政府刀剣と姐さん+おまけ






 俺―――――小竜景光は姐さんの目が好きだ。
 俺はブラック本丸出身の刀剣男士だ。俺は本霊に還ることを望んでいたけれど、時の政府が俺の希少さと練度の高さを加味し、本霊に還すことを惜しんだのだ。
 そして俺を術で縛って、姐さんの本丸に投げ入れられたのが、俺と姐さんとの奇跡の出会いである。

 自分達を傷付けるばかりの人間に嫌気が差して、裏切られることに疲れていて。姐さんに落ち度なんて無かったのに、相手が誰であろうと構わないと彼女に襲いかかって。
 けれど、俺の刃は届くことなく、あまりにもあっさりと彼女の刀剣達に制圧されてしまった。
 奇襲と変わらない事態であったのに、あまりにも慣れた対応だった。いっそ、こちらが戸惑ってしまうほどに。

 これは後に分かったことだが、彼女の本丸に投げ込まれた刀は俺が初めてではなかったらしい。すでに何度も繰り返された行為であったから、咄嗟に対処が出来たのだという。
 その話を聞いたときにはすでに政府に所属していた俺は、「政府いい加減にしろ」と頭を抱えてしまったのは仕方の無いことだろう。
 閑話休題。

 姐さんの刀剣達に抑え付けられた俺の前に膝をついた姐さんは、とても美しい霊力を纏っていた。堂々とした立ち振る舞いや、一つ一つの所作も美しかった。
 けれど、俺を一番惹き付けたのは、なんと言ってもその強い瞳だった。
 斬りかかられて、恐れてもいいはずなのに、臆することなく輝く瞳。負けてなるものかと挑むような鋭い眼光。その瞳は息を呑むほど力強く、鮮やかな光を湛えていた。呆然と、その目に見入ってしまうほどに、その目は俺を魅了した。

 姐さんの瞳には、何者にも代えがたい価値がある。特に、俺達のような恐れられるべき刀にとっては、その価値は計り知れないものがある。
 その瞳が損なわれる事が無いように、俺は今日も敵を狩る。




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