山姥切国広中心のネタプロット






完全自分用肉付け版プロット。
姐さん本丸の山姥切国広が人間に転生するネタ。
ちゃんねるネタ+小説。
ブラック関連。捏造過多。キャラ崩壊。
腐向け、愛され要素あり。
基本山姥切国広総受け。
顕現時の口上などを正確に表記していません。
流れとか台詞回しのテンポなどを優先しています。



☆転生国広
人間初心者国広くん
審神者名は「紫苑」
刀剣男士時代が長過ぎて、まだまだ人間初心者。
見た目は黒目黒髪の山姥切国広。
刀剣男士だった頃との違いに四苦八苦しながら12年を過ごしてきた。
生まれたのが2000年代だったため、姐さん達は存在するのかと、姐さんの住所を探してみたりもしたが、そこには姐さんの家はなく、姐さんたちの存在しない世界線に転生したのだと悟る。
姐さん達との思い出を胸に頑張ってきたけれど、
人間界で山姥切国広という人の人生を狂わせるレベルの顔面に生まれてしまったが為にブラック本丸時代の事を彷彿とさせる出来事が多発。
割としんどい思いをしてきた。
これで友人でも居れば違ったのかもしれないけれど、
いくらドチャクソお耽美な美少年でも、
変態ホイホイの子と仲良くさせたい親はいないよね……。
両親がはちゃめちゃに良い人だったので、圧倒的かつ絶対的な味方だった。
また、本人のメンタルがオリハルコンだった為にSAN値直葬は免れてきた。
けれど唯一の拠り所である両親を一気に失い、ついにメンタルフルボッコ状態に。
普段はしっかりしているが、メンタルがやられると肉体年齢に引っ張られて幼い言動を取るようになる。
今後、山姥切国広と似ているとよく言われるようになるが、今の自分を見て欲しいと思っている。
また、両親への愛情や感謝がある為、両親と似ていると言われたい。
そのため、山姥切国広と似ていると言われるのはあまり嬉しくない。


「本霊! なぜ俺は人間になってしまったんだ!? 俺は姐さんの黄泉路の共に失敗してしまったのか!?」
「逆だ。黄泉路の共に成功したからこそ、今のお前がある」
「……つまり、」
「輪廻転生の輪に乗ってしまったんだ、お前は」
「嘘だろう?」
「本当だ。現実を受け入れろ。まったく、あの審神者の刀は規格外しかいないのか」
「姐さんが規格外だったからな……」
「……そうだな」




山鳥毛
紫苑ガチ勢。今のところ親心に近い感情を抱いている。
けれど、嫉妬や独占欲などの感情も芽生えてしまっているので、すでに手遅れ。
紫苑の存在を得難いものとして捉え、紫苑が害される事を何より嫌っている。
今の紫苑の持ち刀の中で、紫苑への想いが一番ピュア()かもしれない。

南泉。
紫苑ガチ勢。紫苑のことは色んな意味で食べちゃいたいくらい好き。
一応、一文字の長への敬意として、紫苑に関する事なら言う事を聞く。
けれど通常個体の持つ山鳥毛への畏怖の念のようなものは無い。
なので山鳥毛にも容赦がない。

小竜
紫苑ガチ勢。紫苑のことは全部独り占めにしたいくらいに好き。
紫苑には自分一振りで良いと心の底から思っている。
全員邪魔で仕方ないが、紫苑に嫌われるのは絶対に嫌なので我慢している。
そのうち紫苑を神隠しする気満々。

大般若
紫苑ガチ勢。一番大人しく見えるがこいつも大概やばい奴。
紫苑が一番に手を伸ばすのが自分でないと許せない。
紫苑が無意識に一番頼りにしている山鳥毛が憎くて邪魔で仕方がない。
まずは山鳥毛を消そうと目論んでいる。





