あなたの側で ●**
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3.●
※attention
この先、
夢主が命を落とします。
切ないです。
苦手な方はご注意下さい。
「うっ……」
目を開けると視界が歪んで見える。
頭がかち割れそうなくらい痛み呼吸も上手く出来ない。
「目がさめたか。岩の隙間に挟まっていたんだが…その怪我じゃあんたは助からないだろう…」
声のする方をゆっくり見ると一人の兵士が側にいた。
ーーまだ生きてる…
でも彼は…?
みんなは…?
手を伸ばして彼の服を掴むと声を絞り出すように訴えた。
「お、ねがい……彼の…隊長の……所まで…連れてって…」
「それは出来ない」
「最期に…会わせて……」
お願い…と消え入る声で呟くと服を掴んだ兵士からため息が聞こえ体が浮いた。
兵士は誰かを探すように他の兵士に声をかけやっと目的の場所に着く。
「兵長」
「なんだ。…その女は…」
「はっ。生き残りの憲兵です。ですが怪我がひどくもう長くは持ちません。彼女は最期に彼に会いたいと言うので連れて参りました」
そんな会話が耳に聞こえ彼の元に来たのだと分かった。ゆっくり降ろされると目を開けて彼を探した。
木にもたれかかるようにして座っている彼の姿を見つけて手を伸ばすが上手く動かない。
どうやら頭を強く打ちすぎてるようだ。
すると体がまた浮き彼の隣に座らせてくれるので誰かと思って見ると彼がドチビと言っていたリヴァイだった。
「あんたはあの時撃たなかった奴だな」
何故撃たなかった、理由を聞かれ小さく笑うと彼を見る。
「あなたの…姿が……彼と重なったの…」
だからやめた、そう言うと驚いている。
「私は……彼と体を重ねてた…年の差、ありすぎるのにね……」
話しながら彼の方を向くがピクリとも動かない。
手を伸ばせばまだ体は温かい。だが、彼の姿は無惨なものだった。
「ごめん、なさい……生き残るのは…難しい、みたい…」
もう彼には届かないだろうが声に出して伝えたかった。
「愛してくれて…ありがとう……ケニー…」
彼の手を握りしめてその時を待つ。
「そうか…コイツも人だったんだな…」
ふとそんな声が聞こえて目を開けるとまだリヴァイがいた。
「あなたは…幼い頃……一緒にいたのよね…」
「あぁ。コイツは母さんの兄だ。俺からしたら伯父だな」
それを聞いて今度はこちらが驚く方だった。
ーーなるほど…血が繋がってるのね…だから…
「あなたと彼が…重なって見えたのは当たり前、か…」
もう意識が遠のいていく。
「彼は…あなたの…話をする、とき…何故か楽しそうに…見えた…」
リヴァイを見て微笑む。
「敵に…なったけど…気にかけて、いたと思う…」
「もういい。話すな」
リヴァイはそう言うが首を振って言葉を続けた。
「あなたは…生きて……きっと彼も…」
ーーそう望んでるはずだから…
そう伝えたかったがもう話す力がないほど呼吸も弱くなってる。もう一度彼の方を向き体を傾け肩に頭を乗せた。
ーーもう…意識が……
目を閉じて彼の手に乗せた自分の手を最期の力を振り絞って握りしめる。
「あなたの……そばで…」
ーーどうか…ねむらせて……
頭の痛みが何故かなくなったと思うとそのまま眠りに落ちるように意識が遠のいていった。
ーーーーーー
「あなたの…そばで……」
憲兵の女はそう小さな声で呟くと静かになった。口元に手を当てると息をしていない。
敵だったが何故か息を引き取った女には生きて欲しいと思ってしまった。
ーー無駄な死は避けたかった
ケニーもまた生き残った憲兵がいないか聞き名前を言っていた。
ーーハル、と言ったか
その名前の人物は恐らくこの女だろう。
ケニーも最期に人を愛したようだ。
それはこの女だからなのかもしれない。
直感だがそう感じた。
ーー生きていれば…
酒を飲み交わしながらこの男の愚痴話が出来たかもしれない。
ーーはっ。俺も情けねぇ
リヴァイは二人の体を地面に横たわらせると女とケニーの手を重ねた。
ーー生まれ変わりなんざあるんなら…次は…
そんな事を思いながらその場を離れる。
兵士に声をかけ二人は隣同士の墓に入れるように伝えた。
ーー俺にはそれぐらいしか出来ねぇ
暇が出来たら墓参りにでも行こうと決め生き残った自分たちは明日へ向かって歩き出す。
ーー『あなたは……生きて…』
あの女の声が耳に残る。
ーーあぁ。その時はくるだろうが無駄死にしねぇようにだけ心掛けてやるよ
歩きながら空を見上げ目を細めた。
ーーーーーー
憲兵に入ってあなたと出会い、
短い時間だったけど愛し合った。
結ばれることはなかったけれどそれでも満たされた。
あなたがもう少し若くてもう少し早く出会っていれば。
何度もそう思った。
けれど、後悔はしていない。
最期にはあなたの側にいられたから。
生まれ変われるなら次はあなたと恋をしたい。
もっと若いあなたと一緒に長く生き共に過ごそう。
未来でもあなたの側で。
あなたの側で
fin.
