慈悲の魔物






 ―――――重い。

 ――――――――――重い。

 このままではツバキの想いに潰されてしまう。
 けれど離れたくない。だってツバキは俺のために命を張るような生き物で、この世界で一番愛してくれていることは明白で。
 ずっとずっと独りで、やっと俺を見つけたのだと、そう言っていた。
 それはどんなに寂しくて、苦しいことなのだろう。
 それが、俺という存在一つで変えられる。独りではなくなるのだ。
 だから、貰ったものを返すまではそばに居たい。独りになんてしたくない。

 けれど、けれど、けれど。
 このままでは駄目になってしまうのは分かりきっていて。ぺしゃんこになるのを待つしかない。
 何か、何か無いのだろうか。この重さに耐える為の方法は。

 ―――――あ、

 俺には"これ"があるじゃないか。


「“スネーク・ウィスパー“」


 ツバキからの想いには、鈍いくらいで丁度いい。




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