交換学生降旗!






「交換学生?」


降旗は思わず首をかしげた。
部活終了後に唐突に2年生全員に呼び出され、
開口一番に言われたのが交換学生に言ってもらうというものだったからだ。


「うちは新設校だから、校風もまだできてないし、校則だってまだまだ改善の余地があるわ。
 それで、他校を見て、それを参考にしようってわけ。」


現在の誠凛は新設校ということで生徒が集まっている。
けれど、誠凛にはほかに人を集めるこれといったものがない。
部活にしても、誠凛には2学年のハンデがあり、
人数が得られず大会やコンクールに出場できないので成績も残せていない。
つまり、誠凛に入りたいという強みがないのだ。
その強みを作るための交換学生らしい。
2学年通して部活の代表者が交換学生に行くことになったという。


「それで・・・何でそれを俺に?」

「うちの部からは降旗君にいってもらおうと思って。」

「ええ!?」


降旗が目を見開く。
彼の前に立つ相田が苦笑する。


「うちの部からは一年を出すように言われたの。
 火神くんはけんかっ早いし、敬語もまともに使えないし、黒子くんは見失われちゃうし・・・。
 こういうと消去法みたいだけど・・・。
 2年生全員で決めたのよ。降旗君なら任せられるって。」


苦笑いが一変し、自信に充ち溢れた表情で相田が言った。
降旗は気圧されたように困惑した表情を浮かべた。
その顔は動揺だけでなく、不安も入り混じっている。


「降旗なら大丈夫だよ。」


伊月に肩をたたかれる。
伊月の顔を見れば、その顔もまた、強い意志が見て取れた。


「そうそう!水戸部も降旗なら安心だって言ってるぞ!」

「(こくこく)」


小金井たちの表情にも不安の色は皆無だった。

ポン、と後ろから頭に手を乗せられる。
自分の手より一回り大きな手だ。
乱暴なまでにぐしゃぐしゃと髪を混ぜられる。
けれど、それはどこかやさしくて安心する。
日向の手だ。


「任せたぞ、降旗。」

「はい・・・!」



交換学生期間は3日間。
一週間後、降旗は桐皇学園に行く。




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