最強少女 日常編
最近、豪風の周りには、いつもある特定の奴らがいることに気付いた。
そいつらは、多分豪風が好きなんだと思う。
(円堂と風丸はそんなことないんだろうけど・・・。)
豪風の周りに誰かがいると、何かもやもやした物が胸の中に広がる。
豪風のことを考えると胸が痛くなる。
(何なんだよ、これ・・・。気のせいか・・・?)
ほっぺたに何か冷たいものがひっ付けられた。
それに触るとそれはドリンクで・・・。
隣には豪風がたっていた。
「どうした?半田。」
心配そうな顔。
俺のことを心配してくれてるんだと思うと嬉しくなる。
でも、やっぱ、笑顔の方がいいな。
そう思ってると額に手を置かれた。
「・・・熱はないな。大丈夫か?」
「え?あ、うん。大丈夫。考え事してただけだから。」
そういうと豪風は笑った。
「そっか。よかった。」
俺もつられて笑う。
「おーい!豪風ー!」
染岡たちが豪風を呼ぶ。
きっと、シュート練習だ。円堂もいる。
「私呼ばれてるから行くわ。具合悪くなったら言えよ?」
ズキッと胸が痛んだ。
何なんだよ、これ。
行くななんて言えるわけない。
行かせたくない。俺の隣にいてほしい。
でも、部にいずらくなるのも嫌なんだ。
(優柔不断でわがままなんて、いいとこなしじゃん。)
豪風の小さい背中が更に小さくなった気がした。
俺は豪風の手をつかんだ。
「半田・・・?」
何やってんだろう、俺。
豪風が心配そうに俺の顔を覗き込んだ。
「やっぱ、無理してたんだろ。もう、帰った方がいいんじゃないか?」
俺はゆっくりと首を振った。
「いや・・・。ドリンク、ありがとな。」
俺は無理して笑った。
豪風は苦笑した。
でも、どこかほっとしたような表情をしてる。
俺のことを本気で心配してたみたいだ。
「どういたしまして。」
優しく俺の頭をなでる。
でも、この優しさは皆に向けられてる。
俺だけじゃ、ない・・・。
それから豪風は染岡たちのところに向かった。
胸が痛い。苦しくて、悲しくて、凄く辛い。
もう、どういえばいいのか分からない位、色んな感情が胸の奥に渦巻いてる。
行ってほしくなかった。
隣にいてほしかった。
俺だけに笑顔を向けていてほしかった。
豪風が離れて行くたびに胸が痛んで、豪風の隣で笑う皆がうらやましくて、豪風の肩に触れる右手が憎らしい。
この胸の痛みは何なんだ。
豪風はただの友達で。
豪風はただの仲間で。
豪風はただのチームメイトで。
本当にそれだけなのか・・・?
俺は、いつの間にか、豪風をそれ以上とみてたんだ。
仲間とかそんなんじゃなくて、一人の女の子として・・・。
(俺は豪風が好きなんだ。)
けどやっぱり、サッカーも仲間も大事なんだ。
豪風と天秤にかけるなんてできない。
気付かなければよかった。
そうしたら、今まで通りでいられたはずなんだ。
豪風のことを考えると、やっぱり胸が痛いんだ。
END