ポケモンふれあいフェスタ
キズナタウン。山の谷間に作られた小さな町で、10年ほど前にできたらしい。
大きな滝があり、流れる川が街を分断している。
町の中央にはポケモンとひとが共有する「憩いの広場」があり、今回の「ポケモンふれあいフェスタ」のメイン会場になっている。
この町は他地方のトレーナーが作った街らしく、町並みはカントー、ジョウトに近い。
そのため移住してくるものも他地方の人間が多く、この町に住むポケモンは独自の生態系を持つ一種の中でもさらに特殊なものになっている。
イッシュでは珍しい豊かな自然と珍しい他地方のポケモンが見れることもあり、他地方だげでなくイッシュ内でも人気が上昇している観光スポットだ。
そのため作られて間もないにもかかわらず、経済は安定している。
「うわあ、きれいな街~」
「なんか、懐かしい街並みだなぁ」
「ピッカ!」
「う~ん、草花の華やかなフレイバーにこの美しい景色!実にすばらしいテイストだ!!」
カントーやシンオウに生息するグラシデアの花壇。
豊かな川の流れ。川のせせらぎに交じって子供やポケモンたちの楽しげな声が聞こえる。
町に着いたサトシ一行は大きく息を吸い込み、新鮮な空気を肺いっぱいに取りいれた。
「そういえば、ふれあいフェスタはいつから始まるの?」
「えーと、ちょっと待ってね」
デントはアイリスの問いに、一枚のチラシを取りだした。
一つの前のポケモンセンターでもらったものである。
あのジョーイさんはキズナタウンの人々にポケモンセンターに来た人たちにこの祭りにことを話してほしいと頼まれたらしい。
このチラシもジョーイさんに渡されたものだ。
「ふむ。どうやらふれあいフェスタは明日開催されるようだね。会場はこの町の中央にある『憩いの広場』参加登録は明日の午前中。午後からポケモンを選ぶみたいだよ」
「じゃあ実際にポケモンと仲良くなる期間は4日間しかないってことね」
「そうなるね。実に厳しいテイストだよ」
デントとアイリスが難しい顔をする。
よくわかっていないキバゴがアイリスのマネをして、顎に手を置いて考えるふりをする。
そんな中、サトシとピカチュウは楽しげな声をあげていた。
「どんなポケモンに会えるのかな~、明日が楽しみだぜ!」
「ピカピカチュ!」
ピカチュウの頬をなでるサトシは不安のふの字もない。
悩んでいるのが馬鹿らしくなってくるくらいの満面の笑みである。
「4日間でポケモンと仲良くなることのむずかしさがわからないなんて・・・子供ねぇ」
「まぁ、サトシには経験があるからね。サトシなら大丈夫さ」
サトシのポケモンはほとんどがサトシを慕ってついてきたポケモンである。
短い時間の中でポケモンの心を開かせ、闇を取り払ってしまう。
そのことを身をもって知っている2人は苦笑を浮かべてピカチュウと戯れるサトシを見つめた。
「まぁ、サトシなら大丈夫よね。問題は私達よね・・・・」
「・・・・うん」
翳を背負う2人をよそにサトシとピカチュウはふれあいフェスタが開催される明日に思いをはせて1人と1匹で笑い合うのだった。