物語の続きを君と
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11.
ヒロイン side
「嫌です!お父様!!結婚だなんて…!」
「ハル……分かってくれ」
「何故私なのですか?!お姉様達だってまだ婚姻していないのに!!」
「あら。いいのよハル。あの方のご子息なら譲ってあげるわ」
「まぁ少し権力があって裕福だけれど……そんな方は探せばまだいるわよ」
「ハル……おめでとうと言っていいのかしら…あなたならやっていけるわ、」
今、お姉様達の前で自分の婚姻発表があった。お姉様達の反応はそれぞれ。だが、思ってた通りで少し心の中で笑う。
──『12月〇日、決行。家を出たらストヘス区へ』
本格的に冬が到来。うんと冷え込みが増し、彼が来た次の日に、遠のいていたあの本屋へ向かってみた。すると老人の店主が、彼からだよ、と1冊の本を渡され慌てて受け取るとお店の奥に行き表紙を開いた。そこには小さなメモがあって決行日が記されていた。
久しぶりに見る彼の字に胸がじんわりと温かくなるのを感じたが首を振って彼への気持ちに蓋をする。手の平の上で転がされてるようで居心地が悪い。でもこうするしかないのだ…。
メモを挟んで本屋を後にしたがその様子を彼の部下が見ているとは知らず屋敷に着いた。
そして迎えた決行の日。
お姉様達の言葉も聞いたところで父があの話をした。閉じ込めるなんて、自由がないのは真っ平御免だ、そんな事を言えば姉達も、それは酷いだの反応を見せる。
「嫌です…お父様。私はその婚姻は受け入れません!」
「ハル…!!」
走ってリビングを出て自室へと戻る。そして誰が来ても「来ないで!」と追いやった。夜が更けるのを待ち、小さな荷物を持って予め用意しておいたシーツの紐を窓から垂らす。窓枠に脚を乗せ生唾を飲み込む。少し高いけれどそんな事は言ってられない。
ここに居ても生き地獄を味わう事になる…。
父にはメモを残し、きっと見つけて読んでくれる…作戦が上手くいく事を願い紐をキツく握り締め、今にも雪が降り出しそうな寒く暗い空の下へと慎重に脚を動かしていった。
静かに屋敷を抜け出してストヘス区がある方向へと小走りで向かう。マントを羽織ってフードを深く被り、昼間とは打って変わって人通りの少ない大通りを進む。だが、誰かが後を追いかけているような感覚がして怖くなり走り出した。
自分が走り出すと後ろから聞こえた足音も走りだし、やっぱり自分が狙われてる、そうと分かれば一気に恐怖が体を襲う。
──だ、誰かっ!!
走って走って息も絶え絶えになり細い路地へ逃げ込もうとしたが躓いて思い切り転倒する。
「いっ…痛っ……」
転倒した際に脚を何かにぶつけたようで脛に鈍い痛みが走る。立ち上がろうとしても痛くて歩けない。それでも逃げなければ追いつかれてしまう…。
そこで思い出した。
ここ最近、若い娘が誘拐される事件が相次いでいる、と…。娘達の行方は分かっておらず未だ見つかっていない。そんな話を頭を過ぎって泣きそうになった。自分の事で一杯になって不覚だった、と…。
──ど、どうすれば…
「見つけたぜ、お嬢さん」
「ひっ!」
暗闇から舐めるような低い男の声がして怯えてしまう。怖くて怖くて仕方がない。でも逃げたいのに逃げられない。体がカタカタと小さく震えだし逃げ道がないか探した。けれど、周りを見渡すと男の人が何人もいて囲まれている。
「ようよう、こんな夜遅くにピクニックかい?」
「…違います」
「まずはその面見せな」
「…っ!」
最初に声を掛けた男が近付きフードに手をかけ勢いよく外される。
「ヒュー。あんた…いい面してんな…こりゃ上玉だぜ、へへへ」
顎を掴まれ右左へと動かすと気味の悪い笑いをする男。体が思うように動かない今は睨みつけることしか出来ない。
「へぇ…そんな顔も出来るのかい。いいねぇ、そそるぜ」
そう言って首筋を舐められて背筋に悪寒が走る。びちゃ…そんな音が聞こえ男の舌が首筋を這っていく。気持ち悪くて怖くて、自分がどうなるのか先を見たような気がして目から涙が零れた。
「おっと!泣くんじゃねぇ。泣き腫らした目じゃいい値がつかねぇじゃねぇか」
男は誰かに合図をすると急に目の前が真っ暗になった。
「な、嫌です!やめて!」
「いきなりピーピーとうるせぇな」
「待って!離して下さい!誰か!むぐ!」
目隠しをされ手も縛られ、抱えられたと思ったら今度は口にも何か布のような物で塞がれる。自分はこれから売られてしまう…作戦も何も意味がない…そう思って静かに涙を流す。だが、次に耳にしたのは男達の呻き声。
「ぐはっ」と次から次へ、細い路地に木霊した。
