ジャミルの友達が姐さんだったら 10






 特別な人間になりたかった。神様に愛されるような人間に。
 美しい生き物に生まれたかった。神様に見初めて貰えるような生き物に。

 しかし、自分はそのように生まれることが出来なかった。特別なものなど何もなかった。
 だから、欲しかった。自分だけの特別なもの。
 けれど、それを手に入れるのは、とても難しいということを知っている。

 だから、美しい生き物に、生まれ変わりたかった。
 美しい人の隣に並び立つ、美しい生き物に。
 そうであったならば、きっとあの美しい人の隣に並び立てるはずだから。

 けれど、それはもう叶わない。

 イカレた奴だと病院に入れられて、きっと自分はここから出して貰えない。
 そんな壊れた生き物に、あの美しい人と並び立つ資格などありはしないだろう。

 だから僕は、諦めることにした。××ことにした。
 そうでもしなければ、とてもではないが、自分のプライドが許せなかったから。

 あの美しい人の生きる世界に、こんな醜い自分を、残しておきたくなんて無いのだ。




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