ジャミルの友達が姐さんだったら 番外編 原作邂逅






 自分たちとは異なる世界からやってきた、自分たちと同じ顔をした誰か。彼等は学園の鏡から現れて、ナイトレイブンカレッジで保護されることとなった。
 うち一人は、全く知らない誰かだった。ロイヤルソードアカデミーの制服を着た、どこかの世界のジャミル・バイパーの親友。カリムとも幼馴染みで、とても仲が良いように見えた。


「お、ツバキ、ナイトレイブンカレッジの制服も似合うな~!」


 元の世界への帰還の目途が付くまで、ナイトレイブンカレッジの生徒として通うこととなった彼等は、ナイトレイブンカレッジの制服を纏うこととなった。同じ顔が居るから、どこかの世界の彼等の腕章とベストの色は、色変え魔法で黒色へと変えられている。ロイヤルソードアカデミーの生徒であるツバキ・サニワも、同じ措置が取られている。
 真っ白な制服から、真っ黒な制服へ。白馬の王子様のような制服から一変したけれど、ツバキはどちらの制服もよく似合っていた。


「短い間だけど、一緒に学校に通えるの、嬉しいな!」
「ああ、そうだな。早く帰らなくてはならないのは分かっているんだが、ちょっと浮かれてしまうよな」


 カリムに肩を組まれたツバキが、嬉しそうに顔を綻ばせる。花が咲いたような、華やかな笑みだった。
 地味というか、目立つ容姿ではなかったから、その笑顔は目を引いた。平行世界からやってきた生徒達を品定めしていたもの達が、そわりと居住まいを正す。それに気付いたジャミルが、一瞬だけ彼等を一瞥した。


「どうせ浮かれるなら、とことん浮かれてしまえ。持ってるだろ?」
「ああ、もちろんだ」


 ポケットから取り出したのは、カリムやジャミルと同じ、赤い色の羽根飾り。ジャミルがツバキの髪を束ねていたリボンを外し、羽根飾りを通す。そして、華やかになったリボンでツバキの髪を結い上げた。見事なまでの牽制である。
 一連の流れを見ていた、この世界のケイトは「仲良いなぁ」と、わちゃわちゃとじゃれつく三人の背中を写真に撮った。



***



「なぁ、ジャミル。ナイトレイブンカレッジって、授業で作った宝石ってどうするんだ?」


 ツバキは、ジャミルと共に2-Eに振り分けられた。人数の兼ね合いと、同じ顔が一つのクラスに二つあるとややこしくなるからだ。ちなみに、カリムは2-Bへと振り分けられており、二人とクラスが離れたことを非常に残念がっていた。


「生徒が自由にして良いことになっている。出来の良いものは購買部で買い取って貰ったり、街に売りに行く奴も居るな」
「なら、私が魔力を込めるから、君はサポートを頼む。出来る限り、純度の高い石を生成するから、売り払って小銭にしよう」
「やめろ、馬鹿。君の作った宝石を買い取れる宝石店なんて賢者の島にないぞ」
「なら、学園長殿に差し上げよう。そうしたら、ちょっとしたわがままくらいなら聞いてくれるようになるだろうからさ」
「むしろ、カリムと同じくらい忖度してくれるだろうな……」


 呆れたように肩を竦めるものの、ジャミルはサポートの体制を万全に整えている。口では文句を言いつつも、その顔は非常に楽しげだ。ツバキも口角を上げ、恐ろしいほど純度の高い魔力を注ぎ込んでいく。一切混じりけの無い、透き通った水のような魔力だ。それがあんまりにも美しい魔力だったものだから、教室内はしんと静まりかえり、ツバキの魔力に魅入っていた。
 ジャミルのサポートを受けながら生成されたのは色が濃く、鮮やかな輝きを放つルビーだった。宝石に明るくないものでも、その価値が非常に高いことが見て取れた。賢者の島の小さな宝石商では、とてもではないが、買い取る事なんて不可能だろう。


