最強少女






「ねぇねぇ、今日でしょ?」



第三章 転校初日に





クラスの女子が何かを話している声。
別に聴き耳を立てていたわけではないが、自然と耳に入ってきたのだ。
転校生によくある質問攻めがないところを見ると、よっぽど大きな話題らしい。


「帝国学園との練習試合。」


零は全力で机を額にぶつけてしまった。
まさか転校初日にこんな一大イベントが用意されているとは・・・。
もし、二次元が人間であるならば、今すぐ殴り倒しているところだ。

しかも、そんな話題を聞いたのが、最後の授業である体育の着替えを始めようとしている時だった。


(もう、ホント、何なんだよ・・・。)


零は色々と諦めながら、体育の着替えを始めるのだった。



*   *   *



体育の授業が終わり、皆が帰るために片付けを始める。
今日は練習試合のため、長々と話す教師に試合を見たがっている連中がブーイングの嵐を浴びせる。
そのためか否か、途中で話を打ち切り、挨拶もなしで各自勝手に帰ることになった。

それは好都合とさっさとグラウンドに向かう。
着替えも鞄もそっちのけだ。

外に出た途端、雨雲のような重苦しい霧が辺りに立ち込めた。
急いで校門のところに向かう。
丁度、恐ろしくでかいトラックが校門の前に止まった。

トラックの一部が開き、レッドカーペットが敷かれ、ボールとともに現れた人間が列をなす。
まるで、勇者を見送るかのように周りに並び、帝国メンバーを見送る。


(なんつー学校だ・・・。)


心の中で呟く。心底呆れながら。
ここまでされたら正直引く。

ふと、ガコン、という音が聞こえてきた。
上を見上げる。
椅子ごと影山が現れた。
まるで、玉座に座り、愚民を見下ろす王のように。

零が影山を睨みつけた。
その殺気に気付いてか、影山が零を見た。
けれど彼女はひるまない。

影山は一瞬呆気にとられたものの、すぐにいつもの嫌な笑みを浮かべた。

零はそのまま、試合が始まるまで彼うを睨み見続けていた。





END




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