風丸夢
「さぁ、どうぞ。」
そういって、ナナシは俺のために作ってくれた料理を並べ出した。
スパゲティにトマトのスープ。
他にもいろいろ。
赤がすごくきれいだ。
「残さず食べてね。風丸君のために作ったんだから。」
そういうナナシの顔はすごく白い。
料理を作るたびに白くなっていく。
エプロンはすごく汚れてる。
真赤だ。
こりゃ、キッチンもすごいな。
それにしても、少し痩せたんじゃないか?
そうたずねると、
ナナシは嬉しそうに笑った。
「ほら、早く食べて。冷めちゃうよ。」
ナナシは目を細めて笑った。
そういえば、ナナシの右目を最後に見たのはいつだっけ。
ナナシはいつから左腕を隠すようになったんだっけ。
まぁ、いいや。
せっかくに料理が冷めちまう。
せっかく、ナナシが作ってくれたんだ。
残さず食べてやらなきゃな。
END