ジャミルの友達が姐さんだったら 14






 スカラビア寮、カリムの自室にて。カリムとツバキは揃ってベッドに倒れ込んだ。上質なマットレスは睡眠不足でけだるい身体を優しく包み込むようだった。僅かに沈んだ身体は、そのままどこまでも沈んでいきそうな錯覚を覚えるほどに重い。自覚している以上に、傷付けられたジャミルの不在が、彼等を摩耗させていたのだ。
 これだけ疲弊していれば、眠れるだろうか。二人はそっと目を閉じる。瞼の裏を覗いていると、目の奥がツキリと痛んだ。


「…………おやすみ、カリム」
「…………おやすみ、ツバキ」


 早く帰ってきて欲しいな、と願いながら、二人は暗闇の中で身を寄せ合って眠りに就いた。
 二人がすっかり寝静まった頃、カリムの部屋の扉がそっと開かれる。毛布も掛けずにいる二人を見て、侵入者は小さくため息をつく。
 毛布を掛け、眉間に皺を寄せる二人の寝顔を優しく撫でる。何も心配はいらないというように、何度か目尻を撫でていると、ふと二人の身体から力が抜けた。
 きっと、眠れていなかったのだろう。顔色は悪くて、呼吸だって浅い。苦しげな表情をしていたから、夢見も悪かったのかもしれない。けれど、もう大丈夫。


「…………ただいま、カリム、ツバキ。良い夢を」


 そう言って頬を撫でると、二人の顔に柔らかい笑みが浮かんだ。







 翌朝目を覚ました二人は、自分たちで掛けた覚えの無い毛布を見て、顔を見合わせる。そして次の瞬間、二人はベッドを飛び出した。目指すは、ようやっと帰ってきた幼馴染みのもと。


「「おかえり、ジャミル!!」」




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