12歳になった直後、一家で事故に巻き込まれて、両親が事故で死亡。
親戚が居なかったので施設に行く事になるが、治療中に受けた検査で審神者の力があることが判明。
施設に入る予定だったが、政府に引き取られる。
しかし、どうやら様子がおかしい。
審神者は養成所に入り、座学を学び、それから実際に本丸を運営している審神者のもとで経験を積み、審神者になる。
初期刀を渡されるのも見習い研修が終わってからのはず。
なのにマニュアルを読み込んだだけで研修は終了。
審神者名を決める。
審神者名「紫苑」
その場で初期刀を渡されることに。
(初期刀あり、という所はまだ良心的だな。しかし、この後配属される本丸によっては評価を改めねばな……)
(よく分かっている自分にしておくか)
と山姥切国広を選択。
しかし初期刀が顕現出来ない。他の刀で試しても無理。
(おっと……。これは拙い展開では?)
案の定役人達が話し込んでおり、別の場所に連れて行かれる。
どう見ても保管庫ではなく、牢屋のような場所。
そして一振りの刀の前に立たされる。
山鳥毛。
札が貼られていて、強制的に眠らせている。
「これが君の初期刀だ」
(山鳥毛でも堕ちる事があるのか……)
「封を解けば顕現される。顕現は本丸に―――……おいっ!」
役人の静止を聞かずに封を解く。
山鳥毛が姿を現すと役人達が逃げ出す。
暗く沈んだ赤色の瞳。
温かみのある色のはずなのに、その眼差しは冷たささえ感じるほどに鋭い。
(あんなに、綺麗な色だったのに……)
明るい紅色だったはずの瞳は、今や見る影もない。
あの燃えるような赤は、もう見られないのだろうか。
(いいや、そんなことはない。この山鳥毛もかつての俺たちと同じだ)
(誰かを恨みたい訳じゃない。誰かに助けて欲しかっただけなんだ)
山鳥毛に手を伸ばす。
「俺は紫苑。あんたを初期刀にするよう言われた審神者だ。俺が不満なら断ってくれても構わないが、俺はあんたの主になりたい」
山鳥毛が冷たく俺を見下ろす。
「―――……恐ろしくは、ないのか」
「俺はあんたの事を何も知らないから、恐れようがない」
「封じられているような刀だぞ」
「そうだな。でも、その理由すら分からない」
「その理由が、人を殺すかもしれない、というものだとしても?」
「刀は人を殺す為の道具だろう。戦うためのものだろう。そんな理由で、こんな所に閉じ込めておく方がおかしいんだ」
刀は戦う為の道具だ。刀剣男士は歴史を守るために降ろされたものだ。
俺の始まりはそんな理由で降ろされた訳では無かったけれど、それでも確かに、俺たちは人の為に存在する。
この山鳥毛も、そんな当たり前を忘れてしまった刀の一振りなのだろう。
「そんな事より、あんたの名前が知りたい。あんたは一体何者だ?」
「―――私は、」
「私は上杉家御手選三十五腰のひとつ、無銘一文字。号して山鳥毛だ」
「そうか。よろしくな、山鳥毛」
主従の契約は結べていない。どうやら顕現し続ける為に仮契約のみを結んだらしい。
今はそれで十分だろう。
「取り敢えず、ここは暗くて寒いから。明るくてあたたかい場所に行こう」
そう言って手を繋ぐと、山鳥毛は振り払ったりせず、されるがまま。
それは俺が子供だからだろうか。それとも、人だからだろうか。
出来れば後者であって欲しいなと思いつつ、俺は来た道を戻っていく。
山鳥毛への対応は間違っていなかった。
けれど、その対応を政府内で行ってしまうという愚行を犯していることに、このときの俺は全く気付いていないのだった。
(だって仕方ないじゃないか! 封じられている同胞を見ていられなかったのだから!)





山鳥毛を手にし、少し待つよう言われて待っている
シュミレーターがある部屋で、チュートリアル代わりの出陣をしているよう言われて出陣をする
「出陣してくれるか?」
「……構わんが」
子供に戦場を見せるのか、とか色々考えて、いい顔をしていない
「遊びではないことはわかっているか?」
「勿論だ。俺はきちんと、あんたの命を預かっている」
「…………」

戦闘が終わり、シュミレーターから出てくる
「さて、どうだった?」
「……すごかった」
「あんたはやっぱり、すごく綺麗な刀だな」
「揺らめく炎の刃紋が日の光に当たって輝くと、つい目で追ってしまいそうになる。見目だけでなく、斬れ味も素晴らしいというのも流石だ。なんの力も入れていないのに刃が通って、真っ二つになる様は見ていて気持ちがいい」
「もういい。少し黙っていろ」
「ああ、すまない。刃紋が美しいのも、冴え渡る斬れ味も、全て事実の再確認でしかないものな。俺に語彙があったら耳障りの良い言葉も紡げたんだろうが……。生憎と語彙の引き出しが少なくてな。今度、辞書でも引いてみるかな……」
「……まさか、素か?」
「うん?」
首を傾げながら、山鳥毛を見上げる。彼は唖然とした表情でこちらを見下ろしていた。








