朝、手を繋いで
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12.
「あの…なんのつもりですか…?」
「何がだ」
「いや…その…手を…」
「…理由を言う必要はねぇだろ」
「いりますよ!だから何で私にこんな事を…」
「やはりまだガキだな」
「失礼ですね……」
何でこんな事をするのか、これまでの事を踏まえ考えると流石の自分でも分かる。だけど、"言葉"で聞きたい。でも彼は何も言わず沈黙したまま。
「……守りたい、特別なものが出来た。それだけだ」
聞き取れるか分からないくらいの声で紡がれた言葉と触れ合うそこを握り締める彼。それだけで胸が締め付けられ苦しくなった。それは自分だって同じだから。
「なら……何があっても守って下さいよ?」
「言われなくてもそうする」
「…頼もしいですね」
会話をしながら強く握り合う。そこは毛布で隠れているから誰にも見えない。
「あ…誕生日おめでとうございました」
「なんだ今更」
「言ってなかったなぁと…」
「要らねぇ。お前が居れば十分だ」
なんて言うもんだから体が熱くなることこの上ない。兵士として接してきたのにこれではそうもいかなくなる。
これから先、どんな未来が待っているのか分からない。自分達は兵士で尚且つ『調査兵団』。人類の為に心臓を捧げる兵に大切なものなど出来ても仕方がない…恋などに現を抜かすなど以ての外。そう思っていたが彼ならきっと…そんな事でさえも覆してくれるような気がした。
彼の強さは本物だ。私達人類の希望となる……。そんな彼の"守りたい特別なもの"を知って胸の高鳴りが抑えられない。
背中からの温もりに身を預け、今、この瞬間を噛み締める。明日も分からぬこの命。触れ合っているこの時だけはあなたを想わせてほしい。
朝日を受け、照らされる2人。離れぬ様に、離さぬ様に、そっと、でも強くその手を握り締め……。
——————————
数日後。
「あれぇ?リヴァイ…ハンカチをじっと見つめてどうしたのさ」
「…眼鏡には関係ない」
団長執務室で今後の引き継ぎについて幹部会議を行なっているところにハンジが目敏く気付いた。
「ちょっと見せてよ。何か秘密を隠しているんだろう?!」
「近寄るんじゃねぇクソメガネ」
「お前達、ふざけるのも大概に……」
二人の掛け合いが聞こえ始め、キース団長が注意したその時、カップに入っていた紅茶がテーブルに広がり資料に染みを作ってしまう。キース団長の拳がハンジの頭に制裁を入れている脇でリヴァイの様子がいつもと違う事に気付く。
「リヴァイ、何故クラバットを……いや。何でもない」
「あ?なんだ金髪…言いかけるんじゃねぇ」
「何でもないさ。ハンジが気にする訳だ」
「…なんの事だ。気持ち悪りぃ」
とか言いながら胸元にあったクラバットを外しテーブルを拭き始めた。…眺めていたハンカチを使わずに。彼が何故それを使わないのかすぐに理解し目を細める。
数日前の誕生日会でハンジが『#name1#なら今日来ないよ?後輩の代わりに見張り番だってさ。行かなくていいのかい?君も男だろう?!』…とか言って、彼を焚き付けたのだが…どうやら上手くいったようだ。
彼等の運命はこの先自分が握る事になる。出来ることなら天秤になどかけたくはない。だが、そんな訳にもいかず苦渋の選択が迫る時がくるだろう。それでも恐らく、自分は迷いはしない。
「…おめでとう。幸せにな」
その時が来るまではどうか…、ささやかながら祝福を願う。それが彼の耳に届いたかどうかは本人にしか分からない。
fin.
2020.1.25
2020.2.3
「あの…なんのつもりですか…?」
「何がだ」
「いや…その…手を…」
「…理由を言う必要はねぇだろ」
「いりますよ!だから何で私にこんな事を…」
「やはりまだガキだな」
「失礼ですね……」
何でこんな事をするのか、これまでの事を踏まえ考えると流石の自分でも分かる。だけど、"言葉"で聞きたい。でも彼は何も言わず沈黙したまま。
「……守りたい、特別なものが出来た。それだけだ」
聞き取れるか分からないくらいの声で紡がれた言葉と触れ合うそこを握り締める彼。それだけで胸が締め付けられ苦しくなった。それは自分だって同じだから。
「なら……何があっても守って下さいよ?」
「言われなくてもそうする」
「…頼もしいですね」
会話をしながら強く握り合う。そこは毛布で隠れているから誰にも見えない。
「あ…誕生日おめでとうございました」
「なんだ今更」
「言ってなかったなぁと…」
「要らねぇ。お前が居れば十分だ」
なんて言うもんだから体が熱くなることこの上ない。兵士として接してきたのにこれではそうもいかなくなる。
これから先、どんな未来が待っているのか分からない。自分達は兵士で尚且つ『調査兵団』。人類の為に心臓を捧げる兵に大切なものなど出来ても仕方がない…恋などに現を抜かすなど以ての外。そう思っていたが彼ならきっと…そんな事でさえも覆してくれるような気がした。
彼の強さは本物だ。私達人類の希望となる……。そんな彼の"守りたい特別なもの"を知って胸の高鳴りが抑えられない。
背中からの温もりに身を預け、今、この瞬間を噛み締める。明日も分からぬこの命。触れ合っているこの時だけはあなたを想わせてほしい。
朝日を受け、照らされる2人。離れぬ様に、離さぬ様に、そっと、でも強くその手を握り締め……。
——————————
数日後。
「あれぇ?リヴァイ…ハンカチをじっと見つめてどうしたのさ」
「…眼鏡には関係ない」
団長執務室で今後の引き継ぎについて幹部会議を行なっているところにハンジが目敏く気付いた。
「ちょっと見せてよ。何か秘密を隠しているんだろう?!」
「近寄るんじゃねぇクソメガネ」
「お前達、ふざけるのも大概に……」
二人の掛け合いが聞こえ始め、キース団長が注意したその時、カップに入っていた紅茶がテーブルに広がり資料に染みを作ってしまう。キース団長の拳がハンジの頭に制裁を入れている脇でリヴァイの様子がいつもと違う事に気付く。
「リヴァイ、何故クラバットを……いや。何でもない」
「あ?なんだ金髪…言いかけるんじゃねぇ」
「何でもないさ。ハンジが気にする訳だ」
「…なんの事だ。気持ち悪りぃ」
とか言いながら胸元にあったクラバットを外しテーブルを拭き始めた。…眺めていたハンカチを使わずに。彼が何故それを使わないのかすぐに理解し目を細める。
数日前の誕生日会でハンジが『#name1#なら今日来ないよ?後輩の代わりに見張り番だってさ。行かなくていいのかい?君も男だろう?!』…とか言って、彼を焚き付けたのだが…どうやら上手くいったようだ。
彼等の運命はこの先自分が握る事になる。出来ることなら天秤になどかけたくはない。だが、そんな訳にもいかず苦渋の選択が迫る時がくるだろう。それでも恐らく、自分は迷いはしない。
「…おめでとう。幸せにな」
その時が来るまではどうか…、ささやかながら祝福を願う。それが彼の耳に届いたかどうかは本人にしか分からない。
fin.
2020.1.25
2020.2.3
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