想いは手作り菓子にーLeviー
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2.
それからと言うもの鍛錬に励み周りから褒められるようになった。自分にはよく出来る同期がいるが実践では彼女に並んで申し分にないくらいだろうと。
「ハルも凄いがおめぇもよく頑張ってるな」
ゲルガーさんに話しかけられお礼を言う。近くにはナナバさんもいる。
「ほんと急にどうしたんたっていうんだ。威勢はいいが気をつけるんだよ」
ナナバさんは無表情でそう言っているが心配してくれていることは知っている。
「はい。そこは重々承知です」
ナナバさんにニコリと微笑むとふっと口角を上げ笑ってるのが見えた。
時折、リヴァイのことを見かけるがあの時のように話すことは全くなかった。所詮は部下と上司。しかも手が届かない場所に彼はいる。
「はぁ……もっと彼と話せたらいいのになぁー…」
今は愛馬の世話に馬小屋まで来ており優しく撫で彼を想って小さく呟いた。
「誰と話がしてぇんだ」
「わわっ!リヴァイ兵長?!」
いつのまにか彼が自分の馬の近くに立っておりそれに気付かずに独り言を聞かれてしまって恥ずかしくなる。
「それは誰だ」
「えっ、あの…その……」
それはあなたです、なんて言えるわけがない。
どうしたものかと視線を泳がせ慌てていると彼はジロリとこちらを見る。
「まぁいい。最近頑張ってるようじゃねぇか」
「えっ…は、はい」
「鍛錬に励むのはいいが死なねぇ努力もしろ。いいな」
「はい!それは肝に銘じております!」
彼に向かってバッと敬礼すると彼は立ち去ろうとする。が、彼は振り向くとツカツカとゆっくり歩み寄ってきた。自分たちは馬の影になっているので周りからしたら死角にいる。
「あの…リヴァイ兵長?他に何か用が……」
「話してぇ奴ってのは誰だ」
「へ?」
「だから誰だと聞いている」
「えっ、あの…?」
少しずつ近寄ってくるので後退りしてしまい背中に愛馬がいて逃げ場がなくなった。
「早くしろ。誰だ」
彼に鋭い視線で睨まれビクッと体に緊張が走り何も言えなくなる。いや言わなくて言いのだが。
「え、えっと…その…え、エルヴィン分隊長です!」
「あ?エルヴィンだと?」
「そ、そうです!分隊長とは全く話したことがないので話してみたいなーと思いまして…あはは」
咄嗟に同期の想い人である人物の名前を口走り笑って誤魔化す。彼の顔を見ると先程よりも眉間のシワが深くなっておりただならぬオーラを身にまとっていた。
「あんな奴がいいのか」
「いや、その…」
「チッ…もういい。邪魔したな」
彼は離れると入り口に向かって歩き出した。
速まる鼓動を抑えながら彼の後ろ姿を見ていたがあの時みたいにいつのまにか呼び止めていた。
「兵長!」
「なんだ」
機嫌の悪い彼の声は低くいつもより素っ気ない。
それでも誤解させたまま彼を行かせたくないと思った。
「違うんです…」
「何が違う」
「私が言っていた話したい彼って言うのが…エルヴィン分隊長というのは違うんです…」
「ほぅ。ならば誰だ」
「それは…」
そこまで言ってやはり言えなくなり口籠る。
しかし彼を引き止めてしまった以上言わない訳にはいかない。
「あの…リヴァイ兵長…ともっとお話がしたい、なと…」
最後の方は聞き取れるか否かというくらい声が小さくなってしまった。恥ずかしくて俯いていると彼の足が視界に入り目の前にいるのだと分かった。
「だったら早くそう言え」
「そんな!私はただの下っ端兵士に過ぎません。そんな烏滸がましいこと…言えるわけ…」
「何言ってやがる。とっとと行くぞ」
「えっ…どちらに…」
「あ?俺もこいつの世話をする。馬を連れて外に出ろ」
話がしてぇんだろ?、彼は近くにいた自分の馬を引き連れて馬小屋を出る際にチラリとこちらを向きそう言った。
「は、はいっ!」
慌てて自分の愛馬を連れて彼の後に着いていった。
ーーーーーー
「で?何を話したの?」
そう話すのは同期のハルだ。
今は彼女の部屋で夕食後の自由時間を過ごしている。以前、訓練の休憩中に2月14日のことを彼女に話した時に彼のこともいずれ話すと言ったのでそれを語っていた。
「えっ、それが…緊張してあまり話せなくて…結局馬のこととか訓練のこととか当たり障りもない話しになっちゃった…」
「でもいい傾向なんじゃない?彼は面倒なことはしないはずだもの」
「確かにそうだね。なんで私となんか話してくれたんだろ…」
「リヴァイ兵長のことは分かるようで分かりにくいのよね。分かるとしたらエルヴィン分隊長だけかな」
彼女はエルヴィンの名前を出すと柔らかく笑っている。他の人が見ればただの笑顔に見えるかもしれない。だが自分は訓練兵の時から彼女と一緒だ。その笑顔にはエルヴィンを想っていることくらいすぐに分かった。
彼女はそのことについて話を一切しない。前からそれに気付いてはいたが彼女から話すのを待とうと決めていた。
ーー本当はもう少し頼ってほしいんだけどね
そうだね、と彼女の話した言葉に相槌を打ちながら彼女の事も思った。
一緒に馬の世話をした後から彼はたまに廊下ですれ違う時に自分の前で立ち止まり「励んでるようだな」とか「無理して命を無駄にするな」など一言二言、言葉を交わしてくれるようになった。