急遽、着任する本丸が変更になる
ブラック本丸に着任する事になりそうだな、と冷静に考えている
「……どうした」
「ん? ああ、いや。嫌な予感がするな、と」
「……仮にその予感が当たっていたとして、私以上の危険はそうそうないと思うが?」
「知らないのか? 人の悪意に限りは無いんだぞ」
山鳥毛が眉間に眉を寄せて怪訝な顔をする
するとそこに役人が来て、本丸へ行くよう促される
その先はブラック本丸
山鳥毛が鯉口を切った瞬間、カシャン、と刀の落ちる音がする
行ってみると顕現の解けた刀が落ちている
(あれは……小竜景光……)
と刀を拾う
(成る程、俺がこいつをどうにかするのを期待していたのか。だが、俺が来る前に顕現が解けてしまった、といったところか。……って)
「詰んだ」
「……どうした」
「俺は顕現が出来ない」
「……成る程。それで体よく厄介な案件を押し付けられた訳か」
「顕現が解けてしまったら俺にはどうしようもないぞ……」
手入れくらいしか出来ないなーと離れへ。
その途中、執務室も見つけないと、と襖を開けると一面刀剣男士の隠し撮り写真やらエロ、グロ写真で埋め尽くされた部屋を見つけてしまう。
カチン、と固まっていると山鳥毛がスパン!と襖を閉めてくれる。
「……控えめに言って狂気の沙汰だったな」
「……今見たものは忘れろ」
「……努力する」
次の部屋からは山鳥毛が中を確認してから。
すると執務室を見つける前に折れた刀が落ちていたり、小竜と同じく顕現の解けた刀が見つかる。
南泉、大般若。見つかったのは三振り。
折れた刀を回収しつつ、本丸を探索。
途中手に傷が出来て、山鳥毛がハンカチを巻いてくれる。
「ありがとう」
「……あとできちんとした治療を受けろ」
「分かった」
あと呪札と注連縄でぐるぐる巻きにされたこんのすけ。
こんのすけを助けると意識はあるものの、少し弱っていて、機能に制限も掛けられており、外部との連絡が取れない。
するとこんのすけが掲示板に助けを求めるよう助言。
その手があった!とスレ立て。


ここからちゃんねる↓

そしてこんのすけを見つけたんだ
見つけたこんのすけは札がべたべたと貼られていて、注連縄でぐるぐる巻きにされていた
それを全部引っぺがすとこんのすけは目を覚ましたんだが、後遺症?のようなものがあって、本丸から出られなかったんだ
だから政府に連絡が取れなくてな
それでスレ立てを提案されて、今に至る
という訳で、ゲートは動く様なので、誰か小竜たちを顕現してくれる審神者はいないか?
あと、出来れば食べ物を少し分けて欲しい
あと治療道具も貸して欲しい

こ、こんのすけえええええ!
えっ!?そっち!!?
現状を助けて欲しいとかじゃないんだ!?
食べ物ならいくらでもあげるよぉ!!!
っていうか、ゲート動くの?変なとこに飛んだりしない?
てか治療道具?怪我してるの!?

ちょっと手を切ってしまってな
改善の協力はして欲しいが、そこまで差し迫っていない
食べ物だけが死活問題だ
ゲートについては行き先をきちんと設定すれば大丈夫のようだ
ただ、正確に設定しても、政府や万屋には行けないようになっている
だから、本丸から出られなくて困っていたんだ

っていうか、ブラックの刀剣男士だよ!?人間を襲うかもしれないんだよ!?
お腹減ってるの!?食べ物の事ばっかじゃん!!!
外に行けないよう設定してあるとか作為と悪意を感じますね……
ID無かったら他の本丸行けないもんな……

朝から何も食べてないんだ
そうかもな
でも、だからと言って放って置きたくない
それに顕現しないと、彼らがどうしたいのかも分からないじゃないか
人を殺したいのかもしれない
人を愛したいのかもしれない
そんなの、言葉も交わしていないのに、分かるわけがない
だから、まずは話がしたいんだ
もしかしたら、仲間になってくれるかもしれないだろ?
ほんの一欠片でも希望があるのなら、俺はそれを諦めたくない

壱……
こ、この大馬鹿者〜!(泣)
協力するしかないじゃないか〜!

