想いは手作り菓子にーLeviー
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1.
—— よしっ。これで準備はばっちり。
後はうまく渡せるかどうかね…
2月14日。
壁内に広まりつつある、お菓子で気持ちを伝えるというもの。それを聞いてある人物に想いを伝えようと決心していた。
—— 彼に救われた…
当の本人はどう思ってるか知らないけど、自室のベッドに腰掛け彼と関わるきっかけになった日の事を思い返した。
それは2、3ヶ月前……
ーーーーーー
「はぁ……」
満点の星空の下、キラキラと輝くその夜空とは裏腹に一人の女性が顔を曇らせため息をついた。
「みんな……」
数日前の壁外調査で同じ班だったみんなは心臓を捧げてしまった。和気あいあいとしていてとても居心地がよくみんなといるのが当たり前になっていた。しかしやはり現実は残酷だ。突然なくなる当たり前の日常。調査兵団の兵士として覚悟はしていたものの今はどうしようもなく辛い。
星空を見上げ一筋の涙を流したところに背後から声をかけられた。
「おい」
この声は、ドキリとして振り返るとやはりそこに居たのは調査兵団いや人類最強の兵士、リヴァイが立っていた。
「リヴァイ兵士長!」
声をかけ立ち上がると敬礼をする。
「こんなところで何してやがる」
彼は素っ気ない口振りで冷たく言い放つ。
「星を見ていました…」
「星だ?」
「はい…先日の壁外調査で私の班のみんなは心臓を捧げてしまって……」
そこまで言うとみんなの顔を思い出し視界がボヤける。慌てて彼に背を向け手で涙を拭った。
すると背中に何かがふわりとかけられ顔を上げて肩を見ると彼が着ていた上着がかけられていた。
「兵長!いけません!あなたが風邪を引いてしまいます!」
「あ?生憎俺はそんなにやわじゃない」
「でも…」
「しのごの言うな。黙ってろ」
「っっ!はいっ!」
隣に立つ彼をチラリと盗み見ると彼も視線だけこちらを向けていた。慌てて視線を逸らし星を見上げる。
—— なんだか不思議な気分…
それでもみんなのことを思うとまた視界がボヤけてきてしまい涙が出るのを堪える。さすがに上司の前では泣けない。
「我慢するな」
彼がいる方向から声がした。
我慢するな、と聞こえ理解するのに時間がかかる。
「何マヌケ面してやがる。泣きたい時は泣け」
少しだけ背の高い彼を見上げると未だ視線だけこちらを向いている。が、その声は穏やかだ。
「しかし…リヴァイ兵長の前でそんな姿は見せられません…」
「勝手を言いやがる。あんたのそれは自分のために流してんのか?違うだろ」
彼は体を少しだけこちらに向け言葉を続けた。
「あいつらを思って流す涙だ。何処だろうと誰の前であろうと流せばいい」
彼の言葉を聞いて涙が堰を切ったように溢れ頬を流れていった。
「…私だけ生き残ったんです……それが辛くて…」
「あぁ…そうだな」
彼は近付くと頭に手を乗せてきた。
その手は動かずそこから彼の温もりが伝わってきて胸に染みた。
「……みんなと一緒に居たのに…失ってしまって…これからどうしたらいいのか…」
相変わらずポロポロと流れる涙はとどまることを知らない。
「あんたに何が残ってる」
ボソッと言われボーっとする頭で考えた。
「同期…先輩…後輩……生き残った調査兵達…それからリヴァイ兵長…」
「そうだ。残ってる奴らもいる。そして心臓を捧げた奴らの遺志を生き残った俺たちで継ぐ。お前が心臓を捧げ俺が生き残った時も同じだ。死んでからも全部がなくなるわけじゃねぇ」
彼の言葉にまた目頭が熱くなるのが分かった。
「辛いがそれを乗り超え強くなる。その涙も強くなるために必要なもんだ」
だから思う存分泣け、彼はそこまで言うと頭を一度だけスルリと撫でた。彼の優しさが頭にある手と言葉から伝わり涙が止まらない。
どれくらい泣いただろうか。
もう体中の水分を出し切ったんじゃないかというくらい涙を流した。
「リヴァイ兵長…もう、大丈夫です…」
「はっ。なんて面だ…」
顔を上げれば彼が眉間に皺を寄せていた。
自分は憧れの彼になぐさめてもらえて今は心臓がうるさいというのに。彼にとって自分は仲間でただの部下に過ぎないのだ。ならば彼の元に追いつこうと決心した。
「でもおかけでスッキリしました。私…これからはいつも以上に鍛錬して実践で成績を残してリヴァイ兵長の元に追いつきます。あ、もちろん第一は人類のため、です」
彼を見上げながら泣き腫らした目でふふっと笑う。
「ほぅ…言うじゃねぇか。ならば追いついてみせろ」
「もちろん!」
やる気に満ち溢れた顔を彼に向ければ一瞬、ほんの一瞬だったが彼が口元を緩めた気がした。
—— えっ…今笑って…
「おい、いつまで突っ立ってる。中に入れ」
しかし彼はまたいつも通りの不機嫌そうな表情に戻っており気のせいだったのかと思わせるくらいだ。
だけど、やっぱりあの一瞬の彼の表情が脳裏から離れず自分の心を掴まれてしまった。
