【相変わらず凄まじい審神者と刀剣の話をする】






 書き込みを終え、俺はそっと端末を閉じる。
 スレに書き込んで、心が疲れたのはこれで二度目だ。


「あの子、一体どれだけのトラブルを抱え込んでいるんだろう……」


 俺が黒猫と称した少女と出会ったのは、これで二度目だ。前回はブラック予備軍と思われる女性と対峙することとなり、見事女性の率いる刀剣達に勝利を収め、かつ、その刀剣達の意識を変えて見せた。
 そして今回。ぶっ飛んだ思考回路を持った青年に刀剣を求められてひと悶着。とんだトラブルホイホイだ。
 帰り際にも、彼女らに突っかかろうとする少年がいたのを目撃した。その少年については、彼の刀剣達が止めたことで問題にはならなかったけれど。


「あの子、演練に来ない方がいいんじゃないかなぁ……」


 偶然かも知れないが、黒猫と演練でマッチングした時に限って、トラブルが起こっているのだ。スレ民が言うには、俺以外にもスレを立てられるほどのことが彼女の周りで起こっているという。
 彼女は少し、外部の人間と関わる機会を減らした方がいい様な気がする。


(まぁ、あの子たちなら、なんやかんやでうまいこと切り抜けられそうだけれど……)


 主を信頼する刀剣男士と、刀剣男士を愛する主。その確固たる絆があれば、どんな困難だって乗り越えて行けるだろう。
 けれど。
 ただ一つ気がかりなのは、彼女らが演練場から出ていく直前、血相を変えたこんのすけが彼女らに駆け寄ったのを見てしまったこと。


(出来れば、何事もありませんように……)


 そうでないことを確信しつつ、俺は祈った。温かな心が壊れぬように、深い闇に沈まぬように。




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