「………流石ツバキ、相変わらず良いもの作るな」
「ふふ、ジャミルのサポートがあったからな」
「当然だな」


 完璧だったろ、と得意げに笑うジャミルに、ツバキもニッと笑う。軽く拳をぶつけ合い、教卓で一連の流れを見届けていたクルーウェルに提出に向かった。
 生成した宝石は、見れば見るほど美しかった。下手をすれば、宝石商に並んでいるものよりも、良い色味をしているかもしれない。不純物を含まないルビーは、いつまでも見ていたくなるような輝きを放っていた。


「…………グッボーイ、完璧だ。お前達が俺の生徒でないことが悔やまれるな」
「ふふ、言い値で売れそうです?」
「これに見合うだけの金があるなら、俺が買い取りたいくらいだ」


 クルーウェルから最大級の賛辞を受け取り、二人はハイタッチして片付けに向かう。片付けをしながら「ミステリーショップで鑑定書を出して貰おう」、「学園長にどんなわがままを聞いて貰おう」と話す二人は楽しげで、実にナイトレイブンカレッジらしい顔をしていた。片方が、ロイヤルソードアカデミーの生徒であること忘れてしまうくらいに。
 面白いものを見つけたと、オッドアイの瞳が怪しく輝いていた。



***



 昼食時、異なる世界から来た生徒達は、一塊になって食事を摂っていた。居心地が悪いから、などという細い神経をしている者はいない。けれど、ちょっとした話題にもかみ合わない部分が多く、やはり話しやすいのは同じ世界で生きるもの同士であったためである。いちいち説明してやる義理など無いし、そもそも面倒くさいからである。


「あち、んん、美味しい」


 バイキング形式の大食堂。湯気の立つ美味しそうな料理から、気になったものを盛り付けたツバキは、それはそれは美味しそうに頬を緩ませた。
 男子高校生向けの、食べ応えがあって味が濃いめの料理は、ツバキも大好きである。厚めに切られたお肉だとか、具沢山のスープだとか、成長期が欲するものをよく分かっている感じがして、思わず感嘆の声を漏らしたほどだ。ロイヤルソードアカデミーの食堂も同じようにバイキング形式であるけれど、男女共学故か、所謂おしゃれ料理も多いのだ。それはそれで美味しいけれど、下手な男子生徒よりも食べるツバキには、少々満足感が足りないのである。故に、美味しくて満足感のある料理が所狭しと並んでいるナイトレイブンカレッジの大食堂は、ツバキにとって夢のような場所だった。


「ふふ、ツバキさんは食べるのがお好きなんですね。向こうに戻ったら、是非、モストロ・ラウンジにもいらしてくださいね」
「いいね、それ。オルカちゃんならサービスしたげるよぉ」


 にこにこと笑う双子の人魚は、珍しく純粋なお誘いのようだった。利益を求めてのものではなく、好意から来ているお誘いだ。ロイヤルソードアカデミーの生徒に興味の無かった周囲の生徒達が、一斉にツバキに視線を寄越す。マフィアだなんだと揶揄される彼等に気に入られるなんて、どんな人間なのだろう、と好奇心が疼く。
 しかし、その無粋な視線はツバキだけでなく、その周囲に座る者達にも伝わった。不快だと言わんばかりに、鋭い視線で周囲を睨み付ける。リーチ兄弟に目を付けられてはかなわないと、瞬時に目は逸らされた。


「放っておいていいぞ。どうせ、オクタヴィネルの連中が接触の機会を窺っているのは分かっていることだしな」
「まぁ、こちらのジェイドがいるクラスで派手にやらかしたからな。そろそろ、こちらのアーシェングロット辺りが接触してくるだろう」
「オレ達の知るアズールは確かな目を持ってるけど、変なところで読み間違うよな~。こっちのアズールはどうなんだろ?」