というかそもそもだな
顕現出来ないのだから、政府が寄越す刀剣男士を仲間にするしかないだろう
審神者間の刀剣男士の譲渡は禁止されているんだから


あー……
彼らを仲間にしないと、次に政府が刀剣男士を寄越すまで、山鳥毛だけで切り抜けるしかなくなるのか……
その山鳥毛も出陣してくれるか分からないし……
そして政府の寄越した刀剣男士が仲間になってくれるかも分からない、と
割と詰んでるな、おい
っていうか朝から食べてないんか
そら、お腹空いても仕方ないわな
俺は壱に協力したい
取り敢えず、刀剣たちと相談してくる
俺もしてくる
取り敢えず食べ物だけでも渡したいかな
お米とか保存のきくものがいいかな?
お塩とかも欲しいんじゃない?
俺たちちょっと相談してるから、壱はしばらく休んでな

ありがとう
しばらくしたらまた来る



えー相談の結果、>>が小竜たちを顕現させる事となりました
食べ物についてはもうちょっと待ってな
今相談中だから

僭越ながら、私が小竜くん達を顕現させて頂きます!
という訳で、一旦こっちの本丸に来てくれないかな?
他の本丸に行くのを刀剣たちが許してくれなくてさ
何かあった時にも対処しやすいし
このアドレスに連絡してくれるかな?
あ、今回しか使えないアドレスだから、心配しないでね!
つ【アドレス】

いいのか?
ありがとう
すぐ連絡する



ごめんなさい、失敗しました

えっ!?どういう事!?
失敗って何?顕現出来なかったってこと?

それもあるけど、それだけじゃないの
山鳥毛さん、ただのブラック男士じゃなかった
完全に堕ちちゃってる、堕落刀剣だったの

はぁ!?
待て待て待て! そんな刀剣男士を子供に渡すか普通!!!
しかもマニュアル知識のひよっこちゃんだぞ!?
政府は壱を殺す気か!?
で、それが分かってどうなったんだ?

うん
先に本丸のゲートを潜ったのは壱くんで、本当に小柄な子供でびっくりしたんだ
こんな小さな子がブラック本丸に、って
でも、山鳥毛さんを一目見て、そんな考えが一瞬で吹き飛んだ
ブラックの刀剣男士とか、そんなに詳しくないんだけど、長く審神者をやってると、いやでも関わらないといけない時が出てくるでしょ?
だからブラックの刀剣男士については少し知ってるんだ
だからこそ分かった
壱くんの山鳥毛さんがただのブラック男士じゃないって
だって目の色が違ってた
燃える炎の赤じゃない
色んな赤が混ざって濁ったような、そんな色をしてたんだ
あんなに暗く沈んだ赤い目をした山鳥毛さんなんて、見たくなかったよ……

それで私、「これは駄目だ」って、見切りを付けちゃったんだよね
この刀はもう戻れないって
刀剣男士たちもそう思ったみたいで、何振りかが抜刀した
そうしたらね、山鳥毛さんが応戦の構えを取る前に、壱くんが言ったんだ
「帰ろう、山鳥毛」
って
「これ以上ここに居ても、あんたが傷付くだけだ。あんたをこんな風に恐れるのなら、他の刀も同じように扱われるだけだろう。そんなの、俺は望んでいない」
「……あれが正しい反応だ。お前が無知なだけだ」
「俺は確かに無知だろうが、あんたが優しい刀だと言うことは知っている」
「……お前の愚かさに呆れているだけだ」
「それならそれで良い。けれど事実として、あんたの手が俺を傷付けた事は一度もない。俺にはそれで十分だ」
「……それは、」
「問答は帰ってからだ。あんたは多分傷付き過ぎて、傷の上から傷を付けられているような状態なんだろう。元から痛いから、気付いていないんだ。でも、あんたは確実に傷付いている。だから、帰ろう」
「何を根拠にそんな事が、」
「だってあんた、酷く哀しそうだ」
壱くんがそう言うと、山鳥毛さんは酷く驚いた顔をしていたよ

そして壱くんは山鳥毛さんの手をきゅっと握って、
「助けようとしてくれてありがとう」
って、そう言って帰って行った

それを見送っちゃったのか……
でも追いかけらんねぇよ……
分かる……
山鳥毛が堕ちたのも、人間たちのせいだろう
それをこっちが勝手に恐れてんだ
勝手な奴等め! 酷い目に合わせたのはそっちなのに! って思ってもおかしくはないよな
壱はそれを読み取っちゃったのかな……
かもな
子供って感受性が高いし、意外とそういうのに聡いし
でも堕ちた刀剣男士が危険なのも事実だ
>>の対処も間違ってはいない
被害者が加害者になるなんてよくある事だしな