ヒロイン side
「嫌です!お父様!!結婚だなんて…!」
「ハル……分かってくれ」
「何故私なのですか?!お姉様達だってまだ婚姻していないのに!!」
「あら。いいのよハル。あの方のご子息なら譲ってあげるわ」
「まぁ少し権力があって裕福だけれど……そんな方は探せばまだいるわよ」
「ハル……おめでとうと言っていいのかしら…あなたならやっていけるわ、」
今、お姉様達の前で自分の婚姻発表があった。お姉様達の反応はそれぞれ。だが、思ってた通りで少し心の中で笑う。
──『12月〇日、決行。家を出たらストヘス区へ』
本格的に冬が到来。うんと冷え込みが増し、彼が来た次の日に、遠のいていたあの本屋へ向かってみた。すると老人の店主が、彼からだよ、と1冊の本を渡され慌てて受け取るとお店の奥に行き表紙を開いた。そこには小さなメモがあって決行日が記されていた。
久しぶりに見る彼の字に胸がじんわりと温かくなるのを感じたが首を振って彼への気持ちに蓋をする。手の平の上で転がされてるようで居心地が悪い。でもこうするしかないのだ…。
メモを挟んで本屋を後にしたがその様子を彼の部下が見ているとは知らず屋敷に着いた。
そして迎えた決行の日。
お姉様達の言葉も聞いたところで父があの話をした。閉じ込めるなんて、自由がないのは真っ平御免だ、そんな事を言えば姉達も、それは酷いだの反応を見せる。
「嫌です…お父様。私はその婚姻は受け入れません!」
「ハル…!!」
走ってリビングを出て自室へと戻る。そして誰が来ても「来ないで!」と追いやった。夜が更けるのを待ち、小さな荷物を持って予め用意しておいたシーツの紐を窓から垂らす。窓枠に脚を乗せ生唾を飲み込む。少し高いけれどそんな事は言ってられない。
ここに居ても生き地獄を味わう事になる…。
父にはメモを残し、きっと見つけて読んでくれる…作戦が上手くいく事を願い紐をキツく握り締め、今にも雪が降り出しそうな寒く暗い空の下へと慎重に脚を動かしていった。
静かに屋敷を抜け出してストヘス区がある方向へと小走りで向かう。マントを羽織ってフードを深く被り、昼間とは打って変わって人通りの少ない大通りを進む。だが、誰かが後を追いかけているような感覚がして怖くなり走り出した。
自分が走り出すと後ろから聞こえた足音も走りだし、やっぱり自分が狙われてる、そうと分かれば一気に恐怖が体を襲う。
──だ、誰かっ!!
走って走って息も絶え絶えになり細い路地へ逃げ込もうとしたが躓いて思い切り転倒する。
「いっ…痛っ……」
転倒した際に脚を何かにぶつけたようで脛に鈍い痛みが走る。立ち上がろうとしても痛くて歩けない。それでも逃げなければ追いつかれてしまう…。
そこで思い出した。
ここ最近、若い娘が誘拐される事件が相次いでいる、と…。娘達の行方は分かっておらず未だ見つかっていない。そんな話を頭を過ぎって泣きそうになった。自分の事で一杯になって不覚だった、と…。
──ど、どうすれば…
「見つけたぜ、お嬢さん」
「ひっ!」
暗闇から舐めるような低い男の声がして怯えてしまう。怖くて怖くて仕方がない。でも逃げたいのに逃げられない。体がカタカタと小さく震えだし逃げ道がないか探した。けれど、周りを見渡すと男の人が何人もいて囲まれている。
「ようよう、こんな夜遅くにピクニックかい?」
「…違います」
「まずはその面見せな」
「…っ!」
最初に声を掛けた男が近付きフードに手をかけ勢いよく外される。
「ヒュー。あんた…いい面してんな…こりゃ上玉だぜ、へへへ」
顎を掴まれ右左へと動かすと気味の悪い笑いをする男。体が思うように動かない今は睨みつけることしか出来ない。
「へぇ…そんな顔も出来るのかい。いいねぇ、そそるぜ」
そう言って首筋を舐められて背筋に悪寒が走る。びちゃ…そんな音が聞こえ男の舌が首筋を這っていく。気持ち悪くて怖くて、自分がどうなるのか先を見たような気がして目から涙が零れた。
「おっと!泣くんじゃねぇ。泣き腫らした目じゃいい値がつかねぇじゃねぇか」
男は誰かに合図をすると急に目の前が真っ暗になった。
「な、嫌です!やめて!」
「いきなりピーピーとうるせぇな」
「待って!離して下さい!誰か!むぐ!」
目隠しをされ手も縛られ、抱えられたと思ったら今度は口にも何か布のような物で塞がれる。自分はこれから売られてしまう…作戦も何も意味がない…そう思って静かに涙を流す。だが、次に耳にしたのは男達の呻き声。
「ぐはっ」と次から次へ、細い路地に木霊した。
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