ジャミルの友達が姐さんだったら 番外編 4
幸せな新郎新婦と招待客を乗せた船が、美しい海を駆けていく。その大きな後ろ姿を見送っていたツバキが、ハッと目元を抑える。松葉色に染まっていた右目から、微かに色が抜け落ちていた。
ツバキの顔は、先程まで見せていた祝福に満ちたものではなかった。悲しみと寂しさの入り交じった、今にも泣いてしまいそうな顔。彼女の友人達が傍に居たならば、きっと心配そうな顔で寄り添っていたことだろう。
「もう、逝ってしまわれるのですか……」
『――――――――――』
「あなたの願いは、美しいものは、見られましたか……?」
『――――――――――』
「あなたに心残りがないのなら、あなたの願いを叶えられたのなら、私にも悔いはありません」
松葉色が、空へ溶けていく。もとのオニキスのような漆黒に戻ったツバキの瞳から、一筋の涙が零れた。