ジャミルの友達が姐さんだったら 15.5






「ひ、ひひひ……」


 シュワルツは笑い続けていた。一ヶ月もの間、ずっと笑い続けていた。
 体中を蹂躙された形跡。限界まで薄く伸びた皮膚。内側から破裂したように見える腹部。そこから何かが這い出たような痕跡。本来ならば死亡していても可笑しくはない程の重傷。否、今なお笑い続けていられることが可笑しいのだ。すでに死亡して然るべき肉体になっているのだから。けれど、シュワルツは死んではいなかった。


「いひひ、ひひひ……」


 シュワルツは、ずっと上を見上げ続けていた。肉色の鍾乳洞だけをその瞳に映し続けていた。首を逸らして、決して下半身を見ないように。妊婦のようになっていた腹を見ないように。
 人は希望を見たくて空を見る。涙を堪えるために上を向く。けれど彼は、絶望から目を背けるために天井を見上げていた。そうすることでしか、現実からを背けることが出来なかったから。


「ひひひ……ひひひひひひ………!」


 シュワルツは笑い続ける。シュワルツの身体が用済みになるまで。あるいは、第二のシュワルツが現れるまで。




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