鬼ごっこ
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鬼ごっこ1
「鬼ごっこやらねぇかー?!」
それはコニーの思いつきから始まった。
今は訓練時間のちょっとした休憩時間。
それはさすがにしんどいということで昼休憩にすることになった。
メンバーはエレン、ミカサ、アルミン、コニー、サシャ、クリスタ、ユミル、ライナー、ベルトルト、マルコ、ミーナ、私。
「なんだよジャンはやらねぇのか?」
コニーが不満そうにしている。
「はっ。そんなガキの遊びなんざごめんだ」
「オイ、誰がガキの遊びだと?」
それを聞いたエレンがキレている。
「あぁ?ガキっつったんだよ。お子ちゃまの方がよかったか?」
悪りぃ悪りぃとジャンが嘲笑う。
エレンが飛びかかろうとするのを止めるアルミンたち。
全くこの二人は、
—— どうしてこうも仲が悪いのかな
やれやれとその様子を見ているとマルコがジャンに近付く。
「まぁまぁ。ジャン、鬼ごっこも一概には子どもの遊びとは言えないんじゃないかな?」
「ああ?どういうことだ」
マルコがジャンをなだめ説明を始めた。
「子どもがやればただの遊びだ。でも僕たちは訓練兵。逃げる追いかけるの単純そうなものだけど意外と体力と忍耐力が必要だ。それに隠れるならば見つからないように、見つけるために頭を働かせないといけない。つまりは頭脳戦でもある。日々の訓練の成果を試せることでもあるじゃないかと思うんだ」
なるほど、確かにマルコの言ってることは筋が通っており納得する。
「けっ、なんだよ。そんなに俺を参加させてぇのか?だがごめんだぜ」
「なんだよ。怖じ気づいてんか?」
そこでエレンが野次を飛ばす。
「あぁ?!っるっせぇな!馬鹿野郎!!」
今にも取っ組み合いの喧嘩が始まりそうな二人。
「分かったよ。参加してお前をとっ捕まえてやる」
「おっ!なんだなんだ!ジャンもやんのか?」
じゃあ鬼決めよーぜ!、とコニーの合図で鬼を決めようとするがジャンが鬼になると名乗り出た。
「隠れながら逃げるのもありだかんな!ジャン頑張れよ〜」
コニーがルールを説明するとみんなで走って逃げる。自分は一先ず近くの森の中へ逃げた。
茂みに隠れジャンの様子を伺う。
「おい」
息を潜めて周りの音に耳を澄ませていたためいきなり声をかけられたことで心臓が飛び跳ねた。
「わっ!なんだ、エレンか…驚かさせないでよ」
声をかけたのはエレンで隣にしゃがむが意外と距離が近くてドキリとする。
「あいつはまだか?」
「ジャンのこと?まだこっちの方には来てないよ」
そうか、とその後は何も言わずじっと茂みの向こうを見ている。
「ねぇ。前から気になってたんだけど…なんでジャンとそんなに仲が悪いの?」
「知るかよ。そんなもんあいつに聞け」
ジャンとのことを聞いてみたけどエレンはそれが気に入らなかったのか一気に機嫌が悪くなった。すぐ隣にいるのでイライラしているのが手に取るように分かる。さすがに居心地が悪いし雰囲気も悪い。
「ごめん、エレン…」
「別に…俺も言い方が悪かった」
まさかエレンがそんな風に言うとは思ってなかったので驚く。そしてふふっと小さく笑った。
「何笑ってんだ」
「いや、エレンが素直に謝るから嬉しくて…」
「ハルはいい奴だからよ」
「ほんと?ありが……っ!」
ありがとう、と笑顔でエレンの方を向くと至近距離にエレンの顔があった。そしてあの真っ直ぐなエメラルドグリーンの瞳で見つめられ息を飲んでしまう。時が止まったように見つめ合って心臓がうるさく鳴り出した。
「え、エレン…?」
どうしていいか分からず声をかけたその時、近くで足音がした。ハッと身を縮めようとするとエレンに腕を引かれて背中から抱きしめられた。声が出ないように手で口元が覆われもう片方の腕は腰に回されてかなり密着している。早鐘のように鼓動が速く脈を打ち始めなんでこうなったのか訳か分からなかった。足音が段々と近付くとエレンの抱きしめる腕に力が入り更に密着する。耳元にエレンの顔があるのか息遣いが耳にかかりくすぐったい。
—— 早く……早く…行って…
