期待を背負う子供






この世のどこかは定かではない、けれども世界の中心で、神として、伝説や幻として崇められるポケモンたちが泣いていた。
彼らには友人がいる。
まだまだ幼い、10歳の少年だ。
その少年は期待を背負っていた。
重い重い期待を背負う子供。
それが彼らの友人だった。


『誰か、誰か気付いて』


呟いたのは誰だったか。
それは定かではないが、皆が思っていたことだった。


『誰か気付いて、救ってあげて』


私たちでは助けられない。
私たちが助ければ、彼の期待をさらに重いものにしてしまうから。


『神と呼ばれ、崇め称えられてきた癖に!何もできないなんて!』


嘆く神の声は、大地を震わせた。
全知全能の神などいない。
神にもできないことはある。
それなのに、ただの子供に一体何が出来ようか。


『その事実に気づく人間はいないのか!!!』


神はとうとう涙した。
彼らの嘆きは世界の嘆き。
彼らの願いは世界の願い。

世界が、一人の少年の幸福を祈った瞬間だった。




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