風丸夢
好きな子ほど、構ってほしくていじめたりする。
好きな子ほど、気付いてほしくていじわるする。
俺は、小さい頃から今まで、そういう心境がわからなかった。
でも、今、俺には好きな奴がいるからわかる。
「三つ編み、完成~!」
「オイ、シナノ。」
俺の髪を、玩具にしているシナノ。
少し、低めの声でたずねた。
「お前は、俺を何だと思ってるんだ?」
そう聞くと、シナノは一瞬、キョトンとしてから、笑顔で言った。
「え?普通に、女の・・・ムギっ!?」
俺は、女の子なんて言おうとした、シナノの頬をつねってやった。
「俺は、男だ。」
女の子なんて言おうとしたのは、この口か?
そう、笑って聞いてやる。
「ふ、ふいはへんれした・・・!」
必死なシナノが、かわいくていじめたくなる。
「何言ってるか、わからないぞ?」
「ほ、ほへんなはい・・・!!」
ああ・・・。
必死に謝るシナノをかわいいと思う俺は、きっと根っからのいじめっ子なんだろうな。
でも、やっぱり、シナノが好きだから・・・・・。
好きな子ほど
いじめたくなる。
END