きっとこっちに歩いて来てるのはジャンだろう。今この状況で見つかるのはマズイ。早く通り過ぎてくれるのを待つがそれもこの状況ではいつまでも耐えられない。その時、また別の場所でガサッと音が聞こえ「あっちか」とジャンの声がしたのと同時に足音も遠ざかっていった。辺りが静かになりホッと一安心するもまだエレンに抱きしめられているのに気付き体が火照りだす。エレンは口元を押さえていた手を退けるが何故か体は離してくれない。
「エレン?ジャン行ったよ?大丈夫だから…」
「あ、あぁ…そうなんだけどよ…」
もう少しこのまま、とエレンが抱きしめる。足と腕でガッチリ体を固定され身動きが取れない。心臓がうるさく脈を打ちエレンにも伝わるんじゃないかと気がかりだった。
「お前…あいつの事好きなのか?」
「えっ?あいつ?」
「…ジャンの奴に決まってんだろ」
「えー?まぁ上から目線な時は嫌だけど背も高いしそこそこ頭もいいからなー…でもそれだったらまだベルトルトやマルコの方がいいと思うけど。あ、ライナーも兄貴肌で頼りになるしいいかもねー…って、ちょ!エレン!」
そんな風に話をしているとエレンの手がお腹を触り始めた。
「俺のことはどうなんだよ」
耳をカプリと噛んできた。
「—— エレン、なにして…」
「答えろよ」
「ちょ、今鬼ごっこ中…」
「そんなもんどうだっていい。今はこっちの方が大事だ」
もうすぐここを卒業すんだからな、とエレンが付け加える。そしてまた耳をパクッと口に含ませていく。
「んッ…え、れん……」
「で、どうなんだよ」
「—— っ!エレンのことは……その…」
どう言おうか悩んでいるとまた足音が近づいて来た。今度は複数だ。
「エレンとハルはどこ行ったのかなー」
この声はミーナだ。
「さすがにそろそろ休憩時間が終わるからね」
それにアルミンが答えている。
「早く探そう」
ミカサも一緒にいるようだ。
休憩が終わると聞いて身動きするとぎゅっとまた抱きしめられる。
「エレン、もう行かないと…」
「わかってる」
スッと腕の力が弱まったのを感じて少し離れる。
「もうエレンってば…ビックリしたよ。心臓に悪い」
まだしゃがんだままエレンを見上げるとじっと見つめられた。
「目ぇつぶれ」
「え?」
「いいから、目ぇつぶれ!」
小声だが眉間に皺を寄せ物凄い気迫で言ってくるので慌てて目を閉じてしまった。すると数秒後、唇に柔らかいものが触れ驚いて目を開けるとエレンの顔が目の前にあった。唇が離れるが顔はまだ近くにあり、頬に手が添えられるとまた唇が塞がれた。まだ大人のキスも知らない触れているだけのキス。
顔が離れるとプイッとそっぽを向くエレン。
「行くぞ」
体を立たせられると手を引かれ森から抜ける。みんなの姿が見えると手は離されたが握られた手と唇はまだ熱を帯びて鼓動も速い。きっと顔も赤いに違いない。
みんなの所へ行くとジャンが激怒している。
エレンを見つけられなかった事がよほど悔しかったのだろう。「またリベンジだ!」と言って 「望むところだ」とエレンも乗っている。
—— 男の子って……
よく分からない、と思いつつみんなで建物の中に入る。なんでキスをしたのかその意味を知りたかったが聞ける勇気もなかった。
「おい。さっきの質問にまだ答えてねぇからな。次、教えろよ」
前にいたエレンが振り向きニヤリとしながらそんな事を言うのでまた鼓動が速くなり赤面してしまう。ミーナやサシャに気付かれ熱でもあるんじゃないかと心配されたが大丈夫だと慌てて否定する。
—— エレンのことをどう思っている、か…
そんなことはここに入ってきた当初から変わらない。強い意志を持ってるあの真っ直ぐな瞳に惹かれてずっと気になっていたのだ。でも近くにはミカサという美人がいるので見ているだけで良かった。
完全に自分の片想い。
—— どう答えよう…
また鬼ごっこで聞かれるのかな…
小さくため息をつき授業に集中した。
そして後日行われた鬼ごっこでは鬼のジャンではなくまたエレンに捕まり質問責めに合わされたのだった。それでもはぐらかし、大声を出して位置を教えたりしてエレンから逃げるのに必死な鬼ごっこになってしまった。
—— いつか私に勇気がもてたら言えますように
ジャンに追いかけられてるエレンの姿を目で追いながら笑って小さく呟いた。
「好きです」
そして自分も鬼から逃れるために走って隠れる場所を探した。
鬼ごっこ fin.