—— よしっ。これで準備はばっちり。
後はうまく渡せるかどうかね…
2月14日。
壁内に広まりつつある、お菓子で気持ちを伝えるというもの。それを聞いてある人物に想いを伝えようと決心していた。
—— 彼に救われた…
当の本人はどう思ってるか知らないけど、自室のベッドに腰掛け彼と関わるきっかけになった日の事を思い返した。
それは2、3ヶ月前……
ーーーーーー
「はぁ……」
満点の星空の下、キラキラと輝くその夜空とは裏腹に一人の女性が顔を曇らせため息をついた。
「みんな……」
数日前の壁外調査で同じ班だったみんなは心臓を捧げてしまった。和気あいあいとしていてとても居心地がよくみんなといるのが当たり前になっていた。しかしやはり現実は残酷だ。突然なくなる当たり前の日常。調査兵団の兵士として覚悟はしていたものの今はどうしようもなく辛い。
星空を見上げ一筋の涙を流したところに背後から声をかけられた。
「おい」
この声は、ドキリとして振り返るとやはりそこに居たのは調査兵団いや人類最強の兵士、リヴァイが立っていた。
「リヴァイ兵士長!」
声をかけ立ち上がると敬礼をする。
「こんなところで何してやがる」
彼は素っ気ない口振りで冷たく言い放つ。
「星を見ていました…」
「星だ?」
「はい…先日の壁外調査で私の班のみんなは心臓を捧げてしまって……」
そこまで言うとみんなの顔を思い出し視界がボヤける。慌てて彼に背を向け手で涙を拭った。
すると背中に何かがふわりとかけられ顔を上げて肩を見ると彼が着ていた上着がかけられていた。
「兵長!いけません!あなたが風邪を引いてしまいます!」
「あ?生憎俺はそんなにやわじゃない」
「でも…」
「しのごの言うな。黙ってろ」
「っっ!はいっ!」
隣に立つ彼をチラリと盗み見ると彼も視線だけこちらを向けていた。慌てて視線を逸らし星を見上げる。
—— なんだか不思議な気分…
それでもみんなのことを思うとまた視界がボヤけてきてしまい涙が出るのを堪える。さすがに上司の前では泣けない。
「我慢するな」
彼がいる方向から声がした。
我慢するな、と聞こえ理解するのに時間がかかる。
「何マヌケ面してやがる。泣きたい時は泣け」
少しだけ背の高い彼を見上げると未だ視線だけこちらを向いている。が、その声は穏やかだ。
「しかし…リヴァイ兵長の前でそんな姿は見せられません…」
「勝手を言いやがる。あんたのそれは自分のために流してんのか?違うだろ」
彼は体を少しだけこちらに向け言葉を続けた。
「あいつらを思って流す涙だ。何処だろうと誰の前であろうと流せばいい」
彼の言葉を聞いて涙が堰を切ったように溢れ頬を流れていった。
「…私だけ生き残ったんです……それが辛くて…」
「あぁ…そうだな」
彼は近付くと頭に手を乗せてきた。
その手は動かずそこから彼の温もりが伝わってきて胸に染みた。
「……みんなと一緒に居たのに…失ってしまって…これからどうしたらいいのか…」
相変わらずポロポロと流れる涙はとどまることを知らない。
「あんたに何が残ってる」
ボソッと言われボーっとする頭で考えた。
「同期…先輩…後輩……生き残った調査兵達…それからリヴァイ兵長…」
「そうだ。残ってる奴らもいる。そして心臓を捧げた奴らの遺志を生き残った俺たちで継ぐ。お前が心臓を捧げ俺が生き残った時も同じだ。死んでからも全部がなくなるわけじゃねぇ」
彼の言葉にまた目頭が熱くなるのが分かった。
「辛いがそれを乗り超え強くなる。その涙も強くなるために必要なもんだ」
だから思う存分泣け、彼はそこまで言うと頭を一度だけスルリと撫でた。彼の優しさが頭にある手と言葉から伝わり涙が止まらない。
どれくらい泣いただろうか。
もう体中の水分を出し切ったんじゃないかというくらい涙を流した。
「リヴァイ兵長…もう、大丈夫です…」
「はっ。なんて面だ…」
顔を上げれば彼が眉間に皺を寄せていた。
自分は憧れの彼になぐさめてもらえて今は心臓がうるさいというのに。彼にとって自分は仲間でただの部下に過ぎないのだ。ならば彼の元に追いつこうと決心した。
「でもおかけでスッキリしました。私…これからはいつも以上に鍛錬して実践で成績を残してリヴァイ兵長の元に追いつきます。あ、もちろん第一は人類のため、です」
彼を見上げながら泣き腫らした目でふふっと笑う。
「ほぅ…言うじゃねぇか。ならば追いついてみせろ」
「もちろん!」
やる気に満ち溢れた顔を彼に向ければ一瞬、ほんの一瞬だったが彼が口元を緩めた気がした。
—— えっ…今笑って…
「おい、いつまで突っ立ってる。中に入れ」
しかし彼はまたいつも通りの不機嫌そうな表情に戻っており気のせいだったのかと思わせるくらいだ。
だけど、やっぱりあの一瞬の彼の表情が脳裏から離れず自分の心を掴まれてしまった。
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