えっと、すまない
助けようとしてくれたのに

お、壱!
壱が謝ることじゃねぇよ……

ううん、こちらこそごめんなさい
貴方達は悪くない
助けるって言ったのに、裏切ったのはこっちだもの

俺より山鳥毛に謝って欲しい
傷付いたのは彼だから

うん、そうね
山鳥毛さんに酷い対応をしてごめんなさいって伝えてくれるかな?

ああ、分かった

壱は怖くないのか?
堕落刀剣って言うのは、普通のブラック男士とは違うんだぞ?
何て説明すれば良いのか分からないけれど
とにかく、人を見限ってしまっていて、とても人間に協力してくれるような状態じゃない刀剣男士のことを指す
それはブラック男士にも言える事だけど、堕落刀剣って言うのは、その見込みがゼロに近い
見分け方は瞳の色
どんな刀剣男士も、堕ちてしまったら暗く沈んだような赤色に変わるんだ
内面も変状していて、真っ当な感性を持っていない事が多い
もう手遅れの奴を堕落刀剣って呼んでいる
その山鳥毛はまさにそれで、だからこそ>>の刀剣男士たちが抜刀したんだ
正直言って、その山鳥毛は手放した方が良い
いつ、何をするか分からない
はっきり言って、いつ殺されてもおかしくないんだぞ?

特に怖いと思った事はないな
そして、俺は彼を手放す気はない
手放すにしても、山鳥毛を含めた小竜たちを助けてくれる人が見つかってからだ

あのな、壱
壱は審神者初心者だ
だからブラック男士の怖さを知らない
特に堕落刀剣なんてのは手に負えるもんじゃないんだぞ

なら、あんたは山鳥毛の何を知っている
彼と手を繋ぐ時、彼は俺の手を強く握らないように、包むようにしてくれる
俺がおはようって言ったらおはようって返してくれる
俺が怪我をした時も、手当てをしてくれた
>>の本丸で抜刀された時も、彼は自分の身を守るより、俺を後ろに庇う事を優先してくれた
それでもあんたは、彼が誰かを害するような刀だと言いたいのか
彼は誰かを傷付けたい訳じゃない
誰かを憎み、恨みたい訳じゃない
彼はただ、誰かに助けて欲しかっただけなんだ
こちらがその意思を汲み取ってやれなかっただけだ
だから彼は深く傷付いて、痛みに鈍くなってしまっている
そんな彼を見捨てるなんて出来ない

壱……

すまない
俺の事を想って言ってくれているというのは分かるんだ
たくさん話し合ってくれて、助けようとしてくれて、本当に感謝してる
けど、今回は多分、時期が違ったんだろう
しばらくは顕現を見送ることにする
食事もこちらでどうにかする
相談に乗ってくれてありがとう

えっ!? 壱!?
え、まって、行っちゃうの!?
待って、待って!!!
壱くん!?
え、嘘、落ちた……?
どうすんの、壱はああ言ってるけど、本当に大丈夫なのか?

あの、よろしいですか?

ん?
壱のIDじゃん
もしかして、こんのすけ、か?

はい、壱様に助けて頂いたこんのすけです
私めは体力回復に努めるよう言われていたので、今まで眠っていて、現状が把握出来ておりません
壱様が泣いておられるのですが、一体何があったのですか?

えっ!?
壱、泣いてるんか
というかそもそも、今の今まで泣いてないのがおかしい境遇なんだが???
今、そっちはどうなってるの?

