姐さんと捻れた世界






NRCを涙で沈める姐さんの話

「殺意には慣れている」
「だから、この学園の生徒レベルの悪意や敵意程度では傷付きようがないんだ」

待っっっっって???
サツイって殺意? 殺意って慣れるものなの?
ここの生徒って結構ガラ悪いって言うか、“程度”って言われるようなレベルじゃないと思うんだけど???



ツバキ「私の世界?」
エース「そ! どんな世界なの?」
デュース「僕も気になるな」
ツバキ「知らない方が良い。こちらは酷くあたたかくて優しいところだから。そのままで居てほしいんだ」
エース「そうやって隠されると気になるんだけど~?」
ケイト「言いたくない感じ?」
リドル「君の世界は、優しいところではなかったのかい?」
ツバキ「そんなことはない。けれど、そうだな。人の悪意に果てがないことを学べるくらいには、残酷な側面も持っている」
ケイト「ツバキちゃんの世界が?」
トレイ「信じられないな……」

エースやデュースだけでなく、ケイトやリドル、トレイまで集まってきた。
意図して伏せたことで、逆に興味を惹いてしまったことが分かった。

「……話さないと、無理矢理にでも暴かれそうだな」
「私は少し特殊な立場にあって、一般人とはかけ離れた所に身を置いている。だから、機密も多くて、全てを話すことは出来ない」
「つじつまが合わないことも出てくるだろう。納得できない部分もあるだろう。それでもいいなら、話そうか」



「私の世界の歴史は、侵略と略奪と陵辱で満ちている。
空は硝煙で濁り、土は血に濡れて、国は死体の上に築かれている。
そんな過去があって、今がある。そんな世界だ」

「けれどな、戦争そのものは過去のことではないんだ。一般人には知られていないところで、秘密裏に行われている」

「今行われている戦争は防衛戦であり殲滅戦だ。どちらかが倒されるまで止まらない」

「現在我が国の科学技術は悍ましいまでの発展を遂げ、遂には時を遡る術を手に入れた。まぁ最も、人の身ではそれに耐えられないのだが」



「“死んだあの人に、会いたくないか?“」
「“あの時の過ちを、やり直したくはないか?”」
「絶望した人間に、これほどの甘露はないだろう?」

「未来は今を生きる者が作るもの。歴史は今を彩る者が紡ぐもの。
過去は大事だ。過去があるから今がある。歴史があるから学べることがある。
けれど、だからこそ、過去の英霊達の築いてきたものを破壊するような行為を、許しては置けない」



「いつの間にか、死はありふれたものにすり替っていた」

「あんなに、怖かったくせに」

「今でも怖いけれど、確実に、日常の一部になりかけている」



「私はたくさんの命を踏みにじってここに居る。これからも私は私の生を歩むために、立ちはだかった者達を殺して、未来への道を敷くだろう」

「会話で解決できるなら、刀を取る者は少なかっただろうな」



姐さん本丸の不当な扱いについて。

ジェイド「何故そんな目に遭っているのですか。貴女はそれを許容しているのですか」
アズール「正当な報酬すら与えられないなんて、相互関係が破綻しています」
ツバキ「私が生きていることで不都合や不利益を被る者は確実にいるからな」
ツバキ「あと、許容しているわけでは無いよ。ただ、それにかまけている時間が惜しいだけだ」
ツバキ「それに、なんというか、“どうしようもない生き物”だなぁって、思ってしまうと言うか」

喧嘩は同レベルのものでしか起こらないという。つまり、ツバキにとって役人とは、それに値しない相手であると言うことだ。



「何度世界を呪ったか」

「それでもこの道を行くと決めたのは私だ。諦めないと誓ったのは私だ。だから戦う。だから立ち上がる。何度でも、何度でも」

「例え行き着く先が地獄だとしても、私は笑って歩んでやるさ」



ツバキ「最近、“話し合っても分かり合えないのなら、さっさと殺し合った方が早いのではないか”と考えてしまうようになってな」
シルバー「いくら何でも過激すぎないか?」
フロイド「反射で生きないで」
ジャミル「思考を脊髄で止めるんじゃない」
ツバキ「しないさ。だってそう思う相手が、“こちら側”の者だからな」
ヴィル「は?」
イデア「え?」
ジャック「つまり……味方側、ってことか?」
レオナ「お前の世界は地獄か?」
ツバキ「地獄だなんて酷いな。まぁ、こちらに比べれば物騒かもしれないけれど、私の祖国は他国とは比べものにならない程に平和な国なんだぞ?」
フロイド「はい、嘘」
レオナ「信じられるか」
アズール「ジェイド」
ジェイド「“ショック・ザ・ハート”」
ジェイド「それは事実ですか?」
ツバキ「まったく犯罪がないとは言わないが、平和なのは事実だ。ああ、でも、心は豊かではないかもな」




5/6ページ
スキ