2019.1.23
「鬼ごっこやらねぇかー?!」
それはコニーの思いつきから始まった。
今は訓練時間のちょっとした休憩時間。
それはさすがにしんどいということで昼休憩にすることになった。
メンバーはエレン、ミカサ、アルミン、コニー、サシャ、クリスタ、ユミル、ライナー、ベルトルト、マルコ、ミーナ、私。
「なんだよジャンはやらねぇのか?」
コニーが不満そうにしている。
「はっ。そんなガキの遊びなんざごめんだ」
「オイ、誰がガキの遊びだと?」
それを聞いたエレンがキレている。
「あぁ?ガキっつったんだよ。お子ちゃまの方がよかったか?」
悪りぃ悪りぃとジャンが嘲笑う。
エレンが飛びかかろうとするのを止めるアルミンたち。
全くこの二人は、
—— どうしてこうも仲が悪いのかな
やれやれとその様子を見ているとマルコがジャンに近付く。
「まぁまぁ。ジャン、鬼ごっこも一概には子どもの遊びとは言えないんじゃないかな?」
「ああ?どういうことだ」
マルコがジャンをなだめ説明を始めた。
「子どもがやればただの遊びだ。でも僕たちは訓練兵。逃げる追いかけるの単純そうなものだけど意外と体力と忍耐力が必要だ。それに隠れるならば見つからないように、見つけるために頭を働かせないといけない。つまりは頭脳戦でもある。日々の訓練の成果を試せることでもあるじゃないかと思うんだ」
なるほど、確かにマルコの言ってることは筋が通っており納得する。
「けっ、なんだよ。そんなに俺を参加させてぇのか?だがごめんだぜ」
「なんだよ。怖じ気づいてんか?」
そこでエレンが野次を飛ばす。
「あぁ?!っるっせぇな!馬鹿野郎!!」
今にも取っ組み合いの喧嘩が始まりそうな二人。
「分かったよ。参加してお前をとっ捕まえてやる」
「おっ!なんだなんだ!ジャンもやんのか?」
じゃあ鬼決めよーぜ!、とコニーの合図で鬼を決めようとするがジャンが鬼になると名乗り出た。
「隠れながら逃げるのもありだかんな!ジャン頑張れよ〜」
コニーがルールを説明するとみんなで走って逃げる。自分は一先ず近くの森の中へ逃げた。
茂みに隠れジャンの様子を伺う。
「おい」
息を潜めて周りの音に耳を澄ませていたためいきなり声をかけられたことで心臓が飛び跳ねた。
「わっ!なんだ、エレンか…驚かさせないでよ」
声をかけたのはエレンで隣にしゃがむが意外と距離が近くてドキリとする。
「あいつはまだか?」
「ジャンのこと?まだこっちの方には来てないよ」
そうか、とその後は何も言わずじっと茂みの向こうを見ている。
「ねぇ。前から気になってたんだけど…なんでジャンとそんなに仲が悪いの?」
「知るかよ。そんなもんあいつに聞け」
ジャンとのことを聞いてみたけどエレンはそれが気に入らなかったのか一気に機嫌が悪くなった。すぐ隣にいるのでイライラしているのが手に取るように分かる。さすがに居心地が悪いし雰囲気も悪い。
「ごめん、エレン…」
「別に…俺も言い方が悪かった」
まさかエレンがそんな風に言うとは思ってなかったので驚く。そしてふふっと小さく笑った。
「何笑ってんだ」
「いや、エレンが素直に謝るから嬉しくて…」
「ハルはいい奴だからよ」
「ほんと?ありが……っ!」
ありがとう、と笑顔でエレンの方を向くと至近距離にエレンの顔があった。そしてあの真っ直ぐなエメラルドグリーンの瞳で見つめられ息を飲んでしまう。時が止まったように見つめ合って心臓がうるさく鳴り出した。
「え、エレン…?」
どうしていいか分からず声をかけたその時、近くで足音がした。ハッと身を縮めようとするとエレンに腕を引かれて背中から抱きしめられた。声が出ないように手で口元が覆われもう片方の腕は腰に回されてかなり密着している。早鐘のように鼓動が速く脈を打ち始めなんでこうなったのか訳か分からなかった。足音が段々と近付くとエレンの抱きしめる腕に力が入り更に密着する。耳元にエレンの顔があるのか息遣いが耳にかかりくすぐったい。
—— 早く……早く…行って…
きっとこっちに歩いて来てるのはジャンだろう。今この状況で見つかるのはマズイ。早く通り過ぎてくれるのを待つがそれもこの状況ではいつまでも耐えられない。その時、また別の場所でガサッと音が聞こえ「あっちか」とジャンの声がしたのと同時に足音も遠ざかっていった。辺りが静かになりホッと一安心するもまだエレンに抱きしめられているのに気付き体が火照りだす。エレンは口元を押さえていた手を退けるが何故か体は離してくれない。
