あんたの温もりがいい
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1.
ここは調査兵団の本部。
巨人の住まう壁外に調査に出る変人の巣窟。
そこに一人の兵士の声が響き渡っていた。
「ちょっとー!どこに行ったのさー!!まだ実験は終わってないよー!怖くないから出ておいでー!」
本部内に響き渡る大きな声。
それを物陰から聞いている人物がいた。
背後から叫び声が聞こえ物陰に隠れて周囲が落ち着くのを待つ。
—— チッ…なんでこんな目に…
静かになったところを見て走り出すが体が思うように動かない。
—— 走りにくいな……だが早くここから出ねぇと…
隠れては走りを繰り返しやっとの思いで外へ出た。
—— クソッ…なんだこの体は……
周りの物がやたら大きく見え逆に自分の手足は小さく見える。これじゃ馬に乗ろうとしても乗れない。
ひとまず本部を出ようと外の柱の影から出たところで誰かとぶつかった。
「いたた…わっ!僕大丈夫?!」
—— 僕だと?
「痛かったね。ごめんね?怪我してないかな?」
—— こいつ何言ってやがる…俺が僕なんざ…っ!
目の前にいる女兵士は自分を抱き上げると抱っこしているではないか。目線が一気に高くなり混乱する。
「でもなんでこんな調査兵団の本部に小さい子どもなんか…誰かの兄弟かなー…でも君は誰かに似てるような…」
じっと見つめられるが顔を背ける。
—— なるほどな…体が小さくなってるのか…
だとしたら正体がバレたらまずい。
「それにその服。ダボダボじゃない。もう少しで勤務が終わるから一緒に帰りましょう」
着替えて家族を探そうね、女兵士はニコリと笑ってそう言っている。ここを出られるならなんでもいいと思いコクリと頷いといた。
女兵士の自室に行くのだろう。本部から少し離れ始めたその時、ハンジの声が聞こえてきた。
「誰かー!小さい男の子見なかったー?!」
—— まずい
女兵士もハンジの声が聞こえたのか振り返ろうとするので服を引っ張る。そしてハンジがいる反対側を必死に指差した。
「うん?どうしたの?家族を見かけた?」
思い切り何度も頷き、早くここから離れろ、と心で念じる。
「ほんと?!じゃあ急がなきゃね!」
女兵士は走り出し本部から出て周りを見渡すが通る人は少ない。
「この子のご家族の方ー!居ませんかー?!」
誰かー!、と一生懸命声をかけるが誰も反応しない。
それもそうだ。自分には家族は居ないのだから。
女兵士は周りを歩き出すが反応がないため諦めて兵舎に戻る。自室に着くと女兵士は「すぐ戻るから待っててね」と言い部屋を出て行った。
周りを見渡すとそこそこ掃除は行き届いているようだった。自分には敵わないがまぁよしとすることにしてベッドによじ登ると腰掛ける。そして自分の体をマジマジと見つめた。
—— 本当に小さくなってやがる…
体が小さくなった人物。
それはこの人類の中で最強と言われているリヴァイだった。
舌打ちをすると片足を立て腕をそこに預けた。
「お待たせー!今から私の家に……あっ!」
そこへ急に女兵士が入ってきて何かを思い出したのか目を輝かせて近付いて来た。
「ねぇ君!リヴァイ兵長にそっくりだね!」
まずいバレた、と焦ったが次の言葉を聞いて呆れた。
「まさか兵長の隠し子?!嘘っ!ほんとに?!」
などと勝手に盛り上がっている。
それが胸糞悪く思い切り女を睨む。
「あ、ごめんね。お姉さん勝手に盛り上がっちゃって…自分の名前言えるかな?パパかママの名前でもいいよ?」
女は屈んで目線を合わせるとニコニコと笑いかけてくる。面倒くさいが言う他ない。
「イバイ(リヴァイ)」
—— チッ。思ったように話せねぇ…
「イバイくんって言うのね?私はハルよ。よろしくね!」
さて、と女は立ち上がると自分を抱き上げる。
このままではまたハンジに見つかるし他の兵士の目にとまる。マントが見えたのでそれを指差す。
「ん?マント?マントを着たいの?」
コクリと頷くと女はマントを羽織らせてくれふわりと柑橘類の香りがほのかに漂う。
マントを羽織るがサイズが合わない。それもそのはずなんだが女は考えると自分を抱き上げマントを羽織る。
「これで着ている雰囲気は出せるかな?」
そのおかげで自分の姿はすっぽりと隠れている。
コクリと頷くと女は部屋を出た。
何人かの兵士に声をかけられていたが「あいつマント着てんぞ」「もう仕事終わりなのにいつまで着てるの」と呆れられ馬鹿にされている。
女はハハハ、と笑って誤魔化しそそくさと本部を後にしている。
—— 一発殴りゃすむ話じゃねぇか
そう思ったがこの女は根が優しいのだろう。
そのせいなのか何故か彼女の腕の中は居心地が良かった。
ここは調査兵団の本部。
巨人の住まう壁外に調査に出る変人の巣窟。
そこに一人の兵士の声が響き渡っていた。
「ちょっとー!どこに行ったのさー!!まだ実験は終わってないよー!怖くないから出ておいでー!」
本部内に響き渡る大きな声。
それを物陰から聞いている人物がいた。
背後から叫び声が聞こえ物陰に隠れて周囲が落ち着くのを待つ。
—— チッ…なんでこんな目に…
静かになったところを見て走り出すが体が思うように動かない。
—— 走りにくいな……だが早くここから出ねぇと…
隠れては走りを繰り返しやっとの思いで外へ出た。
—— クソッ…なんだこの体は……
周りの物がやたら大きく見え逆に自分の手足は小さく見える。これじゃ馬に乗ろうとしても乗れない。
ひとまず本部を出ようと外の柱の影から出たところで誰かとぶつかった。
「いたた…わっ!僕大丈夫?!」
—— 僕だと?
