兄弟パロ
おまけ(途中からカスミが空気だったので)
「あのさ、」
「……何だ」
「その……”色々”っていうのは、聞かない方がいいんだよね……?」
「別にかまわないが?」
「えっ!?」
「まぁ、聞かなくても想像はつくだろう?」
「――……っ」
カスミの控えめな言葉に、シンジが自嘲した。
『兄弟なのに全然似てない!』
『お母さんが違うのにお兄ちゃんだなんて変!』
『お兄ちゃんなんて呼んじゃって、本当は○○くんと仲良くしたいだけなんでしょ?』
『本当に、兄弟なの?』
子供は残酷だ。言葉や態度が、どれだけ人を傷付けるのかを知らないから。
はっ、と乾いた笑みを浮かべたシンジに、カスミは自分と似ているな、と思った。
カスミも、美人三姉妹とその出がらし、と散々揶揄されてきたから。
「昔は素直だったから、そんな言葉にいちいち傷ついていたんだ……」
「シンジ……」
「でも、今は違う」
可笑しいと言われても、似てないと言われても、胸を張って自慢の家族だと言ってくれる人たちがいる。その大きな背中にかばってくれる人たちがいる。
「庇われるのは好きじゃないけど、守ってくれるということは大切にされているということで、その背中を見るのは嫌じゃないんだ」
むしろ嬉しいことで、思い出して頬が緩む。
「むしろ、兄さんたちから大事にされてるって再確認できる絶好のチャンスだと思ってるんだ」
「そうなんだ」
「ああ」
嬉しそうに笑うシンジが綺麗で、カスミが目を細めた。
はにかむシンジのその向こうには喜びに打ち震える彼女の兄達がいる。
こっそり聞き耳を立てていたのだろう。
――自分は離れていた方がいいな、とカスミがこっそりとシンジから距離を取る。
そんなカスミを不思議そうに見つめるシンジが兄達によってもみくちゃにされるまで、あと―――……。