ジャミルの友達が姐さんだったら 15
ロイヤルソードアカデミーは騒然としていた。一年生が一人、ある日忽然と姿を消したからだ。
シュワルツ・オベール。誰にでも分け隔てなく接することの出来る、心優しい男子生徒。運動は少し苦手だったけれど、座学で優秀な成績を収めていて、誰からも愛されるような人柄だった。そんなクラスメイトが突然消えてしまったものだから、みんなが顔を暗くしていた。
「どうしてシュワルツくんが……!」
「シュワルツくん……」
クラスメイトの少女達が、さめざめと涙を流す。そんな彼女たちに寄り添い、励ます言葉が投げかけられる。そのうちに「警察だけでなく、自分たちも独自に捜索しよう」だとか、「島の人達に話を聞いてみよう」という声が上がり始めた。そんな言葉に涙を拭い、泣いていた者達が顔を上げる。涙で潤んだ瞳が、日の光を浴びてキラキラと輝いていた。
「そうだよね。泣いてたって、シュワルツくんが見つかるわけじゃないもんね」
「そうだよ。みんなで力を合わせて、シュワルツくんを見つけ出そう!」
「ああ。きっと彼も、僕達の助けを待っているはずだ」
「待っててね、シュワルツくん。必ず助け出してみせるから!」
クラスメイトの少年少女達が、教室を飛び出していく。普段ならいの一番に声をかけられるツバキに、この話題が振られる事は終ぞ無かった。
もうすぐ、春が来る。薄紅色の花弁が吸い込まれそうな青空に舞う、美しい日の出来事だった。