ええと、部屋の隅で膝を抱えて蹲っております
山鳥毛様に何を泣いているのかと問われております
「俺は人間だから、よく知っているんだ。人の悪意がどこまでも広がり続けるように、人の善性が果てしない事を。どうしようもない程の、底無しの優しさを持つ人がいる事を」
「あの人も、良い人だった。けれどごく普通の、ありふれた善性の持ち主で。かつて俺を救ってくれたような、どうしようもなく愚かな人ではなかったんだ」
「そもそも小竜達がどうなりたいのか知るのには顕現してくれる人が必要で。小竜達を顕現してくれる人を探すのにも力を借りなければならなくて。そして、力を貸してくれる人を見つけるまでに、今日みたいに、俺はあんた達を傷付ける」
「……何も出来ない自分が悔しい」
「あんた達を恐れず、受け入れてくれる人は必ずいるのに。会わせたいと思うのに。けれど、そんなことすら俺一人の力では叶わない。またあんた達を傷付ける。その事実がどうしようもなく悔しくて、苦しい……」

壱……
この子自身も訳ありなのかな……
多分な
でないと、出てこないだろう言葉が見受けられる気がする
何というか、理解がある?
そうそう、そんな感じ

「……何も、出来ないという事は、ないだろう」
「さんちょうもう……?」
「お前が、そうだろう」
「え?」
「お前が、私を恐れず、受け入れてくれているだろう」
「だって、あんた、こわがるところが、ひとつもない」
「それを、迷いなく言えるのは、きっとお前だけだろう」
「俺は、あんたの為に、なにかできている……?」
「ああ。……きっと、そこの刀達の為にも、なっているだろうさ」
「そうか……。あんたのためになったんならいいんだ」
そう言って、壱様はふわりと微笑みました

待って
待って
壱がいい子過ぎて泣く
ちょもさんがめっちゃ不器用
でも壱の為に頑張ってる感じがしてヤバい
壱が救いになってるんだな
抱きしめてあげたい
もう駄目
私行く
壱くん迎えに行く
は!?
おま、さっきおもっくそ壱をズタボロにしたやんけ!!!
そうだけど!!!
泣いてる子供や傷付いた刀剣たちを放っておけるか!!!
というか、画面越しでの謝罪とか、謝罪じゃないでしょ!!!!!
顔見て謝んないと気が済みません!!!!!
男士達が止めても行く
何が何でもうちにお泊りさせるから

マジですか
マジで来ましたよ、この審神者

はっや
ターボエンジンでも付いてんのかよ、この審神者

ごめん、ホントごめん
主がごめん
いや、俺たちも悪いんだけど
本当にごめんなさい

お? >>の刀剣男士か?

うん、加州清光
主に代わって実況するね
こんのすけは休んでて

……ありがとうございます
最後にこちらの様子を投下してから、休ませていただきます

「壱くん居ますかぁ!!!」

「ひぇ」
「……先程の審神者か」
「なんで?おれなんかしたか……?たすけてくれようとしたのに、かえったから、おこったのか……?」

「いえ、壱様。どうやら彼女はどうしても貴方様を放って置けなかったようです」
「さんちょうもうたちのことは……?」
「勿論、彼らの事も」
「……話してみる。山鳥毛はここに居てくれ」
「駄目だ。私も行く」
「私めも一緒に」
「しかし……」
「お前が行くなら、共に行く」
「……分かった」

お? 山鳥毛の様子が……?

さっきの今だから、怖がらせちゃったかな
ホントにごめん

「先程は大変申し訳ありませんでしたぁ!!!!!!!」
「えっ」
「極めて個人的かつ差別的、偏見的な目線で勝手に山鳥毛さんが危険な刀であると決めつけてしまった事、深くお詫び申し上げます!!!!!」
「あの、」
「許してくれなんて言いません! ただ、穢れの残る本丸に同胞を残していく事がどうしても気掛かりで。だからどうか、我らの本丸に保護させてください!!!!!」

「……と、言っているが」
「……何故私に聞く」
「あんたの事だからだ。謝罪は必ず受け止めなければならないものではない。許したくないなら、許さなくて良い。あんたが許さないというのなら、すぐにでも彼女には帰って貰う」
「……許すと言ったら?」
「俺も彼女を許す」
「では、許そう。話し合いを続けてくれ」
「えっ」
「煩わしいのは嫌いでな」
「……あんたが、許すなら、」
めちゃくちゃ不満そ〜
まぁ、そりゃそうなのかも?
こっちとしては話し合いの場が欲しかったから、山鳥毛には感謝しかないんだけど

多分山鳥毛は自分の気持ちより壱のことを優先したんだろうな
うん、ここでようやく出来た繋がりを切るのは良くないって思ったんだろう
山鳥毛は堕ちても山鳥毛なんだなぁ……

「……許す」
「ありがとうございます!!!!!」
「……それで、さっきの申し出だが、有難いが、俺はここに残る」
「どうして!?」
思わず叫んだ俺は悪くないよね???

