愛され若葉






注意
サイト未読者にはあまり優しくない捏造過多設定で展開されます。
とりあえずジュカインは擬人化したら女の子にしか見えないくらいの女顔だと思ってください。













フシギダネはうっそうと茂る森の中を歩いていた。
その森とはオーキド研究所の裏庭の一部である。
マサラタウンの三分の一はオーキド研究所と言われている大きな庭である。
フシギダネはその広大な庭を、持ち前のカリスマと仲間たちの力を借りて統率していた。
今は、この研究所に存在する池へと向かっている。
そこはいつものように草タイプと水タイプのポケモンたちが縄張り争いを起こしている、常日頃多くのトラブルを抱える研究所の中でもトップクラスを誇るトラブル競合区域だ。
そこに向かうときのフシギダネの足取りは重い。
しかし今日、彼の足取りがやたらとゆったりしているのには、別の理由があった。

研究所付近の上空。
ぴりぴりとした殺気を放つ何かが、すさまじいスピードでこちらに向かって飛んできているのだ。
その殺気に触発されてか、フシギダネの表情も険しくなっている。


「(――来る、)」


――バサリ

背中に大きな翼をはやした金色の髪の青年が、フシギダネの上空で滞空する。
その青年はフシギダネの姿を見止めると、目元を緩め、まとっていた殺気を解いた。


「よぉ、フシギダネ」
「――よぉ、ピジョット」


フシギダネもピジョットの姿を確認し、ゆるゆると殺気を収めていった。
ピジョットがゆっくりと地面に降り立つ。美しい羽根をたたみ、フシギダネに歩み寄った。


「今日はどうしたんだ?」
「遊びにきただけ―・・・って言えたらよかったんだがなぁ・・・」


フシギダネの言葉にピジョットが後頭部をかく。
あれだけの殺気を放って置いて何を、とフシギダネが呆れたように嘆息した。


「・・・何があった」


目を吊り上げて、フシギダネが声をひそめれば、ピジョットが眉を寄せ、難しい顔をした。


「最近、メスポケモンが行方不明になる事態が起きててな・・・」
「密猟か、」
「密猟っつー線も疑ったんだが、人間の気配はねぇし、メスポケモンだけを狙う理由がわからねぇ。別の森に嫁入りしましたっつーんならめでたい話なんだがな」


ピジョットは深い息を吐いた。
細められた目の奥で、静かな怒りが見て取れた。


「他に何か情報は?」
「いや、今のところねぇな」
「そうか・・・」
「何かあったらまた連絡する。俺は森の見回りをしなきゃなんねぇからそろそろ帰るわ」
「わざわざ悪いな」
「いいってことよ」


ピジョットがたたんだ翼を再度広げる。
風を仰ぎ、ばさりと飛びあがった。
2,3度羽ばたいただけで彼の姿は見えなくなる。
それを見送って、フシギダネはフシギダネの目的地に向かって又歩き出した。






















「「・・・・・」」
「「・・・なーんか、やな予感」」


長年のバトルで培われた観と、サトシとの旅で養われた経験が、2人の呟きをシンクロさせた。




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