初めてのデート
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
1.
カチャ
「あれ?ポストに手紙が…」
仕事が終わり今は夜の20時を回ろうとしている時間だ。自宅に着いてエントランスにある郵便受けを見ると白い封筒が目につき手に取った。この白い封筒には見覚えがある。これはきっと彼からのものだ。手紙の表には自分の名前が書かれておりその裏を見れば整った字で名前が記されていた。
ーー『透』
彼の名前をみて「やっぱり」と小さく笑った。その白い封筒を落とさなように失くさないように肩から提げている鞄に仕舞った。
部屋に入って着替えなどを済ませるとソファーに腰掛け先程の彼からの封筒を見る。カサリと紙の乾いた音が部屋に響く。明日の食事のことかな?、いつものように時間が書かれていると軽い気持ちで目を通し始めた。
ハルへ
3月11日、日曜日は予定を空けておいて下さい。
13時迎えに行きますので出かけましょう。
その日は僕にお任せください。
透
「えっ?なに?」
目をパチクリとさせて何度も何度も読み返す。嘘ではないだろうか。でも確かに「出かける」と書かれている。
ーーそれってもしかしなくてもデート…ってことだよね?
これまで外へ出かけたことなど一度もなかったのに。まさかのお誘いに心臓がうるさい。深呼吸をしてもう一度確認する。
ーー3月11日、日曜日…日曜日…?
バッと棚の上にある卓上カレンダーを見て唖然とした。だって今日は3月10日、土曜日。といことは、3月11日は…
「明日っ?!ちょっ!零さん!!」
一人、部屋の中に自分の声が響いた。
ーーーー
零side
ーー彼女は今頃手紙を読んでいる頃か
スーツを身に纏い降谷零として公安の仕事をこなしている最中、時計に視線を落として彼女の事を考えた。いきなり明日出かけようなんて書いたから彼女はきっと驚いてるに違いない。その姿が容易に想像できてクスリと笑った。
だが、視線の先で動きがあり注意を切り替える。
「風見。そっちに行ったぞ。捕まえろ」
イヤホン越しに「了解」と聞こえ自分も動いた人影の後を追う。周囲の建物、位置関係などは全て頭に入っているため万が一、風見が取り逃がすことを考え先回りをする。すると割とすぐに建物、もとい倉庫のかげから男が走って来る。
ーーちっ…風見。後で説教だ
走って来る男の前に出ると驚愕した表情をしており殴り襲おうとしてくる。それを避けて男の鳩尾に自分の拳をのめり込ませた。
「ぐっ…ぅっ…」
呻き声と共にドサッと男は地面に崩れ落ち完全にのびて動かない。
「降谷さん!」
そこへ風見が走って来た所をひと睨みすればその場で立ち止まり直立している。
「風見。後で話がある。まずはコイツの処理だ」
「は、はいっ!」
処理を済ませた後、風見を連れて飯を食べにお店に入った。
「さっきのあれはなんだ」
「す、すみません」
「もっと目の前の事に集中しろ」
「はい…申し訳ございません」
「俺が居たからいいものを…」
クドクドとある程度説教を説いたところで隣で落ち込んでいる風見に声をかけた。
「だがよくやった方だと思ってる。この調子で頼むぞ」
そう言って褒めてあげればすぐに顔を明るくさせて喜ぶ。
「はいっ!!」
元気よく返事が聞こえたかと思えば酒を飲む彼には信頼を置いている。
ーー歳は俺の一つ上なんだがな
何とも不思議な感じがするがそれはそれで心地いいと感じていた。
「降谷、さん…彼女とはどうなってるんですか…?」
1時間ほど経った頃、風見が酔っ払ってそんな事を聞いてきた。
「聞いてどうする」
「彼女とは、その、恋仲なのか、と…」
モニョモニョと頬を赤らめながら聞いてくる彼は彼女に気があるのか?その頬の赤みは酒だけのせいではないだろう。
「さて、な…」
「違うんですか?!」
「どっちでもない、とでも言っておこう」
「それはどういう…?」
「君には伝えておくが、彼女は大切な存在だ。だが、恋仲というわけではない」
「彼女とお似合いだと思うんですけどねー…」
「君も事情を知っているなら分かるだろ。そういう事だ」
「はぁ…」
「君こそいないのか」
「はぃ?!」
「大切な存在と言える人が…」
「それは…(今話題に出た人だとは言えない)」
「言えないような人物なのか?」
「いえ!僕も…彼女を守りたい、と…降谷さんの大切な人だと知って尚更その気持ちが強くなりました」
そう話す彼の横顔を見れば頬をかきながら照れている。
「なら何かあったときは君に任せる」
「はっ!任せてください!」
瞳を輝かせながら話す彼を見て彼女にこの話をすれば照れながら喜ぶだろう、そんな事を思った。
その後も飲んだが彼が酔い潰れない内に会計を済ませて店を出る。
時間は夜中の12時を回っていた。
ーーこれは酒が残るかもしれないな
彼女と隣同士のマンションに着いて顔を上げる。彼女の部屋の電気は消えておりさすがにもう寝てるか、とまた歩き出そうとしたがベランダに彼女が出て来るのが見えた。寒そうにしながら空を見ている。何を考えているのか恐らく明日、いや今日のことを考えているのかもしれない。
彼女に見つからないようにエントランスに入って自分の部屋へと向かうがその足取りは軽いものだった。
カチャ
「あれ?ポストに手紙が…」
仕事が終わり今は夜の20時を回ろうとしている時間だ。自宅に着いてエントランスにある郵便受けを見ると白い封筒が目につき手に取った。この白い封筒には見覚えがある。これはきっと彼からのものだ。手紙の表には自分の名前が書かれておりその裏を見れば整った字で名前が記されていた。
ーー『透』
彼の名前をみて「やっぱり」と小さく笑った。その白い封筒を落とさなように失くさないように肩から提げている鞄に仕舞った。
部屋に入って着替えなどを済ませるとソファーに腰掛け先程の彼からの封筒を見る。カサリと紙の乾いた音が部屋に響く。明日の食事のことかな?、いつものように時間が書かれていると軽い気持ちで目を通し始めた。
ハルへ
3月11日、日曜日は予定を空けておいて下さい。
13時迎えに行きますので出かけましょう。
その日は僕にお任せください。
透
「えっ?なに?」
目をパチクリとさせて何度も何度も読み返す。嘘ではないだろうか。でも確かに「出かける」と書かれている。
ーーそれってもしかしなくてもデート…ってことだよね?
