君に伝えよう
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
1.
サクサクサク…
誰もいない執務室に焼き菓子を咀嚼する音が響いている。先程彼女が置いていった包み紙の中に入っていたものだ。
ーーこれはなかなか…
「美味いな」
ゴクリと飲み込んだ後に思わず呟いた。
これは茶葉が入っているようで香りも味も申し分ない。少ない材料でここまで作れるとは。
もう一つ口に入れようかと手を伸ばしたところでノックも無しにドアがガチャリと開いてリヴァイが入って来た。
「もう食べてるのか」
「折角だからな。なかなか美味い。お茶が欲しくなる」
「ほう…なら俺もここで食べるとするか」
茶を持ってくる、と彼は部屋を出て時間を置いてティーセットを持った彼がやって来た。
机は一つしかないためそこにセットを置きカップを一つ渡される。
「すまないな」
彼は紅茶が好きなようでよく飲んでいるのを見かける。それに独特なカップの持ち方をする。あえて理由は聞いたことはない。
ーー彼の中でそうなってしまう何かが起きたのだろう
そう解釈して一口お茶を啜り焼き菓子を口に運ぶ。
ふと、彼の視線が机の上に注がれているのが見えて視線の先を追うと彼女が置いた書類とメモがあった。
「ハル…」
ボソリと彼女の名前を呟いた彼。
驚きはしないが彼女のことを気にかけているような雰囲気を感じてたまらず声をかける。
「彼女を知っているのか?」
「ああ。実戦でも認められてるからな…俺の班に引き抜きたいと考えてたところだ」
それを聞いて腹の中に黒いものが渦巻き始める。
「そうか。だが彼女はダメだ。自分の班に入れる予定だからな」
そう言えば彼は眉を上げてこちらを向く。
「ほぅ…てめぇらしくねぇな」
「らしくないとはなんだ」
「いつもは涼しい顔して雄弁振るってるだろ」
「そんなつもりはないが」
彼にそんなことを言われ心当たりはないのだが、らしくないと言われるとそうなのかもしれない。
「安心しろ。別にもう一人候補はいる」
「そうか」
横目でチラリと彼を見れば穏やかな表情で手にしている菓子を見つめていた。
ーーなるほど
「その菓子の相手か」
「あ?」
「いや。何でもない」
小さく笑うと自分も手元にある焼き菓子に手を伸ばした。
「そういや…そいつは俺の女の同期で友人のようだ」
「はっ?」
「なんだ。何か言いたげな顔だな」
今彼は『俺の女』と言ったか。
聞き間違いではなければ確かにそう言った。
「俺の女と聞こえたが…」
「あぁ。ついさっき女が出来た」
そうか。
その菓子の相手が彼の言う女ということが推測できた。
ーー彼に先を越されてしまうとはな…
菓子を頬張っている彼を見つめながら自分は紅茶を静かに啜った。
サクサクサク…
誰もいない執務室に焼き菓子を咀嚼する音が響いている。先程彼女が置いていった包み紙の中に入っていたものだ。
ーーこれはなかなか…
「美味いな」
ゴクリと飲み込んだ後に思わず呟いた。
これは茶葉が入っているようで香りも味も申し分ない。少ない材料でここまで作れるとは。
もう一つ口に入れようかと手を伸ばしたところでノックも無しにドアがガチャリと開いてリヴァイが入って来た。
「もう食べてるのか」
「折角だからな。なかなか美味い。お茶が欲しくなる」
「ほう…なら俺もここで食べるとするか」
茶を持ってくる、と彼は部屋を出て時間を置いてティーセットを持った彼がやって来た。
机は一つしかないためそこにセットを置きカップを一つ渡される。
「すまないな」
彼は紅茶が好きなようでよく飲んでいるのを見かける。それに独特なカップの持ち方をする。あえて理由は聞いたことはない。
ーー彼の中でそうなってしまう何かが起きたのだろう
そう解釈して一口お茶を啜り焼き菓子を口に運ぶ。
ふと、彼の視線が机の上に注がれているのが見えて視線の先を追うと彼女が置いた書類とメモがあった。
「ハル…」
ボソリと彼女の名前を呟いた彼。
驚きはしないが彼女のことを気にかけているような雰囲気を感じてたまらず声をかける。
「彼女を知っているのか?」
「ああ。実戦でも認められてるからな…俺の班に引き抜きたいと考えてたところだ」
それを聞いて腹の中に黒いものが渦巻き始める。
「そうか。だが彼女はダメだ。自分の班に入れる予定だからな」
そう言えば彼は眉を上げてこちらを向く。
「ほぅ…てめぇらしくねぇな」
「らしくないとはなんだ」
「いつもは涼しい顔して雄弁振るってるだろ」
「そんなつもりはないが」
彼にそんなことを言われ心当たりはないのだが、らしくないと言われるとそうなのかもしれない。
「安心しろ。別にもう一人候補はいる」
「そうか」
横目でチラリと彼を見れば穏やかな表情で手にしている菓子を見つめていた。
ーーなるほど
「その菓子の相手か」
「あ?」
「いや。何でもない」
小さく笑うと自分も手元にある焼き菓子に手を伸ばした。
「そういや…そいつは俺の女の同期で友人のようだ」
「はっ?」
「なんだ。何か言いたげな顔だな」
今彼は『俺の女』と言ったか。
聞き間違いではなければ確かにそう言った。
「俺の女と聞こえたが…」
「あぁ。ついさっき女が出来た」
そうか。
その菓子の相手が彼の言う女ということが推測できた。
ーー彼に先を越されてしまうとはな…
菓子を頬張っている彼を見つめながら自分は紅茶を静かに啜った。
1/5ページ