「エレン?ジャン行ったよ?大丈夫だから…」
「あ、あぁ…そうなんだけどよ…」
もう少しこのまま、とエレンが抱きしめる。足と腕でガッチリ体を固定され身動きが取れない。心臓がうるさく脈を打ちエレンにも伝わるんじゃないかと気がかりだった。
「お前…あいつの事好きなのか?」
「えっ?あいつ?」
「…ジャンの奴に決まってんだろ」
「えー?まぁ上から目線な時は嫌だけど背も高いしそこそこ頭もいいからなー…でもそれだったらまだベルトルトやマルコの方がいいと思うけど。あ、ライナーも兄貴肌で頼りになるしいいかもねー…って、ちょ!エレン!」
そんな風に話をしているとエレンの手がお腹を触り始めた。
「俺のことはどうなんだよ」
耳をカプリと噛んできた。
「—— エレン、なにして…」
「答えろよ」
「ちょ、今鬼ごっこ中…」
「そんなもんどうだっていい。今はこっちの方が大事だ」
もうすぐここを卒業すんだからな、とエレンが付け加える。そしてまた耳をパクッと口に含ませていく。
「んッ…え、れん……」
「で、どうなんだよ」
「—— っ!エレンのことは……その…」
どう言おうか悩んでいるとまた足音が近づいて来た。今度は複数だ。
「エレンとハルはどこ行ったのかなー」
この声はミーナだ。
「さすがにそろそろ休憩時間が終わるからね」
それにアルミンが答えている。
「早く探そう」
ミカサも一緒にいるようだ。
休憩が終わると聞いて身動きするとぎゅっとまた抱きしめられる。
「エレン、もう行かないと…」
「わかってる」
スッと腕の力が弱まったのを感じて少し離れる。
「もうエレンってば…ビックリしたよ。心臓に悪い」
まだしゃがんだままエレンを見上げるとじっと見つめられた。
「目ぇつぶれ」
「え?」
「いいから、目ぇつぶれ!」
小声だが眉間に皺を寄せ物凄い気迫で言ってくるので慌てて目を閉じてしまった。すると数秒後、唇に柔らかいものが触れ驚いて目を開けるとエレンの顔が目の前にあった。唇が離れるが顔はまだ近くにあり、頬に手が添えられるとまた唇が塞がれた。まだ大人のキスも知らない触れているだけのキス。
顔が離れるとプイッとそっぽを向くエレン。
「行くぞ」
体を立たせられると手を引かれ森から抜ける。みんなの姿が見えると手は離されたが握られた手と唇はまだ熱を帯びて鼓動も速い。きっと顔も赤いに違いない。
みんなの所へ行くとジャンが激怒している。
エレンを見つけられなかった事がよほど悔しかったのだろう。「またリベンジだ!」と言って 「望むところだ」とエレンも乗っている。
—— 男の子って……
よく分からない、と思いつつみんなで建物の中に入る。なんでキスをしたのかその意味を知りたかったが聞ける勇気もなかった。
「おい。さっきの質問にまだ答えてねぇからな。次、教えろよ」
前にいたエレンが振り向きニヤリとしながらそんな事を言うのでまた鼓動が速くなり赤面してしまう。ミーナやサシャに気付かれ熱でもあるんじゃないかと心配されたが大丈夫だと慌てて否定する。
—— エレンのことをどう思っている、か…
そんなことはここに入ってきた当初から変わらない。強い意志を持ってるあの真っ直ぐな瞳に惹かれてずっと気になっていたのだ。でも近くにはミカサという美人がいるので見ているだけで良かった。
完全に自分の片想い。
—— どう答えよう…
また鬼ごっこで聞かれるのかな…
小さくため息をつき授業に集中した。
そして後日行われた鬼ごっこでは鬼のジャンではなくまたエレンに捕まり質問責めに合わされたのだった。それでもはぐらかし、大声を出して位置を教えたりしてエレンから逃げるのに必死な鬼ごっこになってしまった。
—— いつか私に勇気がもてたら言えますように
ジャンに追いかけられてるエレンの姿を目で追いながら笑って小さく呟いた。
「好きです」
そして自分も鬼から逃れるために走って隠れる場所を探した。
鬼ごっこ fin.
2019.1.23
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