80年後少女






豪奢な髪をたなびかせた少女は、ある一角を見つめていた。







第1章「 1と2の差とその違い 」







目深にかぶった軍帽から垂れる桜色交じりのプラチナブロンドの髪。
長い前髪に隠れた真紅の髪の少女。
その少女の名はミカエレ・アスタ。

昨日、入学式を終え、新入生学力診断テストの結果を見ていた。
あらゆる学科、すべてが1位か2位であった。
「2」という数字を見て、固く結ばれた唇がさらに硬く結ばれる。

王牙学園に入学してからずっとそうだった。
自分が2位ならば、その上にいるのは必ず「バダップ・スリード」という顔も知らない少年である。

総合的に見れば、少しばかり相手が上を行っている。
プライドの高いミカエレには屈辱であった。


無造作に流れた髪を振り乱して、ミカエレはその場を去った。
それと入れ替わるようにして、一人の少年が成績のディスプレイが展開された壁の前に立つ。

視界の端に輝く長い髪を映して。










continue.




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