知らなかったこととはいえ、






小ネタ(嫌われブレイク)
降旗と仲間が腹黒いというかちょっとゲスいです。
クロスオーバーネタなのにクロスオーバー要素はほとんど出てこない。
モブ子ちゃんごめんね?




キセキの世代を有する7つの学校で行われた合同合宿。
**校のマネージャーに手紙を使って呼び出された降旗は、スタメンが使っているロッカールームにいた。
いるのは降旗とマネージャー。
そしてロッカールームは泥棒でも入ったのかというほどに散らかっており、マネージャーの服もその部屋と同じくらいにひどい有様だった。


「きゃああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」


上がる悲鳴。駆けつけてくる足音。
二人きりの密室。
男と女。
荒らされた部屋。
しかも、女は泣き崩れ、びりびりに破れた服を着ていた。

ああ、なるほど、と降旗は納得した。
この女は自分をはめようとしているのか。
マネージャーの話を聞き流していた降旗は、ふむ、とうなずいた。

ここは施設の最奥。廊下を出てもその先に続いているのは外へ出るための扉。
しかしそこのカギは管理人室にあるため、開けることは不可能だ。
声を聞きつけた男たちが駆けつけてこれるのは一方方向。
この場から逃げるためには、男たちを越えなければならない。
逃げ場なんて、ない。

まずい。非常にまずい。
それが普通の男子高校生ならば。


「(正体を知らないとはいえ、俺をはめようとするなんて、ね)」


ああ、かわいそうな女。
降旗は美しく笑った。





























「+++!!!」
「どうした!?」
「大丈夫か!!?」


駆けつけた男たちは眼を見開いた。
ロッカールームは悲惨な状況。
その中心で、女が泣いている。


「何があった!!!」
「ふっ・・・ふり、ふりはた、くんがぁ・・・っ!ろ、ろっかぁを、荒らしてて、とめよぉとしたらぁ・・・っ!!」


泣き崩れながらも、何とか言葉を紡ぐ少女。
男たちは更に目を丸くした。


「フリ?」
「フリがこれを・・・?」


何ともいい難い表情をした男たちに、少女が眉を寄せる。
この状況で怪しい奴なんて、一人しかいないだろうに、何を言っているのか。
密室で男女が二人きり。
しかも女は泣いていて、部屋や服は悲惨な状況。
こんな状態でいるのに、なぜそんな顔をしているのか。
降旗を振り返ろうとして、少女は気付いた。



降旗が、いない。



なんで、どうして?さっきまでここにいたのに!!!


「おい、誰か降旗見た奴いるか?」
「いや、そもそも誰ともすれ違ってねぇだろ」
「そっちの扉から逃げた可能性は?」
「鍵かかってるぞ」
「じゃあ、窓」
「こっちも鍵かかってるぞ・・・」


少女に、不審な目を向けるものが現れる。
違う違う違う!!!
少女は涙を流し、うずくまった。


「とりあえず、そんな恰好じゃかわいそうだ。何かかけるもの・・・」


「どうかしたんですか?」


「え?」


渦中で名前が挙がる降旗の声に、全員が一斉に振り返る。
降旗は、高尾や桜井とともに、クーラーボックスを抱えていた。
その後ろには相田や桃井がいる。


「わぁっ!?な、何これ!!?」
「ちょ、+++さん、大丈夫!!?」


あとから駆けつけてきた少年少女らが目を見開き、驚きの声を上げる。
そんな彼らに、先に駆けつけた男たちは何とも言えない表情をしていた。


「何があったの?」
「わ、わたし・・・っ!」


「ごめん、ごめんね、+++さん!!」


「え?」


クーラーボックスを放り出して、降旗が少女の前にひざまずいた。


「俺、俺がもっと早く来てあげれば、こんなことにはならなかったのに・・・!」


今にも泣きそうな顔で言った降旗の言葉に、男たちは顔を見合わせた。


「降旗、どういう意味だ?」
「あ、はい。俺、+++さんが用事があるからここに来てくれって頼まれてたんです。でも俺、高尾たちと一緒にカントクたちの手伝いしてて、ここに来るの忘れてたんです。だから、俺が忘れずにちゃんとここに来ていたら、+++さんはこんな目にあわずに済んだのに・・・・」


渡された少女の手紙を握りしめながらうつむく降旗に、男たちは少女を見やった。
その目には軽蔑と不信感が見て取れた。


「降旗君のせいじゃないわ。それで、+++さん、犯人の特徴は?」
「え、あ、あ・・・あの・・・」


「降旗」


「え?」


「そいつ、降旗が、って証言したんだよ」


男たちの言葉に、相田が少女から離れる。
少女は怯えきった目をして、それでも降旗を睨みつけていた。
降旗は、少女を見つめ、にっこりとほほ笑んだ。


その笑みは、降旗をはめようとした少女しか見ることが出来なかった。




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