それが嬉しくて鍛錬に気合いが入っているのは言うまでもない。
それからと言うもの鍛錬に励み周りから褒められるようになった。自分にはよく出来る同期がいるが実践では彼女に並んで申し分にないくらいだろうと。
「ハルも凄いがおめぇもよく頑張ってるな」
ゲルガーさんに話しかけられお礼を言う。近くにはナナバさんもいる。
「ほんと急にどうしたんたっていうんだ。威勢はいいが気をつけるんだよ」
ナナバさんは無表情でそう言っているが心配してくれていることは知っている。
「はい。そこは重々承知です」
ナナバさんにニコリと微笑むとふっと口角を上げ笑ってるのが見えた。
時折、リヴァイのことを見かけるがあの時のように話すことは全くなかった。所詮は部下と上司。しかも手が届かない場所に彼はいる。
「はぁ……もっと彼と話せたらいいのになぁー…」
今は愛馬の世話に馬小屋まで来ており優しく撫で彼を想って小さく呟いた。
「誰と話がしてぇんだ」
「わわっ!リヴァイ兵長?!」
いつのまにか彼が自分の馬の近くに立っておりそれに気付かずに独り言を聞かれてしまって恥ずかしくなる。
「それは誰だ」
「えっ、あの…その……」
それはあなたです、なんて言えるわけがない。
どうしたものかと視線を泳がせ慌てていると彼はジロリとこちらを見る。
「まぁいい。最近頑張ってるようじゃねぇか」
「えっ…は、はい」
「鍛錬に励むのはいいが死なねぇ努力もしろ。いいな」
「はい!それは肝に銘じております!」
彼に向かってバッと敬礼すると彼は立ち去ろうとする。が、彼は振り向くとツカツカとゆっくり歩み寄ってきた。自分たちは馬の影になっているので周りからしたら死角にいる。
「あの…リヴァイ兵長?他に何か用が……」
「話してぇ奴ってのは誰だ」
「へ?」
「だから誰だと聞いている」
「えっ、あの…?」
少しずつ近寄ってくるので後退りしてしまい背中に愛馬がいて逃げ場がなくなった。
「早くしろ。誰だ」
彼に鋭い視線で睨まれビクッと体に緊張が走り何も言えなくなる。いや言わなくて言いのだが。
「え、えっと…その…え、エルヴィン分隊長です!」
「あ?エルヴィンだと?」
「そ、そうです!分隊長とは全く話したことがないので話してみたいなーと思いまして…あはは」
咄嗟に同期の想い人である人物の名前を口走り笑って誤魔化す。彼の顔を見ると先程よりも眉間のシワが深くなっておりただならぬオーラを身にまとっていた。
「あんな奴がいいのか」
「いや、その…」
「チッ…もういい。邪魔したな」
彼は離れると入り口に向かって歩き出した。
速まる鼓動を抑えながら彼の後ろ姿を見ていたがあの時みたいにいつのまにか呼び止めていた。
「兵長!」
「なんだ」
機嫌の悪い彼の声は低くいつもより素っ気ない。
それでも誤解させたまま彼を行かせたくないと思った。
「違うんです…」
「何が違う」
「私が言っていた話したい彼って言うのが…エルヴィン分隊長というのは違うんです…」
「ほぅ。ならば誰だ」
「それは…」
そこまで言ってやはり言えなくなり口籠る。
しかし彼を引き止めてしまった以上言わない訳にはいかない。
「あの…リヴァイ兵長…ともっとお話がしたい、なと…」
最後の方は聞き取れるか否かというくらい声が小さくなってしまった。恥ずかしくて俯いていると彼の足が視界に入り目の前にいるのだと分かった。
「だったら早くそう言え」
「そんな!私はただの下っ端兵士に過ぎません。そんな烏滸がましいこと…言えるわけ…」
「何言ってやがる。とっとと行くぞ」
「えっ…どちらに…」
「あ?俺もこいつの世話をする。馬を連れて外に出ろ」
話がしてぇんだろ?、彼は近くにいた自分の馬を引き連れて馬小屋を出る際にチラリとこちらを向きそう言った。
「は、はいっ!」
慌てて自分の愛馬を連れて彼の後に着いていった。
ーーーーーー
「で?何を話したの?」
そう話すのは同期のハルだ。
今は彼女の部屋で夕食後の自由時間を過ごしている。以前、訓練の休憩中に2月14日のことを彼女に話した時に彼のこともいずれ話すと言ったのでそれを語っていた。
「えっ、それが…緊張してあまり話せなくて…結局馬のこととか訓練のこととか当たり障りもない話しになっちゃった…」
「でもいい傾向なんじゃない?彼は面倒なことはしないはずだもの」
「確かにそうだね。なんで私となんか話してくれたんだろ…」
「リヴァイ兵長のことは分かるようで分かりにくいのよね。分かるとしたらエルヴィン分隊長だけかな」
彼女はエルヴィンの名前を出すと柔らかく笑っている。他の人が見ればただの笑顔に見えるかもしれない。だが自分は訓練兵の時から彼女と一緒だ。その笑顔にはエルヴィンを想っていることくらいすぐに分かった。
彼女はそのことについて話を一切しない。前からそれに気付いてはいたが彼女から話すのを待とうと決めていた。
ーー本当はもう少し頼ってほしいんだけどね
そうだね、と彼女の話した言葉に相槌を打ちながら彼女の事も思った。
一緒に馬の世話をした後から彼はたまに廊下ですれ違う時に自分の前で立ち止まり「励んでるようだな」とか「無理して命を無駄にするな」など一言二言、言葉を交わしてくれるようになった。
それが嬉しくて鍛錬に気合いが入っているのは言うまでもない。