あなたを描こう*
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1.
「兵が怪我をした!!急いで手当てを頼む!!」
調査兵団の兵舎で任務をこなしている途中、急患の兵士が運ばれてきた。自分はたまたま近くにいたため慌てて治療にあたる。怪我をした人はハンジ班のケイジさん。
腕に噛まれたような痕があった。これはもしかして……
「油断した…俺としたことが…いきなり飛びかかってきやがって……クソッ、」
巨人の生体実験の最中に飛びつかれ避けようとしたが間に合わず腕で庇ったところを噛まれてしまった、ということらしい。一先ず傷口を洗い、消毒をした後包帯を巻く。この後、街の診療所で骨まで異常がないか診てもらうという。
ケイジさんは始終悔しそうな顔をしていて見ているこちらも胸が痛くなった。調査兵にとって怪我は命取り。怪我の具合によっては兵士生命が断たれることも…。応急処置を終えたケイジさんの背中を見送りながら自分も踵を返そうと振り返るとそこには自分が持っていた書類をハンジ分隊長がじっくりと眺めていた。
「ハンジ分隊長!」
慌てて声をかけ敬礼する。が、ハンジさんは気付いていないのかまだ自分の書類を穴が空くほど見つめていた。何をそんなに見ているのか。そんなに見るものなんてなかったはず…再度、ハンジさんに声をかけようと口を開きかけた瞬間、書類に混じっているあるものを思い出して勢いよく書類を取り上げた。
「ハンジさん!これ以上は見ないでください!!」
恥ずかしさで顔を赤らめながら書類を胸に抱える。
「ねぇ、それって君がかいたの?」
ハンジさんは自分の様子など気に止めることなく目を輝かせながら尋ねてくる。
「は、はい…これは私が描いたものです…」
そう。ハンジさんが穴が空くほど見ていたのは自分が描いた絵。趣味で時折描いているもので先程も任務が早く片付いたので練習にとペンやインク、自分の手などをスケッチしていた。
誰も知らないことをハンジさんに見られてしまって羞恥心がこみ上げる。
「そうかそうか。君が描いたんだ。へぇ、ふぅん…そうなんだねぇ」
顎に手を当てて眼鏡を光らせるハンジさんになんだか嫌な予感しかしないのは気のせいだろうか…。
「君に提案があるんだがそれをまだ口にすることはよそう。そこでだ…」
ハンジさんが詰め寄りながら話しかけ、何を言われるのかと生唾を飲み込む。間があったのちに、いきなり「あっ!!」と空を指差すので思わず視線を上に移せばその隙に手に持っていた書類を取り上げらた。スケッチの分だけハンジさんは抜き取り他の書類を手渡される。
「このスケッチは預かる。任務中にサボっていたと君の上司に伝えておくよ」
ハンジさんのその言葉に血の気が引いて顔が青ざめる。「またね」と手をひらつかせながら立ち去っていく上官の姿を呆然と見つめることしか出来なかった。
「兵が怪我をした!!急いで手当てを頼む!!」
調査兵団の兵舎で任務をこなしている途中、急患の兵士が運ばれてきた。自分はたまたま近くにいたため慌てて治療にあたる。怪我をした人はハンジ班のケイジさん。
腕に噛まれたような痕があった。これはもしかして……
「油断した…俺としたことが…いきなり飛びかかってきやがって……クソッ、」
巨人の生体実験の最中に飛びつかれ避けようとしたが間に合わず腕で庇ったところを噛まれてしまった、ということらしい。一先ず傷口を洗い、消毒をした後包帯を巻く。この後、街の診療所で骨まで異常がないか診てもらうという。
ケイジさんは始終悔しそうな顔をしていて見ているこちらも胸が痛くなった。調査兵にとって怪我は命取り。怪我の具合によっては兵士生命が断たれることも…。応急処置を終えたケイジさんの背中を見送りながら自分も踵を返そうと振り返るとそこには自分が持っていた書類をハンジ分隊長がじっくりと眺めていた。
「ハンジ分隊長!」
慌てて声をかけ敬礼する。が、ハンジさんは気付いていないのかまだ自分の書類を穴が空くほど見つめていた。何をそんなに見ているのか。そんなに見るものなんてなかったはず…再度、ハンジさんに声をかけようと口を開きかけた瞬間、書類に混じっているあるものを思い出して勢いよく書類を取り上げた。
「ハンジさん!これ以上は見ないでください!!」
恥ずかしさで顔を赤らめながら書類を胸に抱える。
「ねぇ、それって君がかいたの?」
ハンジさんは自分の様子など気に止めることなく目を輝かせながら尋ねてくる。
「は、はい…これは私が描いたものです…」
そう。ハンジさんが穴が空くほど見ていたのは自分が描いた絵。趣味で時折描いているもので先程も任務が早く片付いたので練習にとペンやインク、自分の手などをスケッチしていた。
誰も知らないことをハンジさんに見られてしまって羞恥心がこみ上げる。
「そうかそうか。君が描いたんだ。へぇ、ふぅん…そうなんだねぇ」
顎に手を当てて眼鏡を光らせるハンジさんになんだか嫌な予感しかしないのは気のせいだろうか…。
「君に提案があるんだがそれをまだ口にすることはよそう。そこでだ…」
ハンジさんが詰め寄りながら話しかけ、何を言われるのかと生唾を飲み込む。間があったのちに、いきなり「あっ!!」と空を指差すので思わず視線を上に移せばその隙に手に持っていた書類を取り上げらた。スケッチの分だけハンジさんは抜き取り他の書類を手渡される。
「このスケッチは預かる。任務中にサボっていたと君の上司に伝えておくよ」
ハンジさんのその言葉に血の気が引いて顔が青ざめる。「またね」と手をひらつかせながら立ち去っていく上官の姿を呆然と見つめることしか出来なかった。
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