 ジェイドとフロイドは、それぞれ2-Aと2-Cに振り分けられていた。午前中に合同授業はなく、クラスの顔ぶれは違うものの、いつもと同じような時間を過ごしていた。ちょっと気になる話題が出てきて、二人の好奇心がそわりと疼く。それに気付いたジャミルが、ニッと口角を上げた。


「錬金術の授業で、ツバキと組んで高純度の宝石を錬成したんだ。放課後、学園長のところに乗り込んで、こちらでの学園生活をよりよいものにしようと交渉に向かう予定だ」
「食事が終わったら、ミステリーショップで鑑定書を出してもらうつもりなんだが、君達も来るか?」
「行く! そんなんぜってぇ行くし!」
「ええ、僕もご一緒したいです」


 ジャミル達の言葉に、双子が目を輝かせる。内容は不穏な気配が混じっていたが、彼等の表情は、まるでどこかに遊ぶに行く予定を立てる学生のようだった。


「ツバキの作る宝石、すげぇ綺麗なんだよなぁ。不純物とか全然無くてさぁ。今日は何を作ったんだ?」
「ルビーだ。賢者の島の宝石商では買い取れないだろうな」
「ルビー! 次はうちで買い取らせてくれよ!」
「言い値で買ってくれるならな」


 やったぁ、と喜ぶカリムに、双子がこっそりと顔を寄せる。錬金術で生成される宝石は、不純物が混じりやすい。失敗すればただのクズ石が出来上がるだけである。ルビーのような、高価な宝石なんて滅多に作ることは出来ないのだ。それも、アジーム家が求めるレベルの宝石なんて、妖精族だって生み出すのは難しい。


「やっぱオルカちゃんって規格外だよねぇ……」
「ふふ、本当に興味深い方ですよね。こちらのアズールは、どうやってツバキさんを懐柔するおつもりでしょうか?」
「やっぱラッコちゃん辺りに間を取り持って貰うとかじゃね? 手玉に取られて終わんねぇといいよねぇ」


 クスクスと怪しく笑う双子の人魚に気付いたジャミルが、呆れたように肩を竦めた。



***



 食堂の一角で、乱闘が起きた。罵り合いから殴り合い、魔法が飛び交う事態にまで発展するのは、あっという間の出来事だった。カレッジ生にとっては日常の一部。サバナクローとポムフィオーレ生の間で起きた騒動。ハーツラビュルの寮生達が囃し立て、オクタヴィネルが賭けを始め、それに乗るスカラビア。傍観するディアソムニア。そもそも食堂に居ないイグニハイド。一連の流れにツバキが一瞬目を瞠り、次いで呆れたように肩を竦めた。


「…………ナイトレイブンカレッジって、本当に治安が悪いな」
「刺激的で良いでしょ?」
「退屈はしなさそうだが、私には馴染めなさそうだ」
「あっは! アズールのこと達磨にしてやるとか言ってた子が何言ってんのぉ? 十分やってけるって! っていうか、普通にのし上がれるでしょ、オルカちゃんなら」
「そうだろうか?」


 昼食を終え、午後の授業へ向かおうとしていた最中のことである。乱闘騒ぎを横目に、ツバキたちは食堂を出ようと人垣の横を通り過ぎる。そのとき、流れ弾が一行に向かって飛んできた。


「カリム!」


 火球が、カリムにぶつかりそうになる。それをジャミルが身を挺して庇い、マジカルペンを構える。
 しかし、その必要は無かった。飛んできた火の塊が、切れ味の良い刃物で切り伏せられたように、真っ二つになったのだ。
 二人が無事だったことにほっとしたツバキが、次の瞬間に怒りを沸騰させる。人垣の中央で魔法を打ち合っていた生徒に向けて魔法を放ち、二人を吹き飛ばす。ツバキの怒気をぶつけられた二人は思い切り吹き飛ばされ、壁にぶつかったことで止まった。魔法をぶつけられた故か、壁に激突した故か。どちらが原因かははっきりしないが、二人は失神していた。


