イナイレ夢






「睦月!」

円堂が、バタバタと廊下を走ってこちらに来た。

「何?」

睦月は仏頂面でたずねる。
そんな睦月に円堂は苦笑を見せた。
少し、訝しげな表情を見せると、さらに乾いた笑みを見せる。

「もったいないなぁ・・・。」

唐突に円堂がつぶやいた。
もったいない?円堂の言葉を繰り返す。
すると円堂が頬を染める。

「いや・・・。えと。」

いつまでもそこから先に進まない円堂に、段々苛立ちを覚える。
睦月は、自分で自分の表情が険しくなるのがわかった。
表情の変化に少しビクつく円堂。
そして、まるで覚悟を決めたと言わんばかりの真剣な表情になった。

「睦月さ・・・。その・・・。か、かわいいっていうか、きれいなのに笑わないからさ・・・。」

もったいないなぁって。
睦月は驚きを通り越して、呆れてしまった。
かわいいだの、きれいだのはもう聞き飽きた。
そんな見え透いたお世辞は聞きたくない。

そう思っていた。
でも、円堂に言われた一言は何となく・・・。

「はは・・・っ。」
「!!?」

睦月は笑った。最後に笑ったのはいつだろう?というくらい久々に。
円堂は驚きのあまり、口をパクパクと上下させている。

「私だって笑う。」

そういうと、円堂も笑った。

「ありがとう。久々に笑ったよ。」

そう言って、もう一度笑う。
今度は、満面の笑みで。
円堂が硬直し、それから、りんごのように赤くなり、全力で走り去った。
そんな円堂があまりにも可笑しくて。

「ありがとう。」


君に言われた一言は
誰に言われる一言よりも。

君に言われた一言は
彼女の心に染みわたり。

君に言われた一言は
彼女にもう一度笑顔をくれた。





END




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