これまで外へ出かけたことなど一度もなかったのに。まさかのお誘いに心臓がうるさい。深呼吸をしてもう一度確認する。
ーー3月11日、日曜日…日曜日…?
バッと棚の上にある卓上カレンダーを見て唖然とした。だって今日は3月10日、土曜日。といことは、3月11日は…
「明日っ?!ちょっ!零さん!!」
一人、部屋の中に自分の声が響いた。
ーーーー
零side
ーー彼女は今頃手紙を読んでいる頃か
スーツを身に纏い降谷零として公安の仕事をこなしている最中、時計に視線を落として彼女の事を考えた。いきなり明日出かけようなんて書いたから彼女はきっと驚いてるに違いない。その姿が容易に想像できてクスリと笑った。
だが、視線の先で動きがあり注意を切り替える。
「風見。そっちに行ったぞ。捕まえろ」
イヤホン越しに「了解」と聞こえ自分も動いた人影の後を追う。周囲の建物、位置関係などは全て頭に入っているため万が一、風見が取り逃がすことを考え先回りをする。すると割とすぐに建物、もとい倉庫のかげから男が走って来る。
ーーちっ…風見。後で説教だ
走って来る男の前に出ると驚愕した表情をしており殴り襲おうとしてくる。それを避けて男の鳩尾に自分の拳をのめり込ませた。
「ぐっ…ぅっ…」
呻き声と共にドサッと男は地面に崩れ落ち完全にのびて動かない。
「降谷さん!」
そこへ風見が走って来た所をひと睨みすればその場で立ち止まり直立している。
「風見。後で話がある。まずはコイツの処理だ」
「は、はいっ!」
処理を済ませた後、風見を連れて飯を食べにお店に入った。
「さっきのあれはなんだ」
「す、すみません」
「もっと目の前の事に集中しろ」
「はい…申し訳ございません」
「俺が居たからいいものを…」
クドクドとある程度説教を説いたところで隣で落ち込んでいる風見に声をかけた。
「だがよくやった方だと思ってる。この調子で頼むぞ」
そう言って褒めてあげればすぐに顔を明るくさせて喜ぶ。
「はいっ!!」
元気よく返事が聞こえたかと思えば酒を飲む彼には信頼を置いている。
ーー歳は俺の一つ上なんだがな
何とも不思議な感じがするがそれはそれで心地いいと感じていた。
「降谷、さん…彼女とはどうなってるんですか…?」
1時間ほど経った頃、風見が酔っ払ってそんな事を聞いてきた。
「聞いてどうする」
「彼女とは、その、恋仲なのか、と…」
モニョモニョと頬を赤らめながら聞いてくる彼は彼女に気があるのか?その頬の赤みは酒だけのせいではないだろう。
「さて、な…」
「違うんですか?!」
「どっちでもない、とでも言っておこう」
「それはどういう…?」
「君には伝えておくが、彼女は大切な存在だ。だが、恋仲というわけではない」
「彼女とお似合いだと思うんですけどねー…」
「君も事情を知っているなら分かるだろ。そういう事だ」
「はぁ…」
「君こそいないのか」
「はぃ?!」
「大切な存在と言える人が…」
「それは…(今話題に出た人だとは言えない)」
「言えないような人物なのか?」
「いえ!僕も…彼女を守りたい、と…降谷さんの大切な人だと知って尚更その気持ちが強くなりました」
そう話す彼の横顔を見れば頬をかきながら照れている。
「なら何かあったときは君に任せる」
「はっ!任せてください!」
瞳を輝かせながら話す彼を見て彼女にこの話をすれば照れながら喜ぶだろう、そんな事を思った。
その後も飲んだが彼が酔い潰れない内に会計を済ませて店を出る。
時間は夜中の12時を回っていた。
ーーこれは酒が残るかもしれないな
彼女と隣同士のマンションに着いて顔を上げる。彼女の部屋の電気は消えておりさすがにもう寝てるか、とまた歩き出そうとしたがベランダに彼女が出て来るのが見えた。寒そうにしながら空を見ている。何を考えているのか恐らく明日、いや今日のことを考えているのかもしれない。
彼女に見つからないようにエントランスに入って自分の部屋へと向かうがその足取りは軽いものだった。