黒バス×暗殺教室
「目標物接近。」
「あれ、モノなの?まぁいいや、目標物確認。」
「タイミングは?」
「俺に合わせて、10カウント。
10、9,8,7,6,5,4、
3,2,1、
強襲GO!」
*
「ヌルフフフ、甘いですねぇ、高尾君、降旗君。」
高尾と降旗は、彼らの目に前にいる黄色いタコ、もとい担任である殺せんせーの触手により捕獲されていた。
何故そんなことになったのかというと、彼らの通う椚ヶ丘中学3年E組の生徒らは、このどう見ても地球外生命体にしか思えない殺せんせーを暗殺する任を任されたからである。
そして2人も、その暗殺を実行するために強襲をしかけたのだ。
対せんせー用のBB弾を木の上の二方向からまきちらしながら飛び降りて、対せんせー用のナイフを用いて殺せんせーを刺殺しようとした。
しかし、マッハ20で移動することができる相手にはかなわず、あっという間に触手にからめとられてしまったのだ。
けれど、これほどの相手にも弱点はある。
意外にテンパるのが早い殺せんせーは、2人を触手でからめ取り、BB弾から逃れようとして盛大にこけたのだ。
BB弾を被ることはなかったが、高尾に爆笑され「明日、宿題を倍にしてやる」と呟いていた。
彼は器が小さい。
毎度おなじみの手入れができなかったこともこたえたのか、少し落ち込んでいたが、身動きの取れない2人に満足そうに笑っている。
「ちぇ~。テンパってBB弾被ってくれると思ったのにな~。」
「嫌ですよ、死んじゃいます。」
「でも、せんせーを殺すことが俺たちの最大の課題ですよ?」
こてん、と降旗が首をかしげる。
光ちゃんあざと可愛い!と叫ぶ声が聞こえた気がしたが、それはきっと空耳に違いない。
殺せんせーは愉快そうに笑い、触手で降旗の頭をなでた。
「そうですね。期限は来年の3月までですよ?できそうですか?」
「う~ん・・・。1人じゃできそうにないけど、みんなでならできそうな気がするので、がんばります。」
「いい返事です。頑張ってくださいね。」
そう言いつつも、彼の顔には緑の縞模様が浮かんでいる。
なめられている証拠だ。
降旗はにこりと笑った。
(-合図だ。)
「っっっ!!?」
ひそかに隠し持っていたBB弾がじゅわ、と触手を溶かした。
殺せんせーが驚きに身を固めた瞬間、2人はまだ溶けきっていない触手から抜け出し、対せんせー用ナイフで彼を刺殺にかかった。
「にゅやっ!?ちょ、待っ!!」
「待ったなーし!」
「せんせー、殺しに待ったなんてあるの?」
2人は息の合った連携を披露しつつ、確実に殺せんせーを追い詰めていく。
テンパった彼は、人間並みん実力しか出せない。
「にゅ・・・にゅやーーー!!!」
テンパった末、彼は思い切り飛んだ。
数秒で再生した触手で木によじ登り、校舎の上へと飛び移る。
木の上ならまだしも、とっかかりのほとんどない校舎を登るのは至難の業だ。
殺せんせーは2人を見降ろし、言った。
「明日の課題は3倍です・・・!」
「せこっ!」
「せんせー小さい!」
今日も暗殺できなかったと落胆し、楽しかったと笑い、惜しかったと又笑う。
それがエンドのE組と呼ばれる暗殺教室の異常にして平和な日常なのである。