物語の続きを君と
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(Erwin side)
843年。
内地のとある本屋。
書物が好きな自分には持ってこいの場所だ。
たまに書籍の掘り出し物が見つかることがあるため内地を訪れた際には足を運ぶ。
兵服ではない今は気持ちも少し緩み静かな本屋で過ごすこの時間が好きだった。
数列並んだ本棚を物色していると気になるものを見つけ手を伸ばす。
その指先が背表紙に触れる直前、横からの指先と触れた。
「あっ」
指先の持ち主を探し横を見れば、
小柄な女性が慌てて手を引っ込めていた。
「ご、ごめんなさい」
「いや。君もこれが気になるのか?」
本を手に取り彼女に渡す。
「君が読むといい」
「いえ!そんな!私は大丈夫ですから!」
本を渡そうとするがなかなか受け取ってくれない。
何故そこまで拒否をするのか不思議に思う。
何か理由がありそうだ。
見たところ少し長めの茶髪を横にまとめ結んでおり、
その髪ツヤは綺麗なものだ。
服装も小綺麗でいいところの娘だという事がわかる。
なるほど。
指図め、
家族から書物を手にする事を禁じられているのか。
「ではこれは私が買うとしよう」
「はい。是非そうして下さい」
彼女はニコリと微笑み店を出ようとする。
「待ってくれ」
声をかけ会計を済ませ彼女の元へ歩み寄る。
その大きな瞳がこちらを見上げていた。
「私が読み終わったら読むといい。
この本屋に預けておくよ」
「えっ!そんな......!」
「読書は悪いことではない。
知識も深まる上に想像が豊かになる。
さまざまな可能性を秘めているしな。
誰かに止められようと読みたいのなら読むといい」
「あの......あなたは...?」
何故か少し熱く語ってしまい、
それを聞いた彼女が目を見開いて驚いていた。
ハッと瞳を閉じ、小さく息を吐いて彼女を見る。
「すまない。語りすぎたようだ。
私の事は気にしないでくれ」
では、と先に本屋を出て宿屋に戻る。
先程買った本を鞄に詰め込み、
調査兵団本部のあるウォール・ローゼへと向かった。
ーーーーーー
それから数日後。
就寝前に本を読み進め今日読み終わった。
約束は果たさなければならない。
次に内地に行く予定が数日後に控えていたため、
そこでまたあの本屋を訪れる事にする。
※ ※ ※
内地にて任務を終え、
兵服を脱ぎ私服に着替えてすぐに出かける。
もちろん行き先はあの本屋だ。
片手には彼女に渡す予定の本を持っている。
目的の本屋に着くと扉を開ける。
「いらっしゃい」
年老いた店主が穏やかな声で挨拶をする。
頷いて返答しグルっと店内を歩いて回った。
どうやらあの彼女はいないようだ。
「あの娘 なら今日は来とらんよ」
店主には分かるようでそう声をかけられた。
「そのようですね。
これを彼女に渡してもらえないだろうか?
約束だったもので......何も買わず申し訳ない」
本屋なのに預けて帰るだけとは、
少し気が引けるが店主は首を振っている。
「いや。いいんじゃよ。
本屋で新たな物語が生まれるのは悪くない。
その本。わしが預かって渡すとしよう」
店主はそう言い本を預かってくれる。
自分はもう一度店内を物色してから店を後にした。
(Erwin side)
843年。
内地のとある本屋。
書物が好きな自分には持ってこいの場所だ。
たまに書籍の掘り出し物が見つかることがあるため内地を訪れた際には足を運ぶ。
兵服ではない今は気持ちも少し緩み静かな本屋で過ごすこの時間が好きだった。
数列並んだ本棚を物色していると気になるものを見つけ手を伸ばす。
その指先が背表紙に触れる直前、横からの指先と触れた。
「あっ」
指先の持ち主を探し横を見れば、
小柄な女性が慌てて手を引っ込めていた。
「ご、ごめんなさい」
「いや。君もこれが気になるのか?」
本を手に取り彼女に渡す。
「君が読むといい」
「いえ!そんな!私は大丈夫ですから!」
本を渡そうとするがなかなか受け取ってくれない。
何故そこまで拒否をするのか不思議に思う。
何か理由がありそうだ。
見たところ少し長めの茶髪を横にまとめ結んでおり、
その髪ツヤは綺麗なものだ。
服装も小綺麗でいいところの娘だという事がわかる。
なるほど。
指図め、
家族から書物を手にする事を禁じられているのか。
「ではこれは私が買うとしよう」
「はい。是非そうして下さい」
彼女はニコリと微笑み店を出ようとする。
「待ってくれ」
声をかけ会計を済ませ彼女の元へ歩み寄る。
その大きな瞳がこちらを見上げていた。
「私が読み終わったら読むといい。
この本屋に預けておくよ」
「えっ!そんな......!」
「読書は悪いことではない。
知識も深まる上に想像が豊かになる。
さまざまな可能性を秘めているしな。
誰かに止められようと読みたいのなら読むといい」
「あの......あなたは...?」
何故か少し熱く語ってしまい、
それを聞いた彼女が目を見開いて驚いていた。
ハッと瞳を閉じ、小さく息を吐いて彼女を見る。
「すまない。語りすぎたようだ。
私の事は気にしないでくれ」
では、と先に本屋を出て宿屋に戻る。
先程買った本を鞄に詰め込み、
調査兵団本部のあるウォール・ローゼへと向かった。
ーーーーーー
それから数日後。
就寝前に本を読み進め今日読み終わった。
約束は果たさなければならない。
次に内地に行く予定が数日後に控えていたため、
そこでまたあの本屋を訪れる事にする。
※ ※ ※
内地にて任務を終え、
兵服を脱ぎ私服に着替えてすぐに出かける。
もちろん行き先はあの本屋だ。
片手には彼女に渡す予定の本を持っている。
目的の本屋に着くと扉を開ける。
「いらっしゃい」
年老いた店主が穏やかな声で挨拶をする。
頷いて返答しグルっと店内を歩いて回った。
どうやらあの彼女はいないようだ。
「あの
店主には分かるようでそう声をかけられた。
「そのようですね。
これを彼女に渡してもらえないだろうか?
約束だったもので......何も買わず申し訳ない」
本屋なのに預けて帰るだけとは、
少し気が引けるが店主は首を振っている。
「いや。いいんじゃよ。
本屋で新たな物語が生まれるのは悪くない。
その本。わしが預かって渡すとしよう」
店主はそう言い本を預かってくれる。
自分はもう一度店内を物色してから店を後にした。
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