風丸夢






「ねぇねぇ、灰薔薇さん。
 もしも、明日、地球が滅ぶとしたら?」

クラスメイトからの、いきなりの質問。
私は、何故、そんな質問をするのだろう?
何が、言いたいのだろう?
そんなことばかりが、頭に浮かんで答えを出せなかった。


その、疑問の答えは、考えてみれば考えてみるほどわからなかった。
何故、私に聞いたのか。
というか、自分の考えはどうなのかを、言ってから聞くものだろう。

「もしも、明日、地球が滅ぶとしたら・・・。か。」

私が、小さく呟いた。
すると、背後から声が聞こえた。

「おいおい、物騒だな。」

サッカー部の助っ人をやってる風丸か。
そういえば、同じクラスだったな。
丁度いい、風丸に聞いてみよう。

「問うてもいいか?」
「え?あ、ああ・・・。」
「もしも、明日、地球が滅ぶとしたら、どうする?」

う~ん・・・と唸って、考え込む風丸。
実感がわかない分、答えを出すのは難しい。
私は、自分の考えを述べた。

「私は、あきらめる。というか、受け入れる。
 自然の理には、逆らえない。」

すると、風丸が笑った。

「灰薔薇さんらしいと言えば灰薔薇さんらしい答えだな。
 俺だったら・・・仲間とか、大切な人と一緒にいたいな。」

大切な人、か。
ならば、私は、きっと一人だ。

「私は、一人でいる。」
「寂しいな、それ。」
「そうか?」

人それぞれの考えだ。
そういうと、風丸は苦笑し、その後、柔らかい微笑みを見せた。

「じゃあ、本当に明日、地球が滅ぶとしたら・・・。
 灰薔薇さん。俺と、一緒に、いてくれないか?」

モノ好きもいたものだ・・・。
私は、呆れながら言った。

「私は、その、大切な人の中に入っているのか?」
「友達だからな。」

私は、いつから、友達登録されたのだろう?
私は、適当に答えておいた。

「考えておく・・・。」

風丸は笑って、じゃあなと言って走り去った。


もしも、地球が滅ぶとき。
私は、本当に、風丸の隣にいるだろうか。
そのときになってみないと、わからないが・・・。

もしも、地球が滅ぶとき。
私は、どんなことを思い、誰と一緒にいるだろう。

(本当に、そうなってみないとわからないな・・・・・。)

そう思いながら、私は、グラウンドにいる風丸を見つめた。





END




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