君ともう一度






「・・・トシ、」


凛とした、心地のいい声。俺の名前を呼んでる。
カーテンが開けられたんだろう、まぶたの裏まで光が差し込んでくる。


「・・・きろ、サトシ。起きろ!」


目を開くと、そこにはシンジがいた。
幼馴染になって早5年。寝坊しそうなときはシンジが起こしてくれる。
毎日、シンジが起こしてくれたら、寝坊なんてしないのに。
あ、でも、寝坊しなかったら起こしてくれないか。寝坊最高。幼馴染最高。


「今日はお前がポケモンをもらう日なんだろう?遅刻するぞ」


シンジは一昨日ナナカマド研究所で初めてのポケモンをもらった。そして、昨日カントーに戻ってきた。
昨日は夜更かしして旅の話をしていたから、シンジも眠いはずなのに、ちゃんと起きれるなんて、すごいなぁ・・・。


「ほら、早く起きないと朝飯が冷めるぞ」


っていうか、何かこれって・・・。


「新婚さん、みたいだなぁ・・・」


口に出して呟く。
結構小さな声だったのに、シンジには聞こえていたらしい。
驚いたように目を瞬かせていた。
シンジの頬に、徐々に朱がさしていき、あ、かわいいと思ったら、鳩尾に拳を食らった。


「寝言は寝て言え!」


そう怒鳴ってシンジは部屋を出て行った。
俺はと言えば、喰らった拳が思いのほか強くて、悶絶していた。
誰だっけ、シンジをツンデレって言ったやつ・・・。ヒカリだっけ・・・?
シンジの場合、ツンツンツンデレだろ。デレが希少すぎる。
まぁでも、


「可愛いから、いいや」





嗚呼、愛すべき未来の、




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