※attention
この先、
夢主が命を落とします。
切ないです。
苦手な方はご注意下さい。
「うっ……」
目を開けると視界が歪んで見える。
頭がかち割れそうなくらい痛み呼吸も上手く出来ない。
「目がさめたか。岩の隙間に挟まっていたんだが…その怪我じゃあんたは助からないだろう…」
声のする方をゆっくり見ると一人の兵士が側にいた。
ーーまだ生きてる…
でも彼は…?
みんなは…?
手を伸ばして彼の服を掴むと声を絞り出すように訴えた。
「お、ねがい……彼の…隊長の……所まで…連れてって…」
「それは出来ない」
「最期に…会わせて……」
お願い…と消え入る声で呟くと服を掴んだ兵士からため息が聞こえ体が浮いた。
兵士は誰かを探すように他の兵士に声をかけやっと目的の場所に着く。
「兵長」
「なんだ。…その女は…」
「はっ。生き残りの憲兵です。ですが怪我がひどくもう長くは持ちません。彼女は最期に彼に会いたいと言うので連れて参りました」
そんな会話が耳に聞こえ彼の元に来たのだと分かった。ゆっくり降ろされると目を開けて彼を探した。
木にもたれかかるようにして座っている彼の姿を見つけて手を伸ばすが上手く動かない。
どうやら頭を強く打ちすぎてるようだ。
すると体がまた浮き彼の隣に座らせてくれるので誰かと思って見ると彼がドチビと言っていたリヴァイだった。
「あんたはあの時撃たなかった奴だな」
何故撃たなかった、理由を聞かれ小さく笑うと彼を見る。
「あなたの…姿が……彼と重なったの…」
だからやめた、そう言うと驚いている。
「私は……彼と体を重ねてた…年の差、ありすぎるのにね……」
話しながら彼の方を向くがピクリとも動かない。
手を伸ばせばまだ体は温かい。だが、彼の姿は無惨なものだった。
「ごめん、なさい……生き残るのは…難しい、みたい…」
もう彼には届かないだろうが声に出して伝えたかった。
「愛してくれて…ありがとう……ケニー…」
彼の手を握りしめてその時を待つ。
「そうか…コイツも人だったんだな…」
ふとそんな声が聞こえて目を開けるとまだリヴァイがいた。
「あなたは…幼い頃……一緒にいたのよね…」
「あぁ。コイツは母さんの兄だ。俺からしたら伯父だな」
それを聞いて今度はこちらが驚く方だった。
ーーなるほど…血が繋がってるのね…だから…
「あなたと彼が…重なって見えたのは当たり前、か…」
もう意識が遠のいていく。
「彼は…あなたの…話をする、とき…何故か楽しそうに…見えた…」
リヴァイを見て微笑む。
「敵に…なったけど…気にかけて、いたと思う…」
「もういい。話すな」
リヴァイはそう言うが首を振って言葉を続けた。
「あなたは…生きて……きっと彼も…」
ーーそう望んでるはずだから…
そう伝えたかったがもう話す力がないほど呼吸も弱くなってる。もう一度彼の方を向き体を傾け肩に頭を乗せた。
ーーもう…意識が……
目を閉じて彼の手に乗せた自分の手を最期の力を振り絞って握りしめる。
「あなたの……そばで…」
ーーどうか…ねむらせて……
頭の痛みが何故かなくなったと思うとそのまま眠りに落ちるように意識が遠のいていった。
ーーーーーー
「あなたの…そばで……」
憲兵の女はそう小さな声で呟くと静かになった。口元に手を当てると息をしていない。
敵だったが何故か息を引き取った女には生きて欲しいと思ってしまった。
ーー無駄な死は避けたかった
ケニーもまた生き残った憲兵がいないか聞き名前を言っていた。
ーーハル、と言ったか
その名前の人物は恐らくこの女だろう。
ケニーも最期に人を愛したようだ。
それはこの女だからなのかもしれない。
直感だがそう感じた。
ーー生きていれば…
酒を飲み交わしながらこの男の愚痴話が出来たかもしれない。
ーーはっ。俺も情けねぇ
リヴァイは二人の体を地面に横たわらせると女とケニーの手を重ねた。
ーー生まれ変わりなんざあるんなら…次は…
そんな事を思いながらその場を離れる。
兵士に声をかけ二人は隣同士の墓に入れるように伝えた。
ーー俺にはそれぐらいしか出来ねぇ
暇が出来たら墓参りにでも行こうと決め生き残った自分たちは明日へ向かって歩き出す。
ーー『あなたは……生きて…』
あの女の声が耳に残る。
ーーあぁ。その時はくるだろうが無駄死にしねぇようにだけ心掛けてやるよ
歩きながら空を見上げ目を細めた。
ーーーーーー
憲兵に入ってあなたと出会い、
短い時間だったけど愛し合った。
結ばれることはなかったけれどそれでも満たされた。
あなたがもう少し若くてもう少し早く出会っていれば。
何度もそう思った。
けれど、後悔はしていない。
最期にはあなたの側にいられたから。
生まれ変われるなら次はあなたと恋をしたい。
もっと若いあなたと一緒に長く生き共に過ごそう。
未来でもあなたの側で。
あなたの側で
fin.