「すっげ……」
「瞬時にあの威力が出せるなんて、流石ですね」


 思いの丈をぶつけたツバキは、すでに渦中の人物への興味を失っていた。カリム達に怪我がないことを再度確認し、ほっと胸をなで下ろす。その様子を見ていたリーチ兄弟も、ちょこちょこと近寄った。


「カリムさん、ジャミルさん、ご無事ですか?」
「おう、大丈夫だぜ! ジャミルが護ってくれたからな!」
「俺というか、紅化粧だな。助かったよ、紅化粧」


 服の上から、懐に仕舞った刀を撫でる。カチン、と小さく、鍔鳴りの音が響いた。


「お刀様って魔法も斬れんの?」
「斬れるとも。特に紅化粧は切れ味が自慢の刀だからな。何せ、戦場帰りだ。その名も、常にその刀身を血に染めていたことから名付けられたものだしな」
「物騒~! 超こえぇけど最高じゃん!」
「元はうちの家宝の一つで、ジャミルに一目惚れして熱砂の国まで追い掛けた豪傑だぞ? 最高の一振りさ」


 わいわいと賑やかな声を響かせながら、平行世界からやってきた一行は食堂を後にする。
 容赦ないツバキの一撃を見た傍観者達は、少しばかりロイヤルソードアカデミーへの見方が変わったのは言うまでも無い。



***



 リドルがそれを見たのは偶然だった。平行世界からやってきた生徒のうちの、三人。カリムとジャミルと、彼等の幼馴染みだというツバキ。こちらの世界でもカリムとジャミルはいつも一緒に居るのを見掛けるけれど、異なる世界での彼等も似たようなものであるらしい。彼等はいつも三人一緒に居た。
 そう言えば、ケイトがじゃれている三人の写真を見せてくれたっけ、と連れたって歩く三人の背中を目で追っていく。そのうち曲がり角に差し掛かって、何故だかカリムだけが、別の方へ向かおうとした。


「カリム、そっちじゃないぞ」


 ぴしゃり、と、少しばかり厳しい口調でツバキがカリムを引き留める。綺麗な声が僅かに低くなって、背筋が凍るような圧を感じた。
 そんなに怒るようなことでもないだろうに、とリドルが首を傾げると、ハッと我に返ったカリムが慌ててツバキたちの元へと駆け寄った。


「すまん、助かった」
「気を付けろよ。今は完全に、私一人でどうにかしないといけないんだからな」
「そうだよな。アサギ達はこっちに居ないんだもんな」
「ああ」


 カリムを引き寄せたツバキが、カリムが向かおうとしていた方を見て、僅かに目を細める。その視線には嫌悪のような色が乗っており、身が竦むような心地にさせる。正面から向けられたら、たまったものではないだろう。


「こっちでは俺より、カリムの方が魅入られやすいのか?」
「そうだな。殺傷力の無い誘蛾灯のようなものだ。ジャミルが傍に居るから、今のところは何ともないようだが」
「うわぁ……。そっち面でも、こっちのオレはジャミルに護られてるんだな」
「そうなるな」
「どこの世界でも、お前は世話が焼けるな……」


 苦笑するカリムに、ジャミルが肩を竦める。ツバキに促され、彼等は正しい道へと足を向ける。そんな中、ツバキが立ち止まり、カリムが向かおうとしていた先を見据える。そして、声無き声で一言。


『  失   せ   ろ  』


 ゾッとするような、凍てつく視線。その殺意の籠もった言葉を向けられたら、きっと今夜は悪夢に魘されたことだろう。ツバキがそれを口にしなくて良かったと、リドルは心底ほっとした。
 自分の代わりに、どこかで劈くような悲鳴が聞こえた気がした。
 ツバキの見つめる先には、一体何があったのだろう。ふと疑問に思ったけれど、リドルはその好奇心にそっと蓋をした。それを知ってしまえば、次に悲鳴を上げるのは、きっと自分になるだろうから。