「痛かったね。ごめんね?怪我してないかな?」
—— こいつ何言ってやがる…俺が僕なんざ…っ!
目の前にいる女兵士は自分を抱き上げると抱っこしているではないか。目線が一気に高くなり混乱する。
「でもなんでこんな調査兵団の本部に小さい子どもなんか…誰かの兄弟かなー…でも君は誰かに似てるような…」
じっと見つめられるが顔を背ける。
—— なるほどな…体が小さくなってるのか…
だとしたら正体がバレたらまずい。
「それにその服。ダボダボじゃない。もう少しで勤務が終わるから一緒に帰りましょう」
着替えて家族を探そうね、女兵士はニコリと笑ってそう言っている。ここを出られるならなんでもいいと思いコクリと頷いといた。
女兵士の自室に行くのだろう。本部から少し離れ始めたその時、ハンジの声が聞こえてきた。
「誰かー!小さい男の子見なかったー?!」
—— まずい
女兵士もハンジの声が聞こえたのか振り返ろうとするので服を引っ張る。そしてハンジがいる反対側を必死に指差した。
「うん?どうしたの?家族を見かけた?」
思い切り何度も頷き、早くここから離れろ、と心で念じる。
「ほんと?!じゃあ急がなきゃね!」
女兵士は走り出し本部から出て周りを見渡すが通る人は少ない。
「この子のご家族の方ー!居ませんかー?!」
誰かー!、と一生懸命声をかけるが誰も反応しない。
それもそうだ。自分には家族は居ないのだから。
女兵士は周りを歩き出すが反応がないため諦めて兵舎に戻る。自室に着くと女兵士は「すぐ戻るから待っててね」と言い部屋を出て行った。
周りを見渡すとそこそこ掃除は行き届いているようだった。自分には敵わないがまぁよしとすることにしてベッドによじ登ると腰掛ける。そして自分の体をマジマジと見つめた。
—— 本当に小さくなってやがる…
体が小さくなった人物。
それはこの人類の中で最強と言われているリヴァイだった。
舌打ちをすると片足を立て腕をそこに預けた。
「お待たせー!今から私の家に……あっ!」
そこへ急に女兵士が入ってきて何かを思い出したのか目を輝かせて近付いて来た。
「ねぇ君!リヴァイ兵長にそっくりだね!」
まずいバレた、と焦ったが次の言葉を聞いて呆れた。
「まさか兵長の隠し子?!嘘っ!ほんとに?!」
などと勝手に盛り上がっている。
それが胸糞悪く思い切り女を睨む。
「あ、ごめんね。お姉さん勝手に盛り上がっちゃって…自分の名前言えるかな?パパかママの名前でもいいよ?」
女は屈んで目線を合わせるとニコニコと笑いかけてくる。面倒くさいが言う他ない。
「イバイ(リヴァイ)」
—— チッ。思ったように話せねぇ…
「イバイくんって言うのね?私はハルよ。よろしくね!」
さて、と女は立ち上がると自分を抱き上げる。
このままではまたハンジに見つかるし他の兵士の目にとまる。マントが見えたのでそれを指差す。
「ん?マント?マントを着たいの?」
コクリと頷くと女はマントを羽織らせてくれふわりと柑橘類の香りがほのかに漂う。
マントを羽織るがサイズが合わない。それもそのはずなんだが女は考えると自分を抱き上げマントを羽織る。
「これで着ている雰囲気は出せるかな?」
そのおかげで自分の姿はすっぽりと隠れている。
コクリと頷くと女は部屋を出た。
何人かの兵士に声をかけられていたが「あいつマント着てんぞ」「もう仕事終わりなのにいつまで着てるの」と呆れられ馬鹿にされている。
女はハハハ、と笑って誤魔化しそそくさと本部を後にしている。
—— 一発殴りゃすむ話じゃねぇか
そう思ったがこの女は根が優しいのだろう。
そのせいなのか何故か彼女の腕の中は居心地が良かった。
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