ジャミルの友達が姐さんだったら if






元凶のnot監督生
原作厨or夢女。共通してツバキを敵視している。

原作厨だった場合
男性キャラでも女性キャラでも可。
原作では出てこないキャラクター(ツバキ)を敵視している。
ツバキのせいで4章が原作から大きく外れそうなので、誰かをオーバーブロットさせないといけない、と焦る。
ここまで違った流れになったストーリーで原作キャラをオーバーブロットさせてしまうと、もしかしたら死んでしまうかも知れないと危惧する。
そこで原作にいないキャラクター(ツバキ)をオーバーブロットさせることに。
3章が大切なもの(今まで集めてきた契約書)を砂にされたことをきっかけにオーバーブロットしたから、ツバキもそうやってオーバーブロットさせようとする。
大切なものがなんなのか分からなかったため、大切な人の記憶を奪うことに。

夢女だった場合
魔法薬か何かで男性と偽って入学している女性。
原作では出てこないキャラクター(ツバキ)を敵視している。
カリムやジャミルと幼馴染みであり、ジェイドやシルバーに想いを寄せられていることに激しい嫉妬を覚えている。
自分こそが愛されるべきなのにと、自分から彼氏(笑)を奪ったツバキを悪女認定。
先に奪ったんだから、こっちだって大事なものを奪ってやる、と逆恨みして魔法薬をぶちまける。
その結果、大切な記憶を手に掛けられ、ツバキがオーバーブロットする。


***


「ああ、ああ……! 嫌だ、嫌だ! 私から、大切なものが抜け落ちていく……!」
「やめてくれ、やめてくれ! 奪わないでくれ!」
「忘れたくない! 失いたくない!」
「愛しているんだ、彼等のことを! 今でも、これ以上ないくらいに! 私が彼等の糧となるのなら、この命だって惜しくないくらいに……!!!」
「これを奪われたら、私は私でなくなってしまう……!!!」


 悲痛な声だった。聞いているこちらが、深い傷を負ってしまいそうになるほどの、痛ましい声だった。ジェイドは、思わず拳を握りしめた。
 何よりも大切な、愛の言葉だった。その相手のことを口にするだけで、愛しさが溢れてしまうくらいの、深い愛情に溢れた言葉だった。その愛を奪われようとしている最中さなかでありながら、それでも募る想いが溢れ出している。
 だからこそ、その想いが踏みにじられるのが許せなかった。命懸けの愛を、嗤いながら粉々にされる様を見ていられなかった。例えそれが、己に向けられたものでなかったとしても。愛する人の、大切な想いだから。


***


「なぁ、君は一体誰なんだ。大事な人だと分かるのに、君が何者なのか分からないんだ」
「この胸に大切なものがあったはずなのに、それがごっそり抜け落ちて、空っぽなんだ。何もないんだ」
「この刀もそうだ。見覚えなんてないはずなのに、これは私のものだって、私の全部がそう叫ぶんだ」
「私は一体何なんだ。私は、自分が分からない。私が私であるために必要なものが、何もないんだ」
「私は、一体何を失くしたんだ……?」


 聞き心地の良い声が、悲しみに暮れていた。ジャミルに縋り付き、混乱と絶望で途方に暮れるツバキは、まるで幼子のようだった。
 涙を流したいはずなのに、それすらも出来ない。何を失ったのかすら分からないままでは、泣くに泣けないのだ。何を嘆いて泣けば良いのか、分からないから。
 知りたくもなかった。そんな悍ましいことなんて。己に付けられた傷を、痛むことすら出来ないなんて。
 今にも死んでしまいそうな顔で俯くツバキを見て、シルバーは我慢なんて出来なかった。ざまぁみろと、ツバキを嗤う犯人の正面に立ち、その胸倉を締め上げた。


「き、さまァ……! 自分が何をしたのか、分かっているのか……!!?」


 シルバーが、これ以上無いほどの怒りを顕わにする。誰も彼も、こんな彼を見たことがなかった。シルバー自身でさえも、己がここまでの怒りを抱けることに驚くほどに。
 彼は、知っているのだ。親友であるジャミルでさえ知らない、ツバキの大切なものを。彼等に対する、愛情の深さを。呼吸をするのもままならないくらいの、果てしない慈愛を。だから、その大切な想いを奪った相手が許せなかった。いっそのこと、殺してしまいたいくらいに。
 知りたくもなかった。自分がこんなにも悍ましい激情を抱けるだなんて。
 どうしてこの世界は、ツバキを穏やかに愛させてはくれないのだろう。見守るような愛を、捧げたいだけなのに。


***


「嫌だ、嫌だ……。呆れられてしまう……。嫌われてしまう……」
「こんなに簡単に奪われてしまうなんて……。なんて情けない……」
「嫌だ、嫌だぁ……! 嫌わないでくれ! 見捨てないでくれ!」
「愛しているんだ……! 誰よりも、何よりも………!!!」


 ブロットに呑まれ、インクにまみれたツバキが泣き叫ぶ。異形となった姿で頭を抱え、
 何も覚えていない。全て奪われてしまったから。
 けれど、それでも、確かにツバキの胸にあったものが叫ぶのだ。忘れてくれるな、と。自分たちも愛しているのだ、と。
 だからこそ、ツバキは自分が許せなかった。簡単に奪われてしまう自分が情けなくて。涙のようにブロットを流す自分があまりにも無様で。己の激情に呑まれ、ただひたすらに傷付けることしか出来ない自分が、どうしようもなくて。


「ああ、分かっている。彼等だって、きっとそうだ」


 紅紫苑を携えたジャミルが、ツバキの正面に立つ。無差別に高火力の攻撃を放つツバキだったが、ジャミルにだけは、その凶刃を向けない。記憶を失っても、ブロットに呑まれても、魂に刻まれた想いが、彼を傷付けることを良しとしなかったのだ。


「俺は君の言う大切なもの達を知らない。けれど、君がそこまで愛するもの達が、そんな程度で君を見捨てるものか」
「だからこそ、君の傍には紅紫苑が居るんだろう?」


 ツバキの心の、一番深くに存在するものの一つ。彼女の守り刀である紅紫苑を、そっと引き抜く。大胆な反りの、美しい乱れ刃の太刀。ツバキに沿うように作られた、彼女のための刀だ。


「紅紫苑、あいつの首を、落としてくれ。これ以上、あいつが道を踏み外す、その前に」


 ―――――取り返しの付かないことになる前に。あいつを、助けてくれ。
 その瞬間、薄紫の花びらが視界を覆う。ふと、手元が軽くなって、すぐそばに、誰かが現れたのが気配で分かった。
 目を開けると、そこにはいつか見た男が立っていた。艶やかな黒髪に、深い赤色の瞳。ツバキとは色味の違う赤色がよく似合う、きっと、ツバキの大切な誰か。その誰かが、ジャミルに向けて口角を持ち上げる。


「任せて。“俺”はあの子の守り刀だからね」


 スカラビアに、黒と赤のコートが翻った。


***


オーバーブロットしたツバキ

時間遡行軍を合体させたような姿になる。
ツバキの周囲をブロットで出来た敵短刀と敵苦無が固めている。
下半身は敵脇差しにそっくり。敵太刀のような骨の尾(?)が生えている。
背後の化身は敵薙刀のような姿で、大太刀を構えている。
たまに刀が形を変えて、槍で刺したり、薙刀で横一線の攻撃を放ってくる。
めちゃくちゃ厄介。




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