***



「…………鬱陶しいな」


 休み時間になる度に、どこからともなく感じる視線。一時的なクラスメイトのものではない。否、それも十分にあるけれど、その外側から感じる視線だ。


「どこから見ているのだか」
「ユニーク魔法の可能性もあるぞ。あの人、獲物を見つけるのが得意らしいから」
「ああ、狩人を自称しているんだったか。自分が狩られる側にならないと良いよな」


 窓の外を見つめ、ツバキがうっそりと微笑む。その横顔を見て、特定済みかよ、とジャミルが呆れる。あまりしつこいようなら、彼は獲物になった気分を味わうことになるだろう。光属性の一角を担う彼相手ならば乱闘にはならないだろうが、対立する可能性はある。面倒なことにならなければ良いんだが、とジャミルは盛大にため息をついた。



***



「オルカちゃんと一緒に居ないウミヘビくんって、何か変な感じ~」
「…………オルカちゃん?」


 2-Cの教室にて、ジャミルの隣の席を陣取ったフロイドが、ジャミルの顔を見つめながら呟いた。ごく近い距離に座るジャミルの耳には当然その呟きが届いており、僅かに眉を寄せた。


「それはもしや、ロイヤルソードアカデミーに通っているツバキ・サニワさんのことですか?」


 フロイドとは反対側のジャミルの隣に座ったアズールが、興味深げに問いかける。そぉ、とフロイドは気のない返事で肯定を返す。
 これまた凄いあだ名を付けられたものだな、とアズールは顎に指を掛ける。海の王者と呼ばれる、食物連鎖の頂点。海において、シャチの右に出るものはいないだろう。そんなあだ名を、フロイドは何の意図を持って付けたのか。ちら、とフロイドを見ると、怪しげに輝くオッドアイがアズールを見つめていた。


「自分とこの世界の奴で満足しときなよ、アズール」
「…………それ、僕の性格を分かっていて言ってます?」
「そうだよ」


 アズールは貪欲だ。欲しいものは何でも手に入れたいし、そのためならどんなに時間を掛けたって構わない。そのための労力を、努力を惜しまない。ほんの僅かな時間だとしても、その人間に利用価値があるのなら、その力を利用したいと考えるのがアズールだった。
 すでに、どこかの世界のジャミルと、その友人であるツバキの実力は分かっている。クルーウェルが手放しで褒め称えるほどの宝石を錬成する錬金術の腕前。食堂で乱闘を繰り広げた三年生二人を一撃で沈めた魔法の威力。飛行術や他の授業でも、彼等二人は周囲の注目を集める成績を収めているようだった。どうしてこちらにツバキが存在しないのだろう、と嘆かわしくなるほどに、ツバキという人間は優秀だった。


「あの子は化け物だよ」


 きっぱりと言い切ったフロイドの目に、嘘はなかった。心の底から、ツバキを化け物だと確信していた。


「純粋な殴り合いならオレの方が強いと思うけど、武器とか魔法ありなら、オレの勝率は一気に低くなる。そんで、何でもありになったら、オレじゃ絶対に勝てない」
「………君相手に?」
「まさか。何でもありはお前の得意分野でしょう。それほどの実力を持つ人物なのですか?」
「多分、この学園でオルカちゃんに勝てんの、ウミウシ先輩くらいだよ」


 フロイドの返答に、アズールもジャミルも絶句する。話が聞こえていたクラスの生徒達も、言葉を失った。
 いくら何でも過大評価だろう、と笑い飛ばせれば良かったのだが、フロイドの目はいつになく真剣だ。いつもならにんまりと持ち上げられている口角が、今日に限っては引き結ばれている。


「あの子に“敵”だって認識されたら、命はないって考えた方が良いよ」


 そう話を締めくくったフロイドの瞳は、切実な色を湛えていた。




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