ジャミルの友達が姐さんだったら 2






「ラギー、ようやく回復したんだってな」
「ああ。保険医から報告を受けたよ。明日には復学するそうだ」
「後遺症とか、何も残らなくて良かったな-。ちょっと記憶が曖昧になってるみたいだけど、それだけだし。正直、腕の一本くらいなら持っていかれると思ってたからさ。もしくは死なない程度に丸焦げにされるとか」
「確かに、金屋子神にしては対処が甘い気がしたな。ラギーのご家族も全員無事だったそうだし」
「ツバキが頑張って止めてくれたのかな」
「どうだろうな。あいつは相応の報いなら受けさせるはずだ。今回は未遂で終わったから命を取るのはやり過ぎだろう、くらいは言ったかもしれないが、その程度だろうさ。口添えしたのは、むしろ短刀そっちの方じゃないか?」
「ああ、雪化粧か。雪化粧は優しい刀だからなぁ。確かに雪化粧がお願いしてくれたのかもな! 今度ツバキに聞いてみよう!」
「お礼もしないとな。最近、あいつには迷惑を掛けっぱなしだ……」
「そうだな。ツバキにお礼と、ラギーの復学祝いをしよう!」
「ラギーの方もするのか? 彼の自業自得だろう」
「謝ってくれたから良いだろ! 金屋子神も許したって事は、心の底から反省してるって事だしさ!」
「全く、お前は……」
「それにしても、ラギーは本当に運が良いな! もしジャミルの方から盗んでいたら、ラギーは確実に死んでいただろうし」
「ああ、それは確かにそうだな。俺の刀は気性が荒いし……」
「それにジャミルのことが大好きだから、引き離されたりしたら、何するか分かんなくて怖いよなぁ」
「俺達も刀に隠蔽魔法を掛けておくか。第二のラギーが現れてはたまらない」
「そうだな! ジャミル、今度教えてくれよ!」
「はいはい」



「「「…………………………」」」
「…………マジかよ」
「嘘だろう?」
「あれで対処甘いのか……」
「あれだけの被害を出したのにか??? いや、死者は出ていないし、ブッチのご家族も謝罪後すぐに回復したと聞いてはいるが」
「つまり、東方の国の口添え無しにはブッチ及び彼の家族は危うかったと言うことか……?」
「東方の国の助力無しで対処していたら、一体どうなっていたことか……」
「考えたくもないな。正式に依頼を出しておいて正解だった」
「しかし、バイパーの方が危険なカタナを所持しているのか……」
「神からの授かり物を持つアジームと、それを超える危険物と認識されているカタナを所持するバイパー……。今年のスカラビア、他寮とは別の意味でヤバいな……」
「しかし、取り上げるわけにもいくまい……」
「確かに。引き離せばどうなるか、という話だ。彼らの会話から察するに、彼らもそれは拙いという認識だ」
「キングスカラー。我々も周知の徹底を行うつもりだが、寮長であるお前からもきちんと話を通しておけよ」
「…………ああ」
「だが、契約書には抵触するなよ。それこそ、何が起こるか分からんぞ」
「…………分かってる」

聞き耳魔法を使用していた教師+レオナは頭を抱えるしかなかった。




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