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𝕔𝕣𝕠𝕤𝕤𝕠𝕧𝕖𝕣 (クロスオーバー)

ㅤ杉本・アシㇼパ一行は雪が溶けきっていない山道を進む、小樽から網走への道は険しかった。

「も〜やめろよ杉本〜」
あははうふふと杉本と白石がじゃれあっていると、
「あっ」
「あぇ〜?」

白石の背が、さきの背を押した。
するとさきは、崖から落ちた。

「えええ、きゃあああああアシㇼパちゃーん!!!!」
「は、なっ、サキーーー!!!!」
「うぇぇぇぇぇ!嘘ぉぉぉぉ!」







「...」
「...」

 受け止めてくれた男は何も言わず、私も特に言葉が出なくて互いに見つめ合う。
男は蛇のような鋭い目をしており、杉本さんくらいの体格でガタイもよく、妙な威圧感がある。
そういえばこの目付き、どこかで見たような気がする。

「親方!空から女の子が!!!」
「ひぇ!?」
「失礼しました、お久しぶりですねカササギさん」
「あ、お久しぶりです...。ん、あっ!やっぱり加々知さんですよね!」

 急に何事かを言われても意味はわかんないし声は大きいしでビクッとしましたが、この低い声と抑揚のない話し方は間違いなく加々知さんだ。

「ええ、加々知ですよ。いつぶりでしょうか?」
「確か...5年?」
「ああ、そうでしたね。立てますか?」
「大丈夫でっ、すぅ!?」
「足をひねりましたかね、歩けなさそうならおぶりますが」

 なんて失態失態、木が緩和材になってくれたので大怪我に至らなかったが足をひねってしまったようだ。一歩でも動こうとすれば雷に打たれた人のように全身に電(いなづま)が走る感覚が体中に巡った。

「大丈夫です...暫くすれば、きっと」
「その様子だと大丈夫ではなさそうですね。この先に小屋があったので借りましょう。」
「うぅ、お世話になります」

 息も絶え絶えの私と違って、丈夫で力持ちな加々知さんにひょいっとおぶられて先ほど聞かされた小屋まで運ばれる。

 小屋の中は質素なもので、五畳半程度の広さに窓が一つだけで特出しているのは中央に囲炉裏が一基備えられ、玄関付近に水溜が置かれているくらい。

 おそらくこの小屋は猟師の小屋で、冬はすぐに日が沈む為一時避難用に建てられ、今使われていないのは徐々に日が沈むのが遅くなって来て日が明るいうちに帰れるようになったからだろう。

 加々知さんに優しく下ろしてもらい、傷の具合を見てもらう。幸い本当に足を捻っただけで済んだので暫くじっとしていれば治るだろうし、アシㇼパちゃん達とも合流出来るだろう。

「しかし、何故カササギさんがここに?カササギさんの生活範囲から外れていますよね」
「あっ!えっと〜ははは、私今網走に向かってて」
「.........ああ、お母様が網走で働かれていると言っていましたね」
「はい、加々知さんの方こそどうしてここに?」
「仕事で視察に来ました。あと、個人的興味でシマエナガに遭遇出来たらなと思いまして」
「シマエナガですか、動物ですか?」
「ええ、丸くてふわふわで非常に愛らしい容姿をされているのだとか」

 相変わらず、顔に似合わず可愛い人だ。能面のように変わらない表情をしているのに、感情の方は万華鏡みたいにコロコロ変わってよく笑う。蛇みたいに怖い目で鬼みたいに怖い顔をしているのに、犬や猫を見ればなんだか和んでいるようで、子供みたいな人。
 なんのお仕事をしているか、いつも職が変わっているので旅人さんなのかしらと思うのだけど、律儀というか真面目というか役人気質っぽいところがあるので、おそらく何らかの諜報員なのだろうと姉さんたちと話したりした。
 けど、いつも優しくて誠実なお人だから、悪い人ではないと思う。私のことを「カササギ」という人は世人とはちがう感性の持ち主だけど、悪人では無い。それだけは間違ったことは無い。

 勝手に使っている小屋で勝手に火を起こし、寒かった体に段々と熱が戻ってきた。
 自前の薬で応急処置を取り、安静の姿勢をとって、じっとしている私をよそに、加々知さんはいそいそと餅を焼き始めた。

「一体どこに......?」
「持ち歩いていました」

 餅だけに......、口には出していなかったけど、そんな雰囲気を醸しながら妙な空気感でじかんがすぎる。
 外はもう日が暮れかかっていた。
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