山鳥毛も怪訝な顔をしてる
「まだやらなければならない事があるし、山鳥毛が落ち着かないんじゃないかと」
「でも、穢れは身体に毒だよ!?」
「そうかもしれないが、審神者が居れば自動的に浄化されるんだろう?専門の審神者では無いから、時間はかかるだろうが。ああ、でも、山鳥毛にも小竜達にも良くないよな。いや、しかし……」
「あれ、待って!? この手の傷どうしたの!?」
「えっと、破片を拾い集めている時に、誤って手を切ってしまって……」
「破片? 破片って、まさか……」
「折れた刀の破片だ。小竜達の仲間だから、拾ってやらないと」
「やらなきゃならないことって……」
「ああ。まだ、玄関の近くの部屋しか拾えていないから、きっと他にもあると思うんだ。全部集めてやらないと」
「それ私たちも手伝うからぁ! っていうか手伝わせてください!!!」
「いいのか……?」
「勿論です!!!だからせめて、今日だけでもうちの本丸にお泊りしてください!!! あったかいご飯もたっくさん用意しますからぁ!!!!!」
「さんちょうもう……」
「是非一緒に来てください!!!!!」
「……もう、彼を傷付けない?」
「約束します!!! 何なら刀剣男士より高位の神に誓います!!!!!」
「こんのすけ……」
「仲間外れにはしません!!!」
「……こりゅう、」
「ちゃんと顕現させます!!!!!」
「なんせんも?」
「勿論ですとも!!!!!」
「だいはんにゃ」
「一振りだけ駄目なんて言いません!!!」
「おれたやつらも……?」
「彼らも仲間です!!!!!」
「…………さきに、はへんあつめたい」
「みんなでお泊りしましょうねぇ!!!!!!」
「…………おとまりする」
「よっしゃあっ!!!!!!!」

よっしゃあ!!!
お泊りけってーい!!!
良かったあああああ
ブラック本丸に子供放置は流石に心が痛かったんだ……
本当に良かった……

「……あ、さんちょうもう。すまん、かってにきめてしまった」
「構わない。ここの空気はお前には毒だ。それに……」
「それに?」
「私はお前……、いや、君の刀だ。一介の刀剣男士とは言い難いから迷惑をかけることになると思うが、それでも良ければ、だが」
「俺で、いいのか……?」
「ああ、私は君が良い」
「俺も、あんたが良い。あんたが俺の刀になってくれたら、凄く、凄く嬉しい」
「そうか……。では、よろしく頼む。私の小鳥よ」
「ああ、こちらこそ、よろしく頼む!」

おおおおおおお!
おめでとー!!!
まさかの堕落刀剣に認められるとは……

「ひぃん、笑顔が可愛いよぉ……」
「主……」
「わかるけどさぁ……」
「山鳥毛が凄ぇ目で見てるから。"まずはこいつからだな"って目ぇしてるから」
「主マジで自重して???」
「ごめんなさい。でも、あの顔は反則でしょ。だって山姥切国広顔だよ??? それがちまっこくなって満面の笑み浮かべてるんだよ??? 絵画のごとき美しさじゃん……」
「確かに美少年だけどね? その子の持ち刀をよぉく見て? "お泊り会終わったら殺そう"って顔に書いてあるから」
「でも確かに気になるな。もしかして刀剣男士とのハーフかい? 神気の類は感じられないけれど……」
「……俺の親は人間だし、俺は母親似だ」
「え……。拗ねた顔も可愛いとかもう犯罪じゃん……」
「主もう黙ろっか???」
「山鳥毛が刀に手を掛けてるから」
「はい、黙ります。ごめんなさい」
「ごめんね。あまりにも似てたから、つい……」
「……オムライス」
「うん?」
「燭台切光忠は料理が得意だと聞いている。泊まりってことは、ご飯食べさせてくれるんだろ?」
「はい! 一緒に食べましょうねぇ!!!!!」
「さっき黙るって言ったじゃん……」
「ほんの数十秒前の発言だよ???」
「刺青真っ赤だよ、どうすんの……」
「主がうるさくてごめんね? オムライスが好きなのかな?」
「うん。だから、美味しかったら、許す」
「飛びっきり美味しいの作るから楽しみにしててねぇ!」
「「「お前も同類かい!!!」」」
「凄え……。どんどん陥落させていってやがる……」

「小鳥よ。私から離れないように」
「うん? 分かった?」

「あっ、ついに接近禁止喰らった」

そしてこの>>はよぉ……
てか、山姥切国広顔???
マ???
え、人間だよね???
神気感じられないなら人間だろ???
あのご尊顔の少年姿??? やば過ぎない???
いやいやいや、流石にあり得ないでしょwww

と思うじゃん?
俺たちの目から見てもガチの美少年だから
黒目黒髪のちんまい山姥切国広にしか見えないから

マジで……?
加州の目から見ても美少年なの……?

