あなたを描こう*
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4.
ハンジ班のお手伝いをするようになって二週間。この日は夜遅くまで資料室で作業をしていた。ランプの灯りが時折隙間風に揺れ、その度に自分の影も揺れているのを感じながら作業に集中する。
ひと段落したところで背後で物音がして驚く。こんな時間にまだ人が、と上がった心拍数を落ち着かせながら振り向けばそこにいたのはモブリットさんでこちらに歩を進めていた。
「まだ作業をしていたのか」
「ハンジさんにたくさん宿題を出されてしまって…」
「全くあの人は…限度ってものを知らない…」
私の言葉に小さく息を吐き「手伝うよ」とどこからか椅子を持ってきたモブリットさん。初めは断ったが「睡眠不足は任務の敵だ」と微笑む彼に甘えることにして一緒に作業をすることに。作業の間はもちろん、ハンジさんの話や巨人、壁外調査のことなど様々なことを話して盛り上がった。
「先日なんて本当に厄介な事案を任されて大変だったんだ」
「でもハンジさんはモブリットさんをとても信頼している様子が感じられます。ハンジさんは変わった方ですが巨人への熱意が凄くて、人類の勝利への切り札を何か見つけてくれそうな気がします」
「そうだな。僕もそこは尊敬するよ」
そこは、の部分を強調する彼に小さく笑うと残りの作業を終わらせていった。
ジジジ…
蝋燭の燃える音にペンを走らせる音が重なる。心地よい空間の中、彼が手伝ってくれたおかげで予定よりも早く作業を終えることが出来た。最終確認をするためかモブリットさんが自分の背後に立ち自分の手元を覗き込む。
「いいじゃないか。これなら分隊長も喜ぶ」
「本当ですか?!ありがとうございます、モブリットさ…っ?!」
振り向きお礼を伝えようとしたけれどすぐ傍に彼の顔があって驚く。あと少しで鼻先が触れそうな距離に慌てて体を後方へ傾ける。が、その拍子に椅子から落ちて尻餅をついた。
「いたた…」
「ハル?!大丈夫かい?…すまない。手を出すのが遅れてしまった」
「いえ!私が驚き過ぎただけなので…」
彼の差し出された手を取りながら返答すれば体を優しく支え起こしてくれる。彼の手の温もりが背中から伝わり鼓動がほんの少し速くなった。
「怪我はないか?」
「お尻が痛みますが大丈夫です」
「派手に椅子から落ちていたからね」
クスリと笑う彼に羞恥心から顔に熱が集まり、頬を染め俯く。モブリットさんと接して話せば話すほど、彼の優しさに触れて惹かれていくのがわかる。顔を上げて彼を見れば「ん?」と不思議そうにしている瞳と視線がぶつかり慌ててそらせた。
ドキドキと心臓がうるさくて、体も熱を帯びているような気がして彼に気づかれそう…そう考えればまた落ち着かなくなる。逆にこうしている方が怪しまれるかと視線を上げて彼の瞳を見る。髪の色に近い瞳が自分を捉えて離さない。トクン、とまた一つ脈を打ち心が動く。
「…君に、頼みたいことがある…」
「私に、ですか…?」
「そうなんだ。君にしか頼めないことだ」
見つめ合ったままでいると不意に告げられる彼からの申し出。戸惑いながらも受け入れると彼は頬をかきながら視線を横に流した。一体どんな頼みなのか…。
「その…君をスケッチさせてほしいんだ」
「ええ?!」
「練習をしたいんだが頼める相手が見つからなくて困っていたんだ…」
「── っ!」
彼の頼みに目を見開き驚きを隠せない。「駄目だろうか?」、困ったように眉を下げ、そんな顔をされたら断れないわけで、黙って頷けば満面の笑みを浮かべる彼。
そんな彼に気持ちが積もっていったのは自分だけの秘密。
ハンジ班のお手伝いをするようになって二週間。この日は夜遅くまで資料室で作業をしていた。ランプの灯りが時折隙間風に揺れ、その度に自分の影も揺れているのを感じながら作業に集中する。
ひと段落したところで背後で物音がして驚く。こんな時間にまだ人が、と上がった心拍数を落ち着かせながら振り向けばそこにいたのはモブリットさんでこちらに歩を進めていた。
「まだ作業をしていたのか」
「ハンジさんにたくさん宿題を出されてしまって…」
「全くあの人は…限度ってものを知らない…」
私の言葉に小さく息を吐き「手伝うよ」とどこからか椅子を持ってきたモブリットさん。初めは断ったが「睡眠不足は任務の敵だ」と微笑む彼に甘えることにして一緒に作業をすることに。作業の間はもちろん、ハンジさんの話や巨人、壁外調査のことなど様々なことを話して盛り上がった。
「先日なんて本当に厄介な事案を任されて大変だったんだ」
「でもハンジさんはモブリットさんをとても信頼している様子が感じられます。ハンジさんは変わった方ですが巨人への熱意が凄くて、人類の勝利への切り札を何か見つけてくれそうな気がします」
「そうだな。僕もそこは尊敬するよ」
そこは、の部分を強調する彼に小さく笑うと残りの作業を終わらせていった。
ジジジ…
蝋燭の燃える音にペンを走らせる音が重なる。心地よい空間の中、彼が手伝ってくれたおかげで予定よりも早く作業を終えることが出来た。最終確認をするためかモブリットさんが自分の背後に立ち自分の手元を覗き込む。
「いいじゃないか。これなら分隊長も喜ぶ」
「本当ですか?!ありがとうございます、モブリットさ…っ?!」
振り向きお礼を伝えようとしたけれどすぐ傍に彼の顔があって驚く。あと少しで鼻先が触れそうな距離に慌てて体を後方へ傾ける。が、その拍子に椅子から落ちて尻餅をついた。
「いたた…」
「ハル?!大丈夫かい?…すまない。手を出すのが遅れてしまった」
「いえ!私が驚き過ぎただけなので…」
彼の差し出された手を取りながら返答すれば体を優しく支え起こしてくれる。彼の手の温もりが背中から伝わり鼓動がほんの少し速くなった。
「怪我はないか?」
「お尻が痛みますが大丈夫です」
「派手に椅子から落ちていたからね」
クスリと笑う彼に羞恥心から顔に熱が集まり、頬を染め俯く。モブリットさんと接して話せば話すほど、彼の優しさに触れて惹かれていくのがわかる。顔を上げて彼を見れば「ん?」と不思議そうにしている瞳と視線がぶつかり慌ててそらせた。
ドキドキと心臓がうるさくて、体も熱を帯びているような気がして彼に気づかれそう…そう考えればまた落ち着かなくなる。逆にこうしている方が怪しまれるかと視線を上げて彼の瞳を見る。髪の色に近い瞳が自分を捉えて離さない。トクン、とまた一つ脈を打ち心が動く。
「…君に、頼みたいことがある…」
「私に、ですか…?」
「そうなんだ。君にしか頼めないことだ」
見つめ合ったままでいると不意に告げられる彼からの申し出。戸惑いながらも受け入れると彼は頬をかきながら視線を横に流した。一体どんな頼みなのか…。
「その…君をスケッチさせてほしいんだ」
「ええ?!」
「練習をしたいんだが頼める相手が見つからなくて困っていたんだ…」
「── っ!」
彼の頼みに目を見開き驚きを隠せない。「駄目だろうか?」、困ったように眉を下げ、そんな顔をされたら断れないわけで、黙って頷けば満面の笑みを浮かべる彼。
そんな彼に気持ちが積もっていったのは自分だけの秘密。