慈悲の魔物
ジャミル達が2年生になる頃には慣れてるスカラ寮生達
「まぁたやってら」
「ツバキ様、相変わらずバイパー大好きね」
「今でこそ、このくらいの頻度だけど、昔はもっと多かったらしいよ」
「マジで?」
「そんだけ慣れちゃったのかな」
「ツバキ様は超嬉しそうだけど、アジームはめちゃくちゃ複雑そうだな」
「そりゃそうだろ。頻度が減るって事はツバキ様の激重感情を受け止めることに慣れていってるってことだからな」
「てーか、ツバキ様もそうだけど、アジームもバイパーに向ける感情大きすぎない???」
「それな」
「そんな二人の間に挟まれて、バイパーはよく平然としてられるよな」
「精神強度が俺らとは違うんだろ」
「いや、耐えられないからぶっ倒れるんだろ?」
「それでもだろ」
「つかバイパーの周り、クソデカ感情抱えてる奴しかいなくね???」
「二人しか居ないんだが???」
「その二人が一番近しい存在だろ」
「その二人が今までとこれから関わるであろう存在がバイパーに向ける感情の全てを足しても敵わないくらいの熱量抱いてるから」
「確かに~!」
「怖すぎ」
「バイパー、どんまい」
「おーい、ポップコーン出来たから真ん中空けろー!」
「映画鑑賞感覚かよ、ウケる」
「不敬過ぎるよな、俺ら」
「でも見ないのはもったいないだろ。ツバキ様、何でも無いような顔して古代魔法とか使うし」
「マジそれ。それに、俺らの視線なんて意にも介さないし、“小さい生き物がわちゃわちゃしてるな“くらいのもんだから」
「生き物としての格というか、次元が違うから……」
「実際違うしなぁ……」
「寛大で偉大なる魔法士の使う古代魔法や極大魔法がこんなに近くで見れるスカラビア、最高では???」
「「「それな」」」
なかなか慣れない他寮生達
「端的に言って恐怖でしかない」
「あの地獄のような鬼ごっこをポップコーン片手に鑑賞できるスカラ、マジ頭可笑しい」
「サバナの獣人たちなんて尻尾丸めて頭抱えるレベルの恐怖だぞ」
「妖精族なんて、そもそも学外に逃げ出したんだが???」
「正直、シャチのポッドに単身突っ込む方がマシ」
「つーか、アジームは何で平然と“慈悲の魔物“に立ち向かえるのか」
「息を吸うように古代魔法やら極大魔法やら使うもんな。立ち向かうなら怪獣の方がマシだわ」
「「「ホントそれな」」」