本丸でも大混乱ですよー
大分落ち着いて来た頃に、最初に壱の顔を思い出した山姥切さんが「あの子の顔、偽物君そっくりじゃなかったか?」って言い出して
しかも結構小さいし
毛利よりは流石に大きかったけど

サラッと現れるな
てか、最初に気づいたのがちょぎさんって流石やな
みんなから見て、壱は美少年?

そりゃもうとびっきりの美少年ですよ!
三日月さんが「あなや……」と驚きの声を上げ、
歌仙さんが「めっちゃ雅な顔してた……」と評価し、
大般若さんも「とんでもない別嬪さんだったなぁ」と感嘆しきりです!
毛利の興奮も最高潮で、落ち着けるのが大変でした

ガチの奴らが認めるレベルのお顔ってこと……?
てかちっこい国広が現世に存在してたの……?
そんなの人生狂わされちゃうよ……
それ
ショタコンでなくてもショタコンになりそう
眩しさで目が潰れそう……
周りが霞んで見えるだろうなぁ
画素数からして違いそう
世界観も違うだろ
毛利が自分より大きい相手なのに興奮するレベルの可愛さってこと???
てか、毛利より大きい程度って、かなり幼いんじゃ……?

ちょ、聞いてみる

「そう言えば、壱っていくつ? しっかりしてるよね」
「12になったとこだ」
「えっ」
「12になったとこ???」
「……つかぬことをお聞きしますが、もしかして通学鞄はランドセルでいらっしゃいました???」
「そうだが?」
「…………おもくそショタやんけ!!!!!」

あっかん!!!
12歳!!!??
小学生じゃん……

兄属性の刀達が軒並みブチ切れてる……
いや、俺も切れそうだけど
収集付かないんで、出来るだけ早く帰ってきてください!

壱を連れて帰るまでに何とか宥めといて!
壱を怖がせたら本末転倒だから!!!
あと、壱が泊まる用の部屋の用意も!

「……小鳥、君が審神者になった経緯は、聞いても問題ないものか?」
「……楽しい話じゃないぞ?」
「辛いなら、無理に話さなくて良い」
「……今年の春に、事故に遭ったんだ。両親も一緒に巻き込まれて、両親は他界した」
「」
「親戚とか居なくて、施設に入る事になったんだが、治療中に行った検査で審神者の力がある事が判明して、政府の役人に引き取られたんだ」
「」
「だから帰る場所はどこにも無くて、大事な人は、みんな死んでる」
「」
「……そうか。辛い事を聞いたな」
「薄情かもしれないが、思ったより大丈夫なんだ。こうして笑っていられるくらいに」
「いっぱい大事にしてもらったから。その思い出だけでも、生きていけるくらいに」
「……そうか」
「ああ」

壱……!
あかんて! 国広顔でそんな儚いこと言ったらあかんって!!!
涙が止まらね〜!!!

「それでな、あんたにも大事なものの一つになって欲しいんだ」
「私に……?」
「ああ。あんたを、俺の宝物にしたいんだ」
「―――」
「いや、だったか……?」
「……この気持ちは、言葉に出来るものではないな」
「私で良ければ、是非君の宝物に加えて欲しい」
「ありがとう、山鳥毛!」

「め、めちゃくちゃたらすやん……」
「ヤバイわ、あの子。ちょっとした傾国になれるわ」
「見た目の良さも相まってガチの奴じゃん……」
「てか主、息荒くなってるけど大丈夫!? 死にそうになってるけど!?!!?」
「むり……。かなしみととうとさとどきどきでしにそう……」
「主ー!?」

切国顔の美少年に「宝物になって」とか言われたらたまらんな
性癖から捻じ曲げられそう
てか>>……
いや、これは仕方ないだろ
絶世の美少年と最高のイケメンの主従とか性癖にぶっ刺さるんだけど
山鳥毛も極上のイケメンだから、間近でこんなやり取りされたら審神者死んじゃう
なんかいけないもの見てる気分になるやつだよね




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