風丸夢






「ねぇ、風丸。その目、私の手におさめていい?」




ナナシがそういった。
きれいに笑っている。
その手には大きなスプーンがおさまっている。

俺は笑った。
手におさまったフォークをくるくる回す。




「いいよ。」




ナナシはうれしい、といって笑った。
くるくる回るフォークをパシ、と掴んでもう片方の手におさまっていたナイフを突き出した。
ナナシの頬の皮膚が一枚切れた。




「その代わり、お前をこの胃のおさめても?」




そう尋ねてみた。
ナナシはきれいに笑った。




「いいよ。」










END




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