繰り返す少年ら
『繰り返す少年ら』
――どうしてこうなった。
テーブルに肘をつき、口元で指をからめている――俗にいうゲンドウポーズを取っているのは5,6歳の少年少女だった。
マサラタウンという小さな町の小さな食堂で、少年らは皆、険しい表情をしていた。
「状況を整理しよう」
そう言ったのは、茶髪の逆立った髪の少年だった。
それにうなずいたのは、黒髪の少年と、紫色の髪の少女だった。黒をサトシ、紫をシンジという。
話を切り出した少年――シゲルは、一つ、深く息を吸った。
「――僕たちは、死んだはずだ」
この世には、伝説と呼ばれるポケモンがいる。
その力は絶大で、その力を利用しようとする者は多かった。
いつのことだかは定かではないが、とある大きな事件が起きた。
世界を手にしようとした男が、伝説と呼ばれるポケモンたちの力を利用しようと考えたのだ。
たくさんのポケモンたちを人質に、伝説のポケモンたちをおびき寄せ、傷めつけて支配しようとしたのだ。
けれどもそれはかなわなかった。
男の攻撃から身を呈してポケモンたちを守った3人の少年たちの命と引き換えに、世界を巻き込んだ事件は終結した。
そう、3人の少年は、欲にかられた男を止めるために、命を落としたのだ。
「それなのに、何故か僕たちは生きている」
幼いころに戻っている状態で。シゲルの言葉に、サトシとシンジは眉を寄せた。
これはいったい、どういうことだ?
『それは私たちが説明しよう』
「「「――は?」」」
聞き覚えのある声が耳を打つ。
けれどもそれは、こんなところでは決して聞くことのない声だ。
3人はきょろきょろとあたりを見回したが、やはりその姿は見えない。
「う、わぁっ!?」
「わぁっ!!」
「!? サトシ! シゲル!!」
サトシとシゲルが、テーブルの下に引きずり込まれる。
シンジが慌てて下をのぞくと、そこには2人の姿はなく、代わりに黒い手が彼女の腕を引っ張った。
悲鳴を上げる間もなく、シンジはテーブルの影に引きずり込まれ、3人の座っていたテーブルには、オレンジジュースの入ったグラスだけが残されていた。