風丸夢






「夏飛!一緒に帰っていいか?」

幼馴染のイチこと、風丸が言った。
イチは、モテるから周りの女子が睨んでくる。
今日は、先生たちの会議で部活はなし。
だから、当然、みんな、今帰り。

いつものことなんだけど・・・。
いつものことだから、尚更ため息をつきたくなる。

「別にいいけど、自覚持ってくんない?」

すると、イチはキョトンとする。
私が、何をどういう意味で言ったのか、わかってないらしい。
まったく、イチの鈍さには呆れる。

毎日、毎日返されもしない、ラブレターやらプレゼントを下駄箱やら机の中に入れる女子もそうだが、そんなことをされても気付かない、イチも相当なもんだ。

「そんなんだと、いつか刺されるよ。」
「なんだよ、その、不吉な予言!?」

だから、自覚を持てっつの。
私の幼馴染は馬鹿っつか、自覚なしっつか・・・。
とにかく無自覚が多い。

私は、毎日
鈍さに呆れる。




END




7/12ページ
スキ