をスケッチする。書類を書く姿や本を読んでいる姿など時折談笑をしながら彼は枚数を重ねていく。合間に任務の事も話すが彼のおかげでハンジさんにも慣れてスケッチもスムーズに描けるようになっていた。ある日にはハンジさんを初め、団長にも褒められてモブリットさんと目配せすると微笑み合ったのを思い出した。
「何か良いことでもあったのかい?」
思い出し笑いをしていたのに気づかれて「いえ!」と慌てて口元を手で覆い隠した。そんな自分を優しい瞳で見る彼はおもむろに椅子を動かす。
「今日は月が綺麗だから椅子に座って月を見上げている姿を描こう」
短く返事をして椅子に近寄り、窓とは垂直に座る。体は彼を、顔は窓の方を向き月を見上げた。彼からすると横顔になるわけだ。月を眺めていたが本当に綺麗でそのまま物思いに
ふとその音も止み、不思議に彼の方に視線を向けると真剣な眼差しがぶつかる。時折見せているその瞳に全てが見透かされているような感じがして気が気でない。視線を落として気持ちを落ち着かせていると視界に大きな手が写り込む。顔を上げればいつのまにかすぐ側まで来ていたモブリットさんと目が合う。
「君は…とても一生懸命で…何事にも真面目に取り組む…まだあどけなく笑う幼さが残っているかと思えば絵を描く姿は可憐で目が離せなくなっていたよ…」
右手を掬うように持ち上げるとその甲に唇を寄せる彼に声も出せずただただ黙って見つめることしか出来なかった。心臓がうるさく、体から変な汗が出ているのを感じる。彼はどういうつもりで今の行為をしたのか…。考えを巡らせるも思考が追い付かず成す術がない。
「クス…今の君は幼く感じるが月を見る姿は本当に綺麗だった…もう子どもじゃない…」
「も、モブリットさん…」
「君を残しておきたい…君がここに居たんだという証を…」
「── っ、モブリットさん、」
彼の言葉に涙が出そうになる。彼はどんな気持ちで自分を描いていたのか…それが分かった気がした。
「一度しか言わないから聞いてほしい…」
「…はい…」
「…僕は、君が好きだ。同じ気持ちでなくてもいい。調査兵団にいる以上はいつ命を絶つか分からないからね。でもだからこそ君には気持ちを伝えておきたい…」
彼の言葉に瞳に溜め込んでいた涙が雫となって頬を伝う。そして握りしめている彼の手に自分の手を置いて包み込んだ。彼への気持ちに気付いてからずっと隠しておこうと決めていたのに…。彼の言葉を聞いて伝えない訳にはいかなかった。調査兵団は命懸け…そうだ。いつ命を賭すか分からない。だから自分も彼の気持ちに応えることにした。
「…優しくて、気配りが出来て、とても頼りになって…お話も凄く楽しくて…日に日に心臓が落ち着かなくなって…私も、あなたの事が…好きです」
涙とともに紡いだ言葉。彼は驚いていたがすぐに照れ臭そうに笑うと手を伸ばして涙を拭ってくれる。手を取り合って立ち上がれば抱擁する彼に嬉しくなって抱きしめ返す。
「緊張したよ…ありがとう…」
「緊張、しているようには見えませんでしたよ?」
「…これでも緊張しているよ」
「ふふっ、ありがとうございます」
クスクスと笑っていると不意に離れる彼の体。そして唇に触れる熱…。キスをされた、離れてはまた塞がれ、優しく啄ばむように繰り返す。初めての事でどうしていいか分からず息を止めていたが流石に耐えきれなくなり酸素を求めて口を開いた。それを待ってましたと言わんばかりに彼の熱い舌が口内に入ってくる。中を舌で優しく撫でる彼の舌に目眩